今や全国区の人気を集める、JR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」。
松山からの「八幡浜編」は15:52に八幡浜に到着して、14分停車。
16:06発の「道後編」として折り返し、松山へと向かいます。
松山寄りの2号車は、太陽とみかんに因んだ「黄金の章」と銘打たれた黄色い車両。
ちなみに八幡浜で作られる「日の丸みかん」は、日本のみかんの最高峰とも云われますよね。
一方、宇和島寄りの1号車は伊予灘の夕陽にちなんだ「茜の章」。
車内は、2号車と比べてやや「和」のテイストを押し出しています。
特に3人以上のグループで利用できる4人ボックス席は、畳風の椅子。
今回は、この1号車に乗って「道後編」で松山へ戻ります。
「伊予灘ものがたり」の道後編は、八幡浜16:06発、松山には18:06着。
予讃線の伊予長浜回りで、ちょうど2時間の旅となります。
「道後編」はタイミングがいいと、伊予灘に沈む夕陽の時間帯を走ります。
実は「伊予灘ものがたり」の中でもクライマックスと言ってもイイ列車なのです。
この日は、もちろん「道後”櫻”編」として運行されました。
今度は「伊予灘ものがたり」の山側席となりました。
山側席でも海が見えるよう、通路より1段高い位置に座席が設置されているのは嬉しいもの。
あと、座席に備え付けられたクッションの、腰への当たり具合がすごく心地イイ!
ちなみに、この日空いていたのは、団体さんの中にぽっかりと1つ空いたこの席のみ。
でも、個人旅でも団体の中に紛れ込むと、物事の薀蓄を聞けたりするので意外に楽しいものです。
各座席に設けられたシュガーやミルク入れも、なかなか手が込んだもの。
そもそも「伊予灘ものがたり」の車両は、国鉄時代に作られたキハ47という普通列車用の車両。
これを大幅に改造して、キロ47形1400番台の「グリーン車」として営業しています。
最近、この手の車両を改造(製造)する際、外部デザイナーを招へいすることが多いもの。
その中で「伊予灘ものがたり」は、JR四国の社員の方が手がけたのも特筆すべき点です。
【アフタヌーンティー】
Scone(スコーン)
Tarte aux pomme (りんごのタルト)
Fruits(フルーツ)
Meringue fraise(ムラングフレーズ)
Pain aux chocolat Iyokan(伊予柑ショコラのデニッシュ)
Sandwichis aux Ponume de terre et Fromage(ポテトサラダとチーズのサンド)
Salade de Bouqutiere(ブーケサラダ)
Confiture(媛ベリーのジャム)
The(北欧紅茶)
「道後編」の食事は、夕方の運行ということもあって「スイーツ」!
このスイーツの食事予約券も、指定グリーン券と一緒に「みどりの窓口」で購入できます。
ただ、発売が「20食限定」となっている点は注意。
JR四国以外のエリアで購入する場合は、発券に手間取ることもままにあります。
購入する際は指定券の発売直後で、駅が空いている時間帯を狙うのがおススメです。
コチラのスイーツを手がけているのは、松山市のパン屋さん「プチ・パリ」。
お店の方のおススメは、一番手前の「伊予柑ショコラのデニッシュ」とのこと。
パリを代表するヴィエノワズリー(菓子パン)「パン・オ・ショコラ」に松山産の伊予柑ピールを巻いて焼き上げたそう。
チョコレートの苦みと柑橘系の甘酸っぱさがマッチして、とても心地イイ!
このメニューで出されるのは「3月~4月」の間で、5月からは新メニューになるようです。
そして、温かい「北欧紅茶」で〆。
こういった列車では、行き(八幡浜編)・帰り(道後編)両方乗る人も多いもの。
行きの「コーヒー」に対し、帰りが「紅茶」で棲み分けしているのも素晴らしい配慮です。
今回は、団体ツアーの添乗員さんに手伝っていただき撮影できました。
「読売旅行」の添乗員さん、ありがとうございます!
あお、団体で「道後編」に乗車した場合のスイーツは「デザートセット」(1000円)。
この「デザートセット」は、個人客でも当日注文できます。
20食限定の「アフタヌーンティー」が取れなかった場合はコチラで・・・といったところか。
乗り合わせたツアーの皆さんは、大阪発着のツアーでしまなみ海道を巡って道後温泉でお泊り。
温泉宿の美味しいご馳走を前に、このくらいの軽食がちょうどいいかもしれませんね。
再び伊予長浜~伊予市間の「伊予灘」が車窓に広がるエリアに・・・。
やっぱり「海が見える路線」は乗っていて気分がいいものです。
さらに気持ちを盛り上げてくれるのが、車内のバーで作ってくれるオリジナルのカクテル!
カクテルは、1号車に因んだ「茜(AKANE)」と2号車に因んだ「黄金(KOGANE)」の2種類。
「伊予灘ものがたり」の場合は、アテンダントさんに注文すると、席まで商品を持ってきてくれるシステム。
代金(現金)と商品が引き換えとなります。
このほか、オリジナルグッズなどのワゴンを使った車内販売もあります。
今回は「下灘駅」の停車時間に合わせて「茜(AKANE)」を持ってきていただきました。
遠くに静かな波の音を感じながら、ゆったりとした気分でほろ酔いに・・・。
酒がそんなに強くない私は、空が赤く染まる前に、頬が茜色に染まってきてしまいました。
ちなみに、この時は写真を撮るのに手間取っていた私に興味を持った周りのお客さんが、色々アドバイスしてくれました。
西日本エリアの旅は、いろんなことを面白がって話しかける人が多いので、1人で回っても結構楽しいんですよね!
画像は、2010年秋に訪れた「下灘駅」。
この日も雲が出てしまい、夕焼けを見ることは叶わなかったことを思い出しました。
いつかは「伊予灘ものがたり」で伊予灘の夕陽を見たいものです。
ちなみに「下灘駅」のプチ名所には、V字型の「らぶらぶベンチ」も・・・。
座面が斜めになっているので、もれなくくっ付いて座ることが出来そう。
ついついSNSでアップしたくなるベンチであることは間違いなさそうです。
「伊予灘ものがたり」では”ラジオ番組”のような取り組みも・・・。
席に備え付けのメッセージカードに書いて投稿すると、アテンダントさんが車内放送でメッセージを読んでくれます。
この日は、金婚式のお祝いにお子さんたちから「伊予灘ものがたり」の旅をプレゼントされた年配のご夫婦へのメッセージが・・・。
サプライズ的な演出に、車内が一気にお祝いムードに包まれました。
「観光列車」の旅って、1つの箱の中で同じ時間を過ごすので、いつの間にか知らない人とおしゃべりできたりすることも。
ラジオの聴取者同士のような連帯感が生まれることもあるんですよね。
旅の終わりには、一足早く「道後温泉」からのお土産が・・・。
こんなタオル貰っちゃったら「道後温泉本館」に入って、坊っちゃん団子の1つも食べたくなるものです。
訪れた日は、帰りの時間の都合で、立ち寄り出来なかったのが残念。
高い人気を誇るJR四国の観光列車「伊予灘ものがたり」。
1往復しただけですが、早くもまた乗りたい気持ちが出てきています。
「大洲編」「双海編」では、どんな景色が観られるのか楽しみ。
同じ時間帯の列車でも、一定期間を空ければ、料理や景色が変わるので、また違う旅を楽しめる筈です。
首都圏からは少し距離はありますが、足を運んでもまた乗りたくなる列車です。
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/