さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、体感型アトラクション・シアター4DXに注目。
4DX専門に制作されたジャパニーズホラー映画『雨女』試写会での体験を元に、4DXの魅力を掘り起こします。
Jホラーの名手が仕掛ける、新たな<恐怖>体験
IMAXや3D、爆音上映など、映画館における上映スタイルの多様化が進む中、近年、特に注目を集めているのが4DX。
モーションシートが映画のシーンに合わせて、前後&上下左右に振動。
さらに風、水、香り、煙といった演出効果で映画のシーンを盛り上げ、映画の世界観を疑似体験出来ることで人気を集めています。
ますます進化を遂げる4DX専用の映画として製作されたのが、6月4日(土)から公開されている『雨女』です。
雨の日の夜になると、必ずと言っていいほど同じ夢を見る理佳。
それは大雨の中、踏切で電車が過ぎるのを待つ幼い少女の目の前で、女の子を抱きかかえた黒い服の女が電車に轢かれてしまうという夢だった。
そんな夢を毎回見続け、さらに現実でも恋人との関係が煮え切らず。
憂鬱な気持ちを引きずったまま、理佳は母親の命日に地元に帰省する…。
本作で初めて4DX専門の作品を手がけたのは、『呪怨』を始め数々のヒット作を手がけてきたJホラーの名手、清水崇監督。
徹底的に4DXのシステムを研究した清水監督。
五感を直接的に刺激し、恐怖が骨の髄まで染み渡るような臨場感あふれる恐怖を描き出しています。
マスコミ試写会が開催されたのは、ユナイテッドシネマ豊洲の4DXシアター。
果たして、体験型<恐怖>エンターテイメントとはいかに?
これは、未体験の4DXだ!
『雨女』で4DX体験してみて最初に思ったのは「Jホラーと4DXは相性がいい」ということ。
特徴的だったのが、『雨女』というタイトルどおり、雨のシーン。
スクリーンの中でシトシトと雨が降ると、モーションシートに座る観客にはサラサラとしたミスト状の雨が降りかかります。
皆さんも経験ありませんか?
傘をさすには大袈裟だし、ささないと濡れちゃうし…という、中途半端なパラパラ雨。
あんな感じの降り方なんですよ。
そのなんとも鬱陶し〜い感じと雨のシーンが醸し出す不穏な空気感が見事にマッチし、より恐怖心を煽ります。
また、予測不可能な怪奇現象シーンは、シートの揺れや風で表現。
このエフェクトのタイミングが素晴らしく、いつエフェクトが起こるか予測不可能なので、映画を観ている私たちも緊張感でいっぱい。
まるで、恐怖に追い詰められる主人公の心情を我々も同時に体感しているかのよう。
怖いっ!と思って目を閉じても、同時に、シートが揺れたり水が降ってきたり風が吹きかかったり、ありとあらゆるエフェクトが次々に襲いかかってくるのですから。
よくホラー映画のキャッチコピーで「逃げ場がない恐怖」みたいなコトを言いますが、まさに「逃げ場がない状態」なんです。
本作では、揺れているのかどうかわからない程度のシートの微動や微細なミストなど、4DXの機能を駆使することで視覚的な恐怖と体感型の恐怖を絶妙なバランスで表現することに成功。
それと同時に、「4DX=ダイナミックなアトラクション」という従来のイメージを覆し、ホラー映画の作品世界を最大限に引き立たせる要素として、4DXが一翼を担うことが出来ることも実証しています。
日々進化している4DXは、映画館でこそ楽しめる体感型シアター。
4DX未体験という人も『雨女』で4DXデビューしてみてはいかがでしょうか。
『雨女』
2016年6月4日から全国のユナイテッド・シネマほかにて4DX(R)限定公開
監督・脚本:清水崇
出演:清野菜名、栁俊太郎、高橋ユウ、みやべほの、奈緒、田口トモロヲ ほか
©2016「雨女」製作委員会
公式サイト http://www.ame-onna.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/