4月23日(土)に開催された静岡県・大井川鐵道の「長距離鈍行列車ツアー」。
新金谷~千頭間を電気機関車けん引の旧型客車で3往復、合計223キロあまり、およそ11時間を乗り通すツアーです。
朝9:48に新金谷を発車した1往復目の列車は、大井川本線の終点・千頭に11:14に到着。
千頭で機関車を最後尾に付け替えて新金谷へ戻るのですが、作業自体は10分もあれば終了。
でも、千頭の発車は11:55ということで「41分」も停車、長距離鈍行列車の名物、いわゆる「ドカ停」ですね。
停車時間が長いと意味もなく改札を出て、駅の周りをブラブラしてみたり・・・。
この日は15:17、18:51と、あと2回もココへやってくるのです。
時間があると、どうも腹が減って・・・ココへ来るまでに「駅弁」を食べているんですが。
千頭駅には大鉄商事の立食いそば屋さんがあります。
営業時間は14:50までと聞いて、次に来る時は開いていないことが判明。
早速「天ぷらそば」を注文することに相成りました。
構内に「だし」の匂いが漂う駅っていいですよね!
青ネギに濃いめのつゆは、静岡エリアの駅そばの定番!
七味をパラパラっとふりかけ、ズルズル~っと音を立てていただきます。
何より「長距離鈍行の停車中に駅そばを味わう」という行為が旅情を誘うんですよね。
店じまいが意外に早いことを知った皆さんが、続々と詰めかけて盛況。
このほか職員の皆さんや、駅周辺の人、クルマ・バイク移動の人も立ち寄る様子が見受けられ、地域に根付いている様子が伺えました。
さあ、再び車内へ戻ります。
「長距離鈍行列車ツアー」の専用列車は自由席ですので、今度は「オハ35 22」に移ってきました。
オハ35をはじめとする「35系客車」は国鉄旧型客車のスタンダードとも言われます。
昭和14(1939)年から昭和23(1948)年まで1301両が製造され、大井川鐵道には合計8両の35系客車が在籍。
あめ色のニスが塗られた木製の内装、戦後製の車両よりシートなどが一回り小さいのも時代ですよね。
発車前、車内を巡回していた車掌さんがいたので付いて行ってみると・・・!?
機関士さんとこれからの運行の打ち合わせでした。
職人さんの手によって支えられている「大井川鐵道」の客車列車です。
最近はどの路線でも、ワンマン運転の電車、気動車が多いもの。
それだけに多くの人が1本の列車の運行にかかわっている様子が頼もしく感じます。
「長距離鈍行列車ツアー」の客車列車は11:55に、定刻通り千頭を発車。
特別に許可をいただいて、車掌さんのアナウンスに密着することに・・・。
国鉄時代に使われていた車内放送のスイッチを入れると「ハイケンスのセレナーデ」が・・・。
最近は「北斗星」「はまなす」などでも流れていたあのチャイムです。
この装置から、あのメロディが流れてくるんですね。
普段の声よりいく分低めの声で、ゆっくりとアナウンス。
観光列車やツアー列車ですと、盛り上げようと「エンターテイメント」な車内放送をする車掌さんもいます。
でも、このツアーでは、昔の客車列車を再現すべく、抑制のきいた内容になっていたのが印象的。
もてなし過ぎない「観光列車(ツアー列車)」というのもアリですよね。
コチラの車掌さんも1日にわたって、ツアー列車に乗務されていました。
大井川の川面に映る水鏡を眺めながら1往復目の後半へ。
いよいよ「大井川鐵道」名物の、あの列車とすれ違います。
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/