「印象派の、フランスだけではない国際的な広がり」上野の春休みオススメ展覧会(3/3) ニッポン放送アナウンサー・箱崎みどり

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ニッポン放送アナウンサーの箱崎みどりです。

箱崎みどりの「おさんぽアート」。春はもうすぐそこ。だんだん日も長くなって、暖かくなってきたということで、この時期、そして、春休みのお出かけにおすすめの展覧会を3つ、ご紹介します。

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」入口、東京都美術館、2024年

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」入口、東京都美術館、2024年

最後、3つ目にご紹介するのは、東京都美術館で開催中の「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」です。

19世紀にフランスで花開いた印象派ですが、フランスだけではない、国際的な広がりがありました。今回の印象派展では、ボストン近郊にあるウスター美術館の印象派コレクションを中心に、アメリカ、日本など、印象派の世界的な広がりに迫ります。

チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》1888年 ウスター美術館

チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》1888年 ウスター美術館

例えば、アメリカのモネと称されるハッサムは、フランス留学で学んだ技法で、パリの光景を、さらに、帰国後にアメリカの風景を描きました。

黒田清輝《落葉》1891年 東京国立近代美術館

黒田清輝《落葉》1891年 東京国立近代美術館

同じように、黒田清輝も印象派の技法で、フランス留学後、日本の風景を絵画に残しています。

クロード・モネ《睡蓮》1908年 ウスター美術館

クロード・モネ《睡蓮》1908年 ウスター美術館

日本の影響を受けて花開いた印象派が、フランスからアメリカへそして日本へも、と、世界中に広がったのです。印象派の代表的な画家のひとりであるモネは、250点以上の《睡蓮》を残しています。その、モネの《睡蓮》を、初めて収蔵したのが、ウスター美術館。

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展示風景、東京都美術館、2024年

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展示風景、東京都美術館、2024年

《睡蓮》をいくらで、どのようにして買ったか、克明に記された手紙が絵の横に展示されていて、《睡蓮》が時代を問わず人の心を掴む作品であること、こうした経緯があってウスター美術館に収蔵され、今、海を渡って日本にやってきた奇蹟を強く感じました。

印象派以前、また、印象派以後の作品も紹介されているので、勉強になりますし、より印象派の個性も際立っているように思います。

デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-1916年 ウスター美術館

デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-1916年 ウスター美術館

こちらは、観光PRのために、グランドキャニオンを描いたものだそうです。外で描くという印象派のやり方が、アメリカでも生かされています。

日本の美、世界の美に触れる美術体験を、この春、上野でぜひ!

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵
2024年1月27日(土)~4月7日(日)
東京都美術館
※土曜・日曜・祝日及び4月2日(火)以降は日時指定予約制(当日空きがあれば入場可)

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2つ目のスポット「建立900年 特別展『中尊寺金色堂』」について読む

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