経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。伊方原発3号機の運転差し止め訴訟について解説した。
伊方原発3号機の運転差し止め訴訟、大分地裁は原告の請求を棄却
愛媛県の四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを大分県民569人が求めた訴訟で、大分地裁は3月7日、訴えを棄却する判決を言い渡した。裁判長は「安全性を欠くと認めるに足りる証拠はなく、原告らの生命などに具体的危険があるとは認められない」と述べた。伊方3号機の運転差し止めを求めた住民の集団訴訟では初めての判決で、住民側は即日控訴した。
飯田)伊方原発は愛媛県に位置していますが、海を挟んですぐ目と鼻の先が大分県の国東半島なので、運転刺し止め訴訟が起きています。
「原油に依存する体制から脱却しなければならない」というテーマを持つ日本
クラフト)裁判の詳細がわからないので判決を重んじる必要はありますが、住民の懸念も十分理解できますし、尊重していきたいです。ただ、日本国として1つ大きなリスクがあるのは、中東情勢です。いまは紛争のような扱いになっていますが、一歩間違えればアメリカを巻き込んだ第5次中東戦争にもなりかねません。
飯田)第5次中東戦争に。
クラフト)そのとき何が起きるかと言うと、日本への原油がストップするのです。ストップした場合、備蓄は3ヵ月くらいしかないので、最悪の場合は計画停電をしなくてはならず、経済がストップしかねない。アメリカは中東戦争が起きても、シェールガスがあるので大きく影響しませんが、日本は95%の原油を中東から輸入しているので、リスクを回避するためにも他のエネルギー源で分散しなければいけない。そのため、なるべく早く原油依存の体制から脱却しなければならないという大きなテーマがあります。
中東情勢によりアフリカの喜望峰を回るルートに迂回する石油タンカー ~輸送費が高くなりガソリン価格に影響
飯田)オイルショック後、まさにそのテーマのなかで原発建設が進んだところがありますからね。
クラフト)既に紅海の南側から船が降りられず、エジプトのスエズ運河ルートを回避し、アフリカの喜望峰へ迂回しているので、保険を含めた輸送費が3割ぐらい高くなっています。あと1~2ヵ月すれば、ガソリン価格はさらに上がる可能性もある。そうなるとインフレ圧力が高まるので、中東情勢は決して他人事ではなく、日本経済に直結していると認識する必要があります。
飯田)紅海から入っていくと、スエズ運河を抜けて地中海に至る。ここは大動脈ですが、フーシ派の船舶攻撃があり、塞がってしまっていますね。
クラフト)南側がいま塞がっています。これから北側も塞がり、ホルムズ海峡も塞がってしまうと、まったく原油が来なくなってしまうので、一歩間違えれば日本経済に大きな打撃があると認識しなくてはいけません。
飯田)ホルムズ海峡はペルシャ湾の出口なので、中東の産油国からの船が列をなして日本に向かってくるわけですよね。
クラフト)つい最近、外国のタンカーがミサイルを撃ち込まれ、3人の従業員が亡くなっています。いつ日本のタンカーが標的になるかわからない。これも現実問題として、既に起きていることです。
飯田)その船が日本に近付いてくると、南シナ海を通りますし。
クラフト)台湾海峡もそうです。いろいろな問題を抱えています。
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