駅弁屋さんのカフェ!新函館北斗駅「大玉ほたてと大漁ウニ弁当」(1,780円・吉田屋) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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3月26日に開業した「北海道新幹線」。
現在の終点・新函館北斗駅は、従来の函館駅からおよそ18キロ、北に離れた「北斗市」にあります。
「18キロ」という距離、首都圏でいいますと・・・

東海道線・・・東京~川崎:18.2キロ
中央線・・・東京~荻窪:18.7キロ
(京浜)東北線・・・東京~西川口:17.8キロ
などなど ※参考:JTB時刻表2016年4月号

要するに「遠い」ということなんですが、それをカバーするためにあるのが?

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「はこだてライナー」という連絡列車です。
ライナーと名前はついていますが、普通列車または快速列車ですので、普通乗車券のみで乗車することが出来ます。
JR北海道の733系電車(1000番台)が、基本は3両編成で、新函館北斗~函館間を15~20分ほどかけて結びます。
H5系新幹線とカラーリングを合わせたパープルの帯が、新しいステンレスの車体に映えますね!

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新函館北斗駅の新幹線と在来線は、途中に乗り換え改札口はありますが、
同じフロアで、新幹線の11番線ホームと繋がっています。
ただ、この11番線は、東京方面行・上り列車の発車ホーム。
土産物をたくさん持った帰りは、とても楽チンということかもしれません。
東京方面からやってきた下りの新幹線は、基本的に線路を挟んだ反対側の12番線に到着。
階段・エスカレーターを使った移動が必要となります。
なお、新函館北斗~函館間は、Suica・PASMOなど、交通系ICカードのエリア外。
新函館北斗より先へ乗り換える人は、事前に紙のきっぷを買っておくことが推奨されています。
でも、せっかく新函館北斗駅にやってきたら、ぜひ立ち寄っておきたい注目スポットが・・・。

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その名も「BENTO CAFE 41°GARDEN(よんいちガーデン)」!
実はこのお店、青森・八戸の駅弁屋「吉田屋」さんが官民連携の「青函活性化ファンド」を使って手掛けています。
八戸小唄寿司」などのロングセラーを持つ「吉田屋」さんですが、実は初代の方が、北海道北斗市(旧・大野町)出身という「創業者ゆかりの地」。
100年あまりの時を経て、故郷に錦を飾るといったら少し大袈裟か!?
「駅弁」といえば「ベント~!」という立ち売り・・・というアナタは古い!!
駅弁屋さんとて、今や「カフェ」の時代なのです。

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オープンに合わせ「吉田屋」さんは、数々の新作駅弁を投入しました。
メインの価格帯は「1780円」という、なかなか強気の価格設定。
ただ、駅弁というものは、安いから売れるというものではありません。
東京駅などで駅弁を手掛けるNRE大増さんが、かつて安い駅弁で展開したところ、売り上げが落ちてしまい、高級路線に転じてV字回復したという歴史もあります。
旅先でいつもよりちょっとイイものを・・・と考える人が多いからなんでしょう。

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そして「BENTO CAFE 41°GARDEN」のすごいところは、おかずを選べる「カフェ弁」で、オリジナルの「マイ駅弁」を作れちゃうところ。
お好みの番号をお店の方に告げて組み合わせてもらい、レジで精算します。
開業前後で2度お店にお邪魔しましたが、地元の方はこれを頼んで、お茶していく人が多いように見受けられました。
このほかコーヒーなどの喫茶もあり、有名パティシエの方がプロデュースしたスイーツも・・・。

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このカフェをプロデュースしているのが、吉田屋さんの六代目・吉田広城社長。
(画像右、左は筆者)
3月19日のグランドオープンから、自ら陣頭指揮を執り、接客にあたっておられました。
2002年の八戸開業、2010年の新青森開業、そして今回の北海道新幹線の開業と、全て最前線で立ち会ってきた吉田社長曰く「今回の盛り上がりが一番すごい」そう。
函館周辺の皆さんの「新幹線への期待」の大きさを、肌で感じていらっしゃるようです。

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その吉田社長、イチ押しの新作駅弁が「大玉ほたてと大漁ウニ弁当」(1780円)。
実はこの駅弁、今年1月に京王百貨店新宿店で行われた第51回「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」で先行販売され、大きな人気を博しました。

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「もしかして八戸で作って運んでいるんですか?」と社長に訊いてみたところ、「実はカフェの裏が厨房で、みんなそこで作ってるんですよ」とのこと。
地元(北海道産)の食材、地元の人材を活かしながら、「BENTO CAFE 41°GARDEN」では、限りなく出来たてに近い駅弁を頂くことが出来るという訳です。

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山盛りの蒸しウニの上に、大玉ほたてがドーンと鎮座。
大葉がいいアクセントになってくれます。
近年、吉田屋さんの駅弁には「大玉ほたて」が多く使われているのですが、このネーミングが秀逸で、耳にしただけで食欲をそそってくれるんですよね。

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前回「函館みかど」の「アワビ+ウニ」駅弁に対し、今回は「吉田屋」の「ホタテ+ウニ」駅弁。
実はこの2店、新函館北斗駅の2階(改札外)で、エスカレーターと吹き抜けを挟んで、相対するように店を構えていて、札幌寄りが「函館みかど」、青森寄りが「吉田屋」。
それぞれのお店が「攻めの駅弁」を投入している背景には、2社による「競争」が生まれたことが大きいような気がします。
訪れた日は「函館みかど」が昼前に完売してしまい、工場のある七飯から14時の搬入を待つ状況。
一方「吉田屋」は、厨房の存在を活かして、随時弁当を補給し、地の利を活かしていました。
コレ、どちらも甲乙つけがたい。
新函館北斗の駅弁、かなり面白いことになってます!

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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