新津駅「鮭の焼漬弁当(復刻版)」(1,050円)~鉄道のまち・新津のシンボル「新津鉄道資料館」へ行ってみた 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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485系電車

485系電車

今となっては懐かしさを憶える「国鉄色」の485系特急形電車。
ヘッドマークに掲げられた「北越」は、2015年の北陸新幹線開業まで金沢~新潟間を結んでいた特急です。
かつては全国各地で見られた485系電車ですが、来年でJRになって30年、多くは姿を消しました。
今年春には、新青森~函館間の特急「白鳥」を最後に定期特急列車から引退。
現在は、新潟~糸魚川間の快速のみが、毎日運行される列車となっています。

現役時代の485系特急「いなほ」、2010年・酒田駅にて

現役時代の485系特急「いなほ」、2010年・酒田駅にて

屋根を架けられ、大事に展示されている485系電車。
この車両の現役時代、私自身も乗車していた記録が残っていました。
おでこにライトが2つあるのは、485系の中でも特別な「1500番台」。
実はこの車両、元は1970年代に北海道向けに作られた車両なんです。
しかし北海道の厳しい気候に撤退を余儀なくされ、晩年は新潟を拠点に新潟~秋田間の特急「いなほ」などで活躍していました。

新津鉄道資料館

新津鉄道資料館

この485系電車が展示されているのは、新潟市秋葉区の「新潟市新津鉄道資料館」。
旧新津市は、信越本線・羽越本線・磐越西線が接続する交通の要衝として発展してきました。
今も新津には車両製作工場があり、首都圏を走るJRの通勤電車の多くは「新津製」。
そんな「鉄道のまち」のシンボルとも言えるのが、昭和58(1983)年に出来た「新潟市新津鉄道資料館」(入館料・一般300円)です。
新津駅東口からはタイミングがいいと新潟交通の路線バスがあり、最寄りの「新津工業高校」までおよそ5分、Suicaが利用可能です。

200系新幹線とC57

200系新幹線とC57

一昨年(2014年)のリニューアルに伴って登場したのが、200系新幹線とC57形蒸気機関車の19号機。
200系新幹線は、昭和57(1982)年の東北・上越新幹線開業に伴って登場した車両です。
私自身、緑色の新幹線が出た時は、とても衝撃だった記憶があります。
それまで新幹線といえば、何と言っても「青と白」だったわけですからね。
上越新幹線でいえば「聚楽」が担当していたビュフェで買い物をしたのもよき思い出です。

現役時代の200系K47編成、2009年・郡山駅にて(200系なすの)

現役時代の200系K47編成、2009年・郡山駅にて(200系なすの)

「新津鉄道資料館」に展示されている200系新幹線は、リニューアルされながらも最後までオリジナルのカラーで活躍した「K47編成」の先頭車です。
上越新幹線では、平成25(2013)年3月まで、30年あまりにわたって活躍。
その後、廃車となって新津にやって来ました。
この車両も、現役時代の姿が手元に残っていました。
日本の新幹線では最後の「団子っ鼻」、0系の系譜を継ぐ印象的なデザインですよね。

鮭の焼漬弁当・復刻版

鮭の焼漬弁当・復刻版

国鉄時代を彷彿とさせる「新津鉄道資料館」を見学したらいただきたいのが駅弁。
新潟は駅弁屋さんが多い県で、新潟(新津)、長岡、直江津(上越妙高)、越後湯沢で駅弁が販売されています。
その代表格が、三新軒による「鮭の焼漬弁当」(1050円)。
昭和27(1952)年に発売が開始された駅弁で、来年で発売65年を迎えるロングセラー駅弁です。
ニッポン放送では、新潟競馬へ出張があるスポーツアナウンサーの皆さんにファンが多いですね。

鮭の焼漬弁当・掛け紙のエキゾチックジャパン

鮭の焼漬弁当・掛け紙のエキゾチックジャパン

鮭の焼漬弁当・掛け紙の国鉄係員

鮭の焼漬弁当・掛け紙の国鉄係員

「アレ、いつもの鮭の焼漬弁当と見た目が違う・・・」と思われた人もいると思います。
実は「鮭の焼漬弁当」、今年9~11月の期間限定で「復刻版」の掛け紙になっているんです。
よく見ると、国鉄のキャンペーンだった「エキゾチックジャパン」の文字や「国鉄係員」の文字まで復刻!
実は駅弁の掛け紙って、販売当時のキャンペーンロゴや価格が入っているので、1つの「時代を映す鏡」なんですよね。
「エキゾチックジャパン」といえばキャンペーンソングの「2億4千万の瞳」の発売が昭和59(1984)年ですから、上越新幹線が開業して間もない80年代半ばのものを復刻したようです。

鮭の焼漬弁当

鮭の焼漬弁当

ご飯(新潟県産コシヒカリ)
鮭の焼漬
玉子焼
かにコロッケ
竹の子煮
パイン
豆昆布
大根味噌煮
筋子
きゅうり漬
小梅煮

今どきの方は「ご飯が多いかな?」と思われるかもしれません。
驚くなかれ、食べ終わった時に「ご飯が足りない!」と思うのがこの駅弁。
まず、ご飯そのものが美味しくて、下手をするとおかず無しで完食できそう。
鮭の焼漬はもちろん、筋子に竹の子煮など、ご飯が進んでしょうがないものばかり入っているんです。
〆にふさわしい缶詰のパインまで、ど~やって食べていこうか、何度食べても悩みます。

鮭の焼漬

鮭の焼漬

それでもやっぱり圧倒的な存在感を誇るのが新潟の郷土料理「鮭の焼漬」。
三新軒では焼いた鮭を一晩、秘伝のタレに漬けこんで作ります。
箸がスッと入って身離れもよく風味も豊かで、白いご飯の最高のお供!
新潟に来たら、この駅弁を食べずには帰れません。
還暦を超えた駅弁の「貫禄」というものを、ぜひ舌で感じてほしいものです。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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