株式会社ニップン(以下、ニップン)が材料の提供や講師派遣で協力をしている視覚障がい者向けのパン教室が、12月7日(土)、竹之丸地区センター(神奈川県横浜市)にて開催。目の不自由な人たちを支援するための番組『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』を今年も放送するニッポン放送では、その活動に感銘を受けて現地へと取材に向かった。
同教室を主催するKAMEの会は、「“かめ”のようにコツコツと、できる人ができるときにできることを、無理なく着実に実行していくこと」をモットーに、横浜市中区で活動しているボランティア団体。KAMEの会の代表である兼重崇子氏は、ニップンが運営している『ふっくらパン教室』にて講師を務めており、1人1人が楽しくできるよう随所で工夫しながら教えている。
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点字で書かれたシュトーレンのレシピ
目の不自由な人でも分かるように、現場には点字で書かれたレシピも用意されていた。今回は、クリスマスが近いということもあって、シュトーレン作りに挑戦する。
この日使用するニップンの商品は、以下の2つ。
北海道産「ゆめちから」55%以上と北海道産小麦をブレンドした、もっちりとした弾力のある食感が楽しめる強力小麦粉です。
2)ニップン ふっくらパンドライイースト(分包)
予備発酵不要の顆粒タイプなので、粉に直接混ぜて使えます。香り、焼き色が良く、食パンから菓子パンにまで幅広く使えます。3g分包タイプ。
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1つ目の工程「前生地作り」の様子
まずは、前生地作りからスタート。ボウルに粉の半量とイースト菌を入れて混ぜ、牛乳を加えてさらに混ぜてイースト菌を溶かす。バターや砂糖が多いと発酵不足になってしまうため、あらかじめ前生地を作り、生地の一部を発酵させておくことで、その後の発酵をスムーズにおこなえるようにする。
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伝えるために様々な工夫をしながら工程を説明する兼重氏
各工程の説明は、「見ればわかる事」を一つ一つ言葉にして、「聞いてわかる」ようにしている。
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作業中はスタッフが常にサポートしながら進めていく
作業中は、1人につき1人のガイドがついて、二人三脚でおこなっていく。さらに、ニップンのエプロンをつけたスタッフ数名が、現場を動き回ってサポートする。
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『ニップン ほめDELI バーニャカウダの素』を使用して作ったバーニャカウダ
前生地が発酵するまでの間は、ニップンの商品である『ほめDELI バーニャカウダの素』を使用して、この日の昼食として食べるバーニャカウダ作りに挑戦する。参加者には主婦も多く、包丁で野菜を切る工程もこなしていく。切った野菜をお皿に並べたら、美味しいバーニャカウダの完成だ。
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「分割まるめ」の工程へ ここでもスタッフたちが参加者をサポート
前生地が発酵したら、いよいよ本捏生地作り。本捏生地作りでは、ボウルに、半分より少なめの粉と、食塩、砂糖、アーモンドプードル、シナモン、さらにカルダモンを加えて柑橘系の風味を出す。そこに、牛乳に前生地と順に加えて混ぜたのち、残りの粉を入れてこね、バターを加える。そして生地をたたいて仕上げたら、フルーツミックスやクルミを混ぜていく。
ここでも参加者とスタッフが、二人三脚で進めていく。スタッフが現場を駆け回り、「指の裏に生地がついている」など、見えない部分を教えてあげるなどしてサポートする。
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楽しそうな表情を浮かべる参加者 カメラにも笑顔で対応してくれた
楽しそうに生地をこねる参加者たちは、写真撮影にも笑顔で対応してくれる。互いに冗談を飛ばしながら盛り上がる場面もあって、和気あいあいとした雰囲気で進行していく。参加者の中には、毎年『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』を聴いている人や、ニッポン放送のヘビーリスナーだという人もいて、好きな番組について熱く語る姿も見られた。
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焼き上がったシュトーレンを袋に入れ、粉をつけていく参加者
成形してさらに発酵させ、オーブンで焼くといった工程をこなしたのち、最後に、グラニュー糖と粉糖を混ぜ合わせた粉をつけて完成。雪のような見た目になっていることをスタッフが教えてあげるなどして、参加者と喜びを分かち合った。
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完成したシュトーレンを持って笑顔を見せる参加者たち
完成後、パン教室を終えた参加者へ、この日の感想について尋ねてみた。参加者の1人は、スタッフの対応について、「目の見えない人でもできるように、生地を実際に触らせていただきながら教えてもらえるのが、すごくありがたかったです。本当に楽しくできました」と感謝の言葉を。
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シュトーレンの出来栄えに満足そうな表情を浮かべる参加者
別な参加者は、「パン作りは難しかった」と答えつつも、「出来栄えは95点!」と満足のいった様子。「パンをこねるのは、普段やらないことだから楽しかったです」と嬉しそうに答えていた。
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自分で作ったシュトーレンを味わうのが楽しみだと語った参加者
パン教室への参加が今回で2回目だという参加者は、「普段食べないものや作らないものを作ることができて、楽しかったです。家に帰って食べるのも楽しみです!」と笑顔。パン教室の和やかな雰囲気についても、「とても楽しかったです」と話していた。
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親子2代に渡ってパン教室をしているという兼重氏
最後は、兼重氏にインタビューを実施。かつては母もパン教室を開いていたそうで、「親子2代に渡るパン教室」として講師を務めている兼重氏に話を聞いた。
―――お母様に続いて自身もパン教室を始めたということには、どんなきっかけがあったのでしょうか?
兼重氏:KAMEの会の主な仕事は音声訳なのですが、あるとき目の不自由な方から、「レクリエーション的におこなえることはないか?」というリクエストをいただいたんです。料理は手を動かしながらいろいろな話ができるので、目の見える方と不自由な方とのコミュニケーションの場として、とてもいいなと感じました。
―――目の不自由な方との間で、どのようなコミュニケーションが必要と考えていますか?
兼重氏:以前、目の不自由な方で、食品の袋に入っていた乾燥剤を誤って口にしてしまい、酷い目に遭ったという方がいて…。そういうことって、周りにいる人がちょっと教えてあげるだけで、安心して口にできると思うんです。『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』で寄付を募って音の出る信号機を設置することは、本当にありがたいことですが、周りにいる人が「青になったよ」「一緒に渡ろうか」って言ってくれる世の中が、本当に理想だなと思っています。
―――自然と誰かを思いやることができる世の中が理想ですよね。
兼重氏:設備などにお金をかけて充実させることと同時に、誰もがカッコよく事も無げに、思いやりのある行動をして、「あぁ、徳を積んだな」って清々しい気持ちになってもらえれば嬉しいですね。
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参加者へおみやげとして渡されたニップンの商品
パン教室終了後には、お土産としてニップンの商品が配られた。
参加者は、自分で作ったシュトーレンとともに各々持ち帰った。参加者にとっては、「自分が作ったものを家族に振る舞える」というのが、1つの大きな喜びであるという。
「KAMEの会の活動の中で、目の見える方も不自由な方も一緒に楽しめる機会が、今後も増えればいいなと思っています」と語った兼重氏。KAMEの会が手掛けるパン教室は、そんな“誰かのための優しさ”にあふれた場所だった。
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ラジオ・チャリティ・ミュージックソン
2022年12月24日正午~ 24時間生放送
目の不自由な方が安心して街を歩けるように『音の出る信号機』を設置する基金を募るチャリティ・キャンペーン「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」のニュースをお届けします。