岸田派が解散で「岸田政権の支持率」が上がる可能性も

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地政学・戦略学者の奥山真司が1月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田派(宏池会)の解散について解説した。

2024年1月17日、挨拶する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202401/17koutsuanzen.html)

2024年1月17日、挨拶する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202401/17koutsuanzen.html)

岸田派が解散へ ~安倍派でも解散を検討

自民党・岸田派(宏池会)は1月18日、政治団体としての派閥を解散する方針を固めた。岸田総理は官邸で記者団に対し、「政治の信頼回復に資するものであれば、そうしたことも考えなければならない」と述べた。また、最大派閥である安倍派(清和政策研究会)も解散の検討に入った。

飯田)政治団体の届け出を取り下げ、派閥事務所も閉鎖する方針だそうです。

物事を大胆に行う策士の一面もある岸田総理

奥山)あえて身を切るというか。私のなかで岸田さんは、「物事を大胆に行う」という印象があります。以前、バイデン大統領が原爆資料館を訪れましたが……。

飯田)広島で開催されたG7サミットの際。

奥山)原爆資料館は東館と本館に分かれており、被爆の実相を詳しく伝えているのは本館の方なのです。しかし、バイデン大統領側は東館にしか行かず、本館には行きたくないという方針でした。滞在時間も、皆さん1時間ぐらい入っていたけれど、30分ぐらいで早めに切り上げたのです。

飯田)短かったですね。

奥山)その際、東館にしか入らないので、本館にある資料を東館に付け替えたのです。工作的なことをしてでも「絶対に見せるのだ」という強い意志があったのですね。

自民党は危機状態になるが、岸田政権の支持率が上がる可能性も

奥山)岸田総理はそういうことをする方なので、もしかしたら今回、自ら身を切ることによって、むしろ支持率が上がるのではないかと思っています。

飯田)派閥を解散することによって。

奥山)岸田さん自身が岸田派を解散させることで、自民党は危機状態に陥るかも知れませんが、逆に支持率は上がる可能性がある。岸田さんは、かなり策士的な部分がある印象です。

世界の安定の1つの柱であった日本だが

奥山)他の地域を見ると、ヨーロッパはウクライナ情勢で揺れている。中東はイスラエル、ハマスに関連していろいろな動きがあり、かなり不安定化しています。東アジアも台湾有事の心配など、いろいろありますが、そのなかで民主主義のトップの国として、日本は政治的に安定している。ここ1年くらいは、意外と日本が「世界の安定の1つの柱」のようになっている部分があったのです。

飯田)ここ1年くらいは。

奥山)そのなかで今回、岸田政権に裏金問題が出てきたことで、不安要素の1つになったかも知れない。やはり世界が流動的になっていると思います。

気になるアメリカの分断

奥山)やはり、アメリカの分断状況が非常に気になるところです。イアン・ブレマーさんが率いる「ユーラシア・グループ」という調査会社では、毎年10大リスクを上げるのですが、今回トップに出てきたのがアメリカの分断なのです。

飯田)「米国の敵は米国」という。

奥山)アメリカ自身が敵になってしまっている。トランプ前大統領が先日、アイオワ州の共和党員集会で圧倒的な1位になりましたが。

トランプ前大統領が大統領選で掲げているメッセージは「報復」 ~アメリカ国内が分断されてしまう

奥山)これまでのアメリカ大統領選挙は、基本的には新たに変わっていくものを掲げていました。オバマ大統領のときの2008年は「Hope」でした。

飯田)そうでしたね。

奥山)毎回、大統領選挙では「新たに生まれ変わっていく」というメッセージを出しています。前々回もヒラリー・クリントンさんが出て、女性初の大統領を変化として掲げ、「新しいアメリカをつくる」という意識があった。しかし今回、トランプさんが掲げているのは「報復(retribution)」なのです。「俺に対していままで歯向かってきた人間に報復してやる」という意向をあからさまに出しています。アメリカ国内が本当に分断されてしまうのではないかという、恐ろしい状況にあるのです。

飯田)今回の大統領選は。

奥山)希望ではなく、報復に焦点が置かれている。これまでアメリカ大統領選をいろいろ見てきましたが、こんなにワクワクしない、暗さが目立つ大統領選はありませんでした。超高齢者同士が、「相手がダメだ」ということを武器として戦ったり、陰謀論が浸透している。

大統領候補が91の案件で起訴されているという異常な状況

奥山)そもそも一方の大統領候補が91件の案件で起訴され、しかも支持率が上がっているという異常な状況です。候補者ではあるのですが、もしトランプ前大統領が刑務所に入ってしまったらどうするのか。刑務所のなかで当選したら、支持者がまた暴動を起こして刑務所を襲うような状況も起きかねない。収監されているのに選挙で勝つなどという異常事態が考えられるのです。

飯田)その場合、就任したあとは、自分で自分を恩赦するのでしょうか。

奥山)ただ、ジョージア州のように連邦の権限がない、州レベルの有罪になってしまった場合の問題など、アメリカの歴史になかったような、とんでもない状況にあるのです。どうなってしまうのか本当に心配です。これまで世界秩序を支え、「目指す民主主義はアメリカだ」と唱えていたアメリカ自身が、民主主義を壊すようなことを行っているのは非常に気になります。

飯田)ウクライナへの支援がどうなるかなど、いろいろありますからね。

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