銀行規制案の大幅修正の必要性示した ウォラー米FRB理事の「2つの問題点」

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが1月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。新たな銀行自己資本規制案の大幅修正の必要性を示したウォラーFRB理事の発言について解説した。

銀行規制案の大幅修正の必要性示した ウォラー米FRB理事の「2つの問題点」

※画像はイメージです

米FRBのウォラー理事、銀行規制案への反発により大幅修正の必要性を示す

アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は1月16日、新たな銀行自己資本規制案に対し業界や議会から反発が出たことについて、大幅な見直しの必要性を示していると述べた。ウォラー理事は「必ずしもいい規制案ではなかった」とし、一旦取り下げ、見直しを行った上で改めて公表する方が好ましいとの見方を示した。

中小銀行には手を付けず、規制しやすい大手・中堅銀行に対して行った

飯田)自己資本についての規制案ですが、お金をより積んでおくというような話になるのでしょうか?

クラフト)まず金融規制の問題の前に、当局として十分な議論と根回しができていなかったかも知れません。日本にも言えることですが、十分に議論した上で公表すべきです。公表したあとに「いい案ではなかった」とするのは許されないので、やり方の問題がまず1つある。

飯田)そうですよね。

クラフト)また、今回は資産規模1000億ドル(約14兆円)の大手・中堅銀行に対する規制ですが、いちばん脆弱なのは中小銀行なのです。しかし、そこにはまったく手を付けず、規制しやすい大手・中堅銀行に対して行ったところに大きな問題があると思います。

マーケットの「年6回利下げ」期待は楽観すぎる

飯田)他にもウォラー氏は年内の利下げの可能性について言及しており、市場がかなり振れていますね。

クラフト)2023年11月辺りだったと思いますが、もともとタカ派だったウォラー理事が利下げの余地に言及したことで、一気にマーケットに「利下げ期待」の火がついてしまい、そこから長期金利が大幅に下落し、為替もドル安・円高を招いてしまったという失態がありました。今回はその反省から慎重発言に徹したので、それを受けて市場も少し金利が上がり、為替もドル高・円安に振れている。1月17日に発表された小売売上高も堅調だったので、市場は早いと今年(2024年)の3月、年6回の利下げを織り込んでいます。あまりにも非現実的な利下げ期待で……。

飯田)超楽観論。

クラフト)それが少しずつ剥げており、ウォラー理事の発言や昨日(17日)の小売データを受けて、市場としては「3月は少し厳しいかな」となってきた。年6回ではなく、私は3回ぐらいではないかと見ています。

飯田)半分。

優先順位がまだインフレ重視 ~この状況からインフレが大きく下がることは難しい

クラフト)それを受けて昨日、148円台までドル高・円安が戻ったという状況ではないかと思います。

飯田)アメリカ大統領選を控えていることを考えると、「経済を冷やすわけにはいかない」というような予測につながっていきますが、その辺りはどうですか?

クラフト)確かに経済を冷やしたくはないのですが、まだアメリカは高インフレ退治ができていない。今月(1月)に入って発表された直近の雇用統計、消費者物価指数、昨日の小売売上高は、全部市場の予想を上回っています。高インフレに戻るとは言わないけれど、インフレが定着して、なかなか下がらない状況が少しずつ見えている。この状況からインフレが大きく下がるのは、なかなか難しいと思います。まず高インフレを退治してから景気を見なければいけない。優先順位はまだインフレ重視なのだと思います。

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