3月の利下げはなく、CPIの数字に一喜一憂する日々がまた続く米市場

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双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が2月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。1月の米消費者物価指数について解説した。

3月の利下げはなく、CPIの数字に一喜一憂する日々がまた続く米市場

※画像はイメージです

1月の米消費者物価3.1%上昇、市場予想を上回る

米労働省が2月13日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比3.1%となり、市場予想の2.9%程度を上回った。前月の3.4%からは伸び率が縮小した。

飯田)ガソリンや食品を除いた数字はさらに高いとも言われています。

吉崎)2.9%が3.1%になって「なぜこんなに大騒ぎするのか」と、皆さん不思議に思われるかも知れませんが、一連の流れがあるのです。物価にはCPIではなく、PCEという別の指標があって、FRBはそちらを見ています。CPIは第2週のなかごろぐらいに発表しますが、PCEは月末の発表です。そうすると雇用統計が第1金曜日に出ますよね。

CPIに振り回される状態が続く

吉崎)第1金曜日の雇用統計と翌週のCPIを合わせて、これに振り回されるというパターンが2年ほど続いています。なぜそんなことになったかと言うと、CPIは労働省の発表で、PCEは商務省が発表します。対象となる商品はPCEの方が広いので、プロが見るのはPCEなのです。

飯田)なるほど。

吉崎)ただ、物価が2021年から急激に上がり始めた。みんなが気になるのはCPIですから、CPIが4%、5%と上がり、とうとうピーク時は9.1%まで行きました。政治的にみんなが見ているのはCPIなので、こちらに振り回される状態が続いているのです。

いつになったら減速して利下げするのか

吉崎)先日の雇用統計がやはり強かった。これだけ金利を上げたのだから、アメリカ経済は当然、減速すると思われました。去年(2023年)の後半は「マイナス成長かな」というくらいに思っていたのに、結局、去年は4四半期全部でプラス成長、しかも全部2%以上です。今回も2.9%だと思っていたら3.1%で、いつになったら減速して利下げするのか。何度も裏切られているパターンなので、昨日(13日)のダウは大きく下げ、為替も150円台です。

飯田)150円70銭前後でした。

吉崎)そんな感じだから、なかなかアメリカへも出張に行けません。

飯田)かつて1ドル=100円だった時代に比べると、約1.5倍ですからね。値札が全部高く見えます。

吉崎)逆にインバウンドの外国人観光客の方が、いかにいまの日本をエンジョイしているかがよくわかります。

飯田)先日、新潟のスキー場に行ったのですが、外国人の方々は2000円ぐらいのハンバーガーを平気で食べますね。

吉崎)いまは7000円の海鮮丼など、いろいろあるようですね。

3月の利下げはなく、CPIの「コンマ何ポイント」に一喜一憂する日々が続く

飯田)物価がある程度上がっていて雇用も強い。ある意味、FRBは何もしなくていいような状態なのですか?

吉崎)1月のFOMC後、記者会見のパウエル議長にはいつもと違う自然な自信があり、「みんなそう言うけれど、まだデータが足りない。もっと持ってきてくれよ」という感じでした。

飯田)利下げするには。

吉崎)「俺も困っているけれど、3月の利下げはないと思うよ」という感じです。でも、「いちばんの難所は越えた」という感覚だと思います。インフレ抑制はどうやら峠を越した。インフレに気付くのが半年遅れましたからね。中央銀行としてはいかがなものかというのは、本人たちがいちばん自覚していることだと思いますが、その峠は越えたと。でも、「あまりにいい話が続くと俺も困るんだよな」という感じなのです。またCPIの「コンマ何ポイント」に一喜一憂する日々が続きそうな気がしますね。

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