急増している「サポート詐欺」 被害に遭わないための対策とは?トレンドマイクロ株式会社を取材

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総合セキュリティ対策ソフト『ウイルスバスター』シリーズなどの開発・販売をおこなうトレンドマイクロ株式会社(以下、トレンドマイクロ)では、昨今急増している「サポート詐欺」(特殊詐欺の一種)への対策に力を入れている。今回、ニッポン放送『飯田浩司のOK!Cozy up!』で番組アシスタントを務める新行市佳アナウンサーが同社を取材し、「サポート詐欺」の手口や気をつけるべき点などについて話を聞いた。

急増している「サポート詐欺」 被害に遭わないための対策とは?トレンドマイクロ株式会社を取材

左から、トレンドマイクロ株式会社・春日詠子氏、荻原夕貴氏、ニッポン放送・新行市佳アナウンサー

「サポート詐欺」とは

サポート詐欺とは、「ウイルスに感染している」など偽の警告画面を表示して不安をあおり、偽のサポート窓口に電話をかけさせ、“サポート料金”という名目で金銭を騙し取ろうとする詐欺のことを指す。

以前流行した「オレオレ詐欺」では大半が電話から始まるのに対し、「サポート詐欺」はインターネット上の広告を意図的に、または誤ってクリックすることから始まるケースが多い。現在「サポート詐欺」サイトへのアクセスは急増しており、トレンドマイクロが確認した件数だけでも、2023年の1年間で900万件以上*に及んでいる。
*トレンドマイクロのコンシューマ向けセキュリティ対策製品「ウイルスバスター クラウド」が2023年にサポート詐欺サイトへのアクセスを検出しブロックした件数

「サポート詐欺」誘導の手口

「サポート詐欺」には、大きく分けて、「誘導段階」「操作段階」「搾取段階」の3つのステップがあると、トレンドマイクロの荻原夕貴氏は語る。

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「サポート詐欺」の手口について語る荻原氏

最初の「誘導段階」では、Google広告などを不正に使って、被害者を偽の警告画面を表示するサイトに誘導する。不正広告は一般的なサイト上にも表示され、クリックすると、目立つ警告画面や大きな音で焦らせてくる。そして、偽のサポート窓口の電話番号が表示され、焦った被害者が電話をかけてしまう。

次が「操作段階」で、偽のオペレーターとやり取りをしている中で、遠隔操作ソフトのインストールを案内され、犯罪者による操作が始まる。最後の「搾取段階」では、復旧やサポートなどを名目に、金銭を要求されたり個人情報を盗まれたりする。ギフトカードでの支払いを要求するパターンや、ネットバンキングなどでの送金を依頼するパターンも確認されているという。

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不正広告の例 一見しただけでは不正広告と分からないものが多い

不正広告には、広告掲載元の正規コンテンツと誤認させるものや、時事問題のように人の興味を引く話題でクリックを促す場合もある。正規のものと見分けがしづらく新行アナも不安そうな表情を見せたが、クリックしたからといってウイルスに感染しているわけではないため、落ち着いて対処することが必要であると荻原氏は語っていた。

セキュリティ警告が表示された場合にとるべき対処法

不正広告をクリックして、セキュリティ警告が表示されてしまったら、まずはサポート詐欺を疑い、警告内容を無視してブラウザを閉じることが重要であるという。一方、全画面表示などになっていて、ブラウザを閉じることができない場合には、以下の手順でブラウザを閉じる方法がある。

①キーボード左上のエスケープキーを3秒以上長押しして、全画面を解除。
②ブラウザ右上の×マークをクリックして閉じる。
([Ctrl]+[Alt]+[Delete]を同時に押して、タスクマネージャーから閉じる方法もある。)

荻原氏が重要なこととして挙げたのは、「表示された問い合わせ先に連絡しないこと」。本物と見分けることが困難な場合でも、新たに検索するなどして正規の問い合わせ窓口へ連絡するようにしたり、信頼できる家族や友人に相談したりすることが大切であると述べた。

もし偽のサポート窓口に電話をかけてしまったら?

万が一、お金を支払ってしまった場合は、最寄りの警察署に通報・相談することが重要となる。また、偽の警告から誘導された先で、指示に従ってソフトウェアをインストールしてしまった場合や、遠隔操作されてしまった場合には、「パソコンが継続的に遠隔操作される」「ウイルス感染につながる」などの可能性があるため、すぐにインターネットを切断して、ソフトウェアを削除することが必要だ。

また、逆に不審な番号から電話がかかってくることもある。そうした場合にも落ち着いた対応が必要で、不在着信であれば折り返しかけないことや、相手の電話番号をネット検索して情報を集めてみることも有効である。

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インタビュー中では、「サポート詐欺」の対処法などに関するレクチャーも

