元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が2月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。マイナス金利解除は春闘や景気回復の持続性などで判断するという日銀・植田総裁の答弁について解説した。
日銀・植田総裁、マイナス金利解除は春闘や景気回復の持続性などで判断すると答弁
日銀の植田総裁は2月16日、衆議院財務金融委員会での答弁でマイナス金利解除など金融政策の正常化について、春闘の動向や景気回復の持続性などを確認した上で判断する考えを示した。
飯田)金融政策の正常化と言われますが、「いまは異常なことをやっているのか?」と思います。
片岡)いまは異常ではないですけれどね。経済状況が異常なので、それに応じた政策を行うということです。春闘や景気回復の持続性についてですが、春闘では「賃上げ率がどれくらいか」がポイントになります。
4%を超える賃上げ率が達成できない限り、名目賃金の上昇率が物価を上回るような環境にはならない
片岡)2023年度の賃上げ率は3.6%くらいで、30年ぶりと言われました。現行の見通しにおいて、2024年度の賃上げ率は2023年度と比べて同じか、少し上回るくらいの予想が1つの基準になっていると思います。ただ、これだと持続的に2%の物価安定目標を達成するには足りないと思います。少なくとも4%を超えるような賃上げ率が達成されない限り、名目賃金の上昇率が物価を上回るような環境にはならない。そうすると物価安定目標を達成できないので、金融引き締めのようなことをされると、厳しい状況になりそうです。
飯田)金融引き締めを行うと。
片岡)特に、大企業はまだいいけれど、中堅・中小企業の賃上げがなかなか追いつかない状況になりかねない。地方あるいは中堅・中小企業は既に賃金を上げているわけで、お金を賃上げに回したくても、その余力が失われつつあります。
食料品の値段上昇がピークアウトしつつあり、1月は経済が低下 ~早めの対策が必要
片岡)より売値を上げ、利益を高める必要があるのですが、残念ながら足元の家計調査などを見ると、価格上昇に対して需要が負ける傾向にあり、食料品の値段などがピークアウトしつつあります。この状態で、春闘の動向が持続的にアゲアゲ基調でいけるかと言うと、微妙だと思います。景気回復に関しても、1~3月期もマイナス成長の可能性は十分にあります。例えば1月は能登半島地震の影響や、自動車関係の生産の落ち込みなどもあるので、少し経済が弱くなる見通しです。
飯田)7~9月がマイナス、10~12月もマイナス、3四半期連続でマイナスになったら、本格的な後退局面になりますよね。
片岡)景気回復の持続性ではなく、景気が後退しているので、早く対策を打たないといけません。4~6月期は定額減税や補正が効いてくるのでプラスになりそうですが、そこまでが少し厳しいと思います。
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