NHKが「テキストニュース」の縮小を検討する本当の理由

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ジャーナリストの佐々木俊尚が2月7日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。NHKのテキストニュース問題について解説した。

NHKのビル

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NHKがニュースサイトを閉鎖する懸念

新行)佐々木さんはX(旧ツイッター)でもポストしていましたが、NHKのテキストニュース問題が話題になっています。

佐々木)NHKはテレビの放送以外に「NHK NEWS WEB」や「NHK政治マガジン」というウェブニュースの媒体を持っていますが、それがなくなる可能性が高いのです。新聞協会が横やりを入れているからです。

「NHKプラス」を有料化する代わりに新聞協会からの「テキストニュース廃止」の要求を受け入れたNHK

新行)新聞協会が「やめてくれ」と言ったのですか?

佐々木)そんな要求をNHK側が聞く必要はないと思うのですが、NHKではテレビだけでなく、ネットのアプリで「NHKプラス」が観られるではないですか。いまは無料ですが、ネットで観る場合も受信料を取りたいということで、総務省と交渉しているのです。その際、同じ総務省のワーキンググループに新聞協会も入っているので、新聞協会が横やりを入れ、「認めてもいいけれど、代わりにNHK独自のネット記事をやめよう」と言い出した。なぜそれを新聞協会が求めるかと言うと、各新聞社は最初から記事を有料化しているでしょう。

新行)そうですね。

佐々木)それなのに、「もっと質のいい記事を無料で出されたら困る」という話なのです。ただ、NHKの記事がなくなったからといって、みんなが新聞記事を有料で読むようになるかと言うと、ならないですよ。ウェブ媒体は無数にあるわけだから。質の高い記事がたくさんの媒体から出てくる方が、よりよいメディア空間になるのは間違いないわけです。「無料で流されたら民業圧迫だ」などと言っていること自体が根本的におかしい。

政治部が取材したメモを元に質の高い記事を出してきた

佐々木)だからNHKは突っぱねてもいいのだけれど、アプリの受信料を取りたいがために、経営陣が受け入れてしまったのです。漏れ聞いた話では、NHK内部でウェブ記事をつくっている部署……もともとはニュースを書き起こすだけだったけれど、独自の記事をつくれるようにしていったそうです。政治部などが取材した膨大なメモがあるではないですか。そのなかで放送されるのはごくわずかなので、こぼれ落ちた話を全部記事にしようと、この数年間、一生懸命やってきたのですよ。非常に質の高い記事をたくさん出しているのに、いきなり廃止される方向になり、局内では不満が渦巻いているらしいです。

新行)読む側としてもどの記事を読むか、どこから情報を取るか、選択肢は広い方がいいですよね。

佐々木)新聞協会もNHKの経営陣も、何を考えているのだと思います。

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