埋没か? 脱皮か? 国民民主党の今後
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ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第465回)
■「フェス」の趣も、にじんだ厳しい現状認識
今回は久しぶりに政治の話題です。東京・虎ノ門で4月5日、国民民主党の党大会があり、足を運びました。昨年の両国から都心方向に会場を移しましたが、雰囲気は変わらず。拍手の代わりに参加者がスティックバルーンをたたき、気勢を挙げる場面では、キャノン砲から金銀のテープが噴き出します。二部構成の後半では、所属議員が幹部のウラ話を披露し、「フェス」の趣がありました。昨年はスキャンダルの影響で、壇上で公式の発言は見送った玉木雄一郎代表でしたが、今回はあいさつに臨みました。思えば、昨年の党大会以降、政界は衆参両院の選挙が実施される慌ただしさでした。

東京・虎ノ門で開かれた国民民主党大会
「結党当時のがむしゃらさをいつしか失い、どこか守りに入っていたのではないか。“つくろう、新しい答え”の原点に立ち返る必要がある」
玉木代表はこのように述べ、厳しい現状認識を示しました。先の衆議院選挙では28議席とほぼ現状維持し、「踏ん張った結果」となったものの、51議席とした目標には届かず。「高市旋風」による自民党大勝の陰に隠れた感が否めません。特に与党が圧倒的な多数になったことで、これまでの少数与党時代の交渉による政策実現の手法は困難になりました。
今年度の活動方針では来年春の統一地方選挙の後までに、現状約340人の地方議員を700人に倍増させることを「党全体の必達目標」に掲げました。玉木氏は「地方に根を張る議員がいてこそ、地に足の着いた党勢拡大ができる」と強調。その上で、来年夏の参議院選挙に向けて「候補擁立を先手先手で進める」と述べ、次の衆議院選挙についても小選挙区の候補を前倒しで内定する考えを示しました。
さらに、政策面では「未来先取り政党として地力をつけ、党をアップデートする」として検討チームを設置し、年内をめどに党の綱領や政策を点検する方針を示しました。

第二部では所属議員による「幹部のウラ話」も披露された
■「玉木商店」本人は否定するも…属人的組織からの脱皮なるか?
私が注目したのはこの検討チーム。「未来先取りチーム」と名付けられ、若手国会議員や自治体議員を中心に、「各界の次世代をリードする有識者」も参加するということです。
以前取材した国民民主党の元職員、及川敏章さんの話を思い出しました。及川さんは国民民主党のほか、民社党、新進党、自由党、民主党、民進党、立憲民主党の職員を歴任した人物で、昨年、小欄でも紹介したことがあります。及川さんは当時、国民民主党の課題についてこのように話していました。
「外部の意見を聞くということ。世の中には知恵を持っている人がいっぱいいる。そういうブレーンを集めてくることも必要」
かつての民社党には民主社会主義研究会議という会議体があり、著名な学者も多く参加していたと言います。

記者会見する玉木代表
国民民主党が設置する検討チームについて、玉木代表は記者会見で「シンクタンク機能だけでなく、外の知恵を取り入れるような党運営にしていきたい」と話します。これまで名の知れた学者だけでなく、40代以下の各分野の専門家ら若い人材も発掘する考えも示しました。政策づくりとともに、人材育成も目論みます。政界は政治家個人の力量で物事が左右される属人的な側面が少なくありませんが、現在の国民民主党も玉木代表の存在感が強いことから、結党以来「玉木商店」と呼ばれていました。そうした属人的組織からの脱皮ができるのか注目されます。
もっとも、「玉木商店」という指摘について玉木氏は「思っている以上にウチは合議体、すでに玉木商店は脱している」と強調します。その上で「ベンチャーから中規模になってきている」と述べ、ガバナンス(党内統治)も高度化する必要があると話していました。
与党の圧倒的多数の中、野党の進むべき道は、「風頼み」からの脱却を目指すには……、選挙を見据えて地方で“足腰”を鍛えること、分厚い政策集団を育成していくことは理にかなった行動と言えます。しかし、存在感を維持しながら、その両輪を不足なく動かすには並々ならぬエネルギーが必要です。特に党が目指す「自民党では出せない国民の希望と安心を生み出す新しい政策」……、「手取りを増やす」を超えるわかりやすく、支持が得られる政策を編み出すことができるのか、真の実力が問われます。
アップデートを強調する国民民主党ですが、パソコンでもOSをアップデートする際、古いアプリが動かなくなるような不具合が生じます。アップデートが不調に終われば、多くの霧消した政党が歩んだような道が待っていることでしょう。埋没か、脱皮か……、大きな岐路に立つ中での党大会だったと言えます。
(了)





