なぜかクセになる伝統の味!~松山駅「醤油めし」(880円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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JR予讃線・松山~宇和島間を結ぶ特急「宇和海」。
JR四国の2000系ディーゼルカーは「振り子式」の車体を傾ける機能を持っています。
カーブでも比較的スピードを落とさずに走ることが出来るため、スピードアップに貢献。
「振り子式」の車両はカーブのシーンをカメラに収めると、車体の傾きがカッコいいんです。

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「宇和海」は松山駅で岡山方面の特急「しおかぜ」と原則、同じホームで接続します。
この接続方法が少し面白くて、改札直結の1番のりばの宇和島よりに「宇和海」が入線。
一方、岡山よりに「しおかぜ」が入線して、お互いギリギリのところで「縦列停車」します。
これでお金をかけずに、バリアフリーを実現しているのも興味深いところ。
同じようなケースは、第3セクターの「あいの風とやま鉄道」泊駅の乗換でも見られます。

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JR松山駅では特急が「縦」に並びますが、近くの伊予鉄道「大手町駅」では列車が「横」に交わります。
元・井の頭線の電車が走るのは、伊予鉄道の「郊外線」の線路。
この線路に直交しているのが、伊予鉄道の「市内線(路面電車)」の線路。
かつては全国各地で見られた風景と言われますが、今も現役なのは松山だけ。
列車がこの区間を通過するときの「音」と振動が、何とも言えないんですよね!

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JRの「縦列停車」と伊予鉄の「平面交差」を見れば、”鉄分補給”はバッチリなので腹ごしらえ。
松山駅の駅弁を手がける「鈴木弁当店」の売店は、松山駅の改札を入った所にあります。
普段の日は原則、朝と昼に駅弁が入荷、売り切ったところでおしまいとのこと。
訪れた日は昼過ぎの段階で、掛け紙のある駅弁は「残り1つ」でした。

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その1つの駅弁だったのが、松山駅を代表する駅弁「醤油めし」!
1960(昭和35)年の発売開始で、ゆうに半世紀を超えるロングセラーです。
地元の言葉「伊予弁」が番付形式で書かれた伝統の掛け紙も印象的。
私にとっては、この駅弁を食べないことには、松山に来た意味がないと言ってもいいくらい。

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愛媛県の中予地方では、昔から祭りや祝いごとで食べられていたという「醤油めし」。
濃口醤油で炊き込んだご飯の上には、鶏肉や松山揚げ(油揚げ)、コンニャク、ニンジン、ゴボウ、タケノコ、山菜などの具がたっぷり!
保存などの観点から濃いめの味付けと伝えられていますが、東日本エリアから来た人間にはちょうどいいくらい。
一度食べるとまた食べたくなる、不思議な魅力を持った「醤油めし」。
間違いなく、ただ炊き込むだけではない、いろんな努力が見え隠れする伝統の味です。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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