政策アナリストの石川和男が1月20日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に出演。1月1日に発生した能登半島地震の影響で、運転停止中の志賀原子力発電所(石川県志賀町)の一部設備が破損したことにめぐり「福島第一原発事故のような事象は起きようがない」と指摘した。
1月1日の午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、志賀原子力発電所のある志賀町では震度7を観測。原発敷地内では、震度5強の揺れを記録した。志賀原発では、外部からの電気を受ける変圧器が破損したほか、一連のトラブルに関する情報発信が二転三転するなど混乱もみられた。さらに、ネット上では放射能漏れなどのデマも飛び交った。
ゲスト出演した東京工業大学・科学技術創成研究院の奈良林直特任教授は、「福島第一原子力発電所事故以降、徹底的な原因究明と安全対策がされている。志賀原発はまだ再稼働していないが、耐震補強や防潮堤の工事など様々な対策をしっかりやっている」と指摘。
変圧器の破損トラブルについても「想定されていた事象。そのため、変圧器の下に砂利などを敷いて漏れた油を吸収するようにしてあり、万が一火災が起きても耐火壁で延焼を防ぐようになっている。安全上はまったく問題ない」と述べ、一部SNSなどで原発火災が発生したとデマが飛び交ったことについて警鐘を鳴らした。
また、変圧器の破損に伴って外部電源の一部が止まっていることについても「福島の事故を受けて増強してある」と語り、5回線あるうちの3回線は問題なく使用できており、使用済み核燃料の冷却などは問題なく行われていると述べた。
石川は「福島第一原発事故の際も、運転中だった原子炉は安全に停止し、外部電源が喪失したあとも非常用ディーゼル発電機で冷却は正常に行われていたが、約30分後に襲来した津波によって発電機が浸水。使用できなくなったことが原因で事故につながった」と解説。これらの教訓から、志賀原発では非常用発電機のバックアップとして電源車が配備されているほか、そもそも志賀原発の原子炉は海抜約22メートルの高さにあり、想定される津波の高さでは影響がないことにも言及。さらに、日本国内の原発が地震の揺れ自体で重大な破損や事故を起こしたことはないことも強調した。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
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※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』