岩手県の宮古駅は、JR山田線と三陸鉄道北リアス線の接続駅。
山田線は県庁所在地の盛岡を起点に宮古を経由、山田、大槌といった三陸海岸沿いの町を通り、釜石まで150キロあまりの路線です。
しかし、平成23(2011)年の東日本大震災で宮古~釜石間は大きな被害を受け、今も運休中。
既にJRによって復旧工事は始まっていますが、完成後はJRから三陸鉄道へ移管されることが決まっています。
一方、盛岡~宮古間の山田線は、震災後もキハ110形気動車などによって少ない本数ながらも運行されていたのですが・・・。
去年(2015年)12月、宮古市内で土砂崩れが発生、山田線の列車も巻き込まれてしまいました。
亡くなった方はいませんでしたが、山田線は上米内(盛岡市)~川内(宮古市)間も不通に・・・。
途中で折り返し運転は行われているものの、盛岡~宮古間を鉄道で移動することは出来なくなってしまいました。
地元紙などの報道では、運転再開は早くても来年(2017年)秋以降などと伝えられています。
私が7月に国道沿いから現場を見た印象でもブルーシートが見える程度で、まだ工事は本格化していない様子でした。
盛岡~宮古間の山田線は、元々運行されている本数が極めて少ない路線でもあります。
快速でも2時間かかる盛岡~宮古間を通しで運行する列車は、1日わずか4往復。
ただ、盛岡~宮古間の移動需要は全く無いわけではありません。
実は同じ区間で岩手県北バスの「106急行バス」という都市間バスが毎時1本運行されています。
国道「106」号を通るこのバスの所要時間は、JRとあまり変わらない「2時間15分」。
今回の山田線(盛岡~宮古間)の運休でも、この「106急行バス」が振替輸送を務めています。
山田線(盛岡~宮古間)の不通で、様々な影響が出ていると地元紙などで伝えられています。
「106急行バス」も時間帯によって混雑、鉄道の早期復旧を望む声も報じられました。
また、宮古駅で接続する「三陸鉄道」北リアス線も盛岡~宮古間が鉄路で移動できないため、客足に影響が出ているといいます。
そして何より、宮古駅弁の「魚元」さんは、震災+土砂崩れのダブルパンチを受けてしまいました。
女将の張間さん曰く「宮古駅で駅弁を売りたくても”列車が来ない”」とのこと。
こんな時だからこそ、宮古駅弁を”食べて応援”したいもの。
今回は三陸鉄道から「106急行バス」まで18分の乗継時間に「魚元」を訪問。
前回紹介の「海女弁当」と合わせて、予約購入したのは「北の祭弁当」(1,300円)です。
コチラもたっぷり海鮮系の駅弁。
「魚元」は生け簀もある炉端割烹のお店なので、海鮮駅弁は十八番なのです。
「北の祭弁当」の名にふさわしく、彩りが華やかな駅弁。
基本はうに、かに、いくらの三種盛りとなります。
三陸の鉄道や路線バスを乗り継いだりすると、列車本数が少なく乗り継ぎパターンが限られます。
このため、途中下車してその土地の海鮮を味わう時間が、思いのほかありません。
その意味でも、三陸の”乗り鉄”旅では「駅弁」が意外に重宝するんです。
久慈、陸中野田、宮古と北三陸の海を眺めて、山田線の復活を祈りながら、駅弁でその土地の海鮮を味わう・・・。
北三陸の「ローカル駅弁旅」・・・おススメです!
「魚元」(岩手県宮古市大通り3-6-43、電話:0193-63-1700、駅弁は要予約。
鉄道で宮古駅に降りたら、ガソリンスタンドのある右手に向かって歩いて2~3分のお店で受け取り)
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)
【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
「ルートハンター」のコーナーに5年ほど出演させていただきました。そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4,500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/