「サポート詐欺は、インターネットを利用していれば、誰でも遭遇する可能性がある詐欺です」と荻原氏は語る。トレンドマイクロの『ウイルスバスター』では、「サポート詐欺」サイトをブロックするための機能が備わっており、万が一、サポート詐欺サイトへアクセスしてしまった場合でも、ブロック画面またはポップアップ画面で知らせて、電話してしまうことを防いでくれる。2023年10月にリリースした『ウイルスバスター ト-タルセキュリティ(スタンダード/プレミアム)』では、パソコン・スマホ・タブレットを計6台*まで守ることができる。
* 1台にOSがひとつの場合。本サービスはセキュリティ機能およびVPN機能を6台まで利用できます。個人情報漏えい監視(ダークウェブモニタリング)、パスワード管理機能について、インストールやアクセスの端末数に制限はありませんが、契約者1名のみ利用できます。

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ウイルスバスター ト-タルセキュリティ(スタンダード/プレミアム)

「万が一、サポート詐欺サイトにアクセスしてしまったときのために、サポート詐欺サイトへのアクセスを阻止できるセキュリティソフトを利用することが有効です」と語る荻原氏。「ご自身のデバイスだけでなく、ご家族のデバイスにも入れていただき、家族全体で声を掛け合って詐欺への対策を高めていただきたいと思います」と改めて注意を呼びかけた。

ウイルスバスター ト-タルセキュリティ(スタンダード/プレミアム)の詳細はこちら
https://www.trendmicro.com/ja_jp/forHome/products/vbts.html?AAID=special_fraudarticle_202407

警察(警視庁、各道府県警察)との連携

次に新行アナは、トレンドマイクロの春日詠子氏にインタビューをおこない、警察と連携した取り組みの内容について尋ねた。

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警察との連携について説明する春日氏

トレンドマイクロでは、2022年から警察と一緒に、インターネットを使用した犯罪への啓発活動をおこなっている。トレンドマイクロとしての強みは、家電量販店や携帯販売ショップのような取引先で多くの人々に直接伝えられることであり、警察から注意喚起したい情報を伝えてもらうことができる。

また、特に中高年以上の層は警察への信頼が厚いため、警察からの注意喚起ならば内容を聞いてもらえやすいというメリットもある。地域によって詐欺の流行や被害状況も異なるため、「各都道府県警との連携が非常に重要なものとなっています」と春日氏は語った。

実際に詐欺被害の減少につながった事例としては、長崎県警と協業して「サポート詐欺」の注意喚起をおこなった事例がある。「サポート詐欺」で使用される手法の1つである「電子マネーカードを購入させる手口」での被害を購入時に止められればと、長崎県内のコンビニエンスストア、大型家電量販店、携帯ショップに注意喚起のチラシを展開。「サポート詐欺」の被害減少に協力したとのことで、感謝状も贈られたという。

 

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長崎県警との協業で制作したチラシ

最後に、「今後、警察と連携することで、どのような社会を作っていきたいですか?」と新行アナが問いかけると、「1人1人が安全・安心に、スマホやパソコンを使ってデジタルサービスの恩恵を受けていける社会を作っていきたいと考えています」と春日氏は答えた。そうした社会の実現のために、まずは、特に特殊詐欺を含めた詐欺の被害を少しでも減らすべく、詐欺の手法や種類・対策方法を警察と一緒に世の中に広めて、支援していきたいと語る。

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今後の理想とする社会について質問を投げかける新行アナ

さらに、スマホやパソコンを使う上で心配ごとがあった際に、「1人で悩まず、周りに相談するよう伝えていきたい。家族や友人に連絡したり、警察に相談したり、私たちのようなセキュリティの専門家に聞いてもらったり、頼れるところはたくさんあるので、『頼っていい』ということをぜひ伝えたいです」と語り、「みんなで支え合って詐欺被害を減らしていくような社会を作っていきたい」と熱を込めた。

今後は「警視庁特殊詐欺被害防止アドバイザー」としての活動も

トレンドマイクロは、「警視庁特殊詐欺被害防止アドバイザー」の委嘱を受けている。警視庁特殊詐欺被害防止アドバイザーとは、特殊詐欺の被害に遭いやすい高齢者を対象に、自主的な広報啓発活動や未然防止活動を行う企業・団体に警視庁から委嘱されるもの。今後はそうした活動もおこなっていくといい、春日氏は、「これからますます警視庁と連携して、特殊詐欺被害防止のための活動を行っていきたいと思います」と意気込みを語っていた。

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このインタビューの模様は、7月23日(火)放送の『飯田浩司のOK!Cozy up!』(7時40分頃~『スクープアップ』枠)の中で紹介されている。放送内容は、radikoタイムフリーで聴くことができる。

番組情報

特殊詐欺撲滅キャンペーン

2024年7月22日(月)~ 7月28日(日)

番組HP

手口の巧妙化、複雑化している特殊詐欺撲滅のため、警視庁全面協力のもと、幅広い層に向けた啓蒙キャンペーン。
ニッポン放送がこれまで警視庁と行ってきたキャンペーンのスケールを一回り大きくし、今年1月15日に創立150年を迎えた警視庁で、4月1日に発足した「特殊詐欺対策本部」がメディアと取り組む初の大型キャンペーンです。

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