深川駅「ウロコダンゴ」(585円)~留萌本線終着駅・増毛への旅① 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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留萌本線のキハ54

留萌本線のキハ54

JR函館本線と留萌本線(るもい)が接続する「深川駅」にやって来ました。
留萌本線は、深川~留萌~増毛(ましけ)の間を結ぶ、およそ67キロの路線です。
ただ、今年(2016年)12/4の運行をもって、末端の「留萌~増毛間」(16.7km)が廃止されます。

今回はキハ54充当の深川11:08発、4925D・普通列車増毛行に乗って、増毛への「最後の旅」。
増毛まで行く列車は、深川発5:44、11:08、13:23、16:09、18:10、20:14の6本のみです。
11:08発の列車は2両編成ですが、後1両は途中の留萌止まり。
深川駅では駅員さんが「増毛までご乗車の方は前の車両にご乗車ください!」と案内されていました。

石狩沼田駅

石狩沼田駅

平日ながら概ね座席が埋まったところで、増毛行のキハ54はゆっくりと発車。
『最後に増毛へ鉄道で行ってみよう』と思われる人はかなり多いようです。
札沼線・新十津川(しんとつかわ)9:28着の列車から滝川(たきかわ)に抜け、滝川⇒深川間で特急「スーパーカムイ9号」を使えば乗継ぎ可能。
このため札沼線と一緒に回る人も多いようで、札沼線で見たお顔を何人も見かけました。
そんな人たちと一緒に、かつて札沼線と接続していた「石狩沼田(いしかりぬまた)駅」の使われなくなったホームを眺めます。

恵比島駅

恵比島駅

留萌本線の途中駅で全国区の知名度を誇るのが「恵比島(えびしま)駅」(沼田町)。
実はココ、平成10(1998)~11(1999)年にかけて、TVドラマ・映画の「すずらん」で「明日萌(あしもい)駅」としてロケが行われた駅なんです。
明治時代の駅舎は昭和61(1986)年に取り壊されていたため、ドラマのために昭和初期風の駅舎を再現。
ドラマから15年以上経った今もセットの多くが残されていて、町の観光資源となっているようです。

留萌本線はこの恵比島から次の峠下にかけて恵比島峠越え、少し雪が強くなってきました。

参考:沼田町ホームページ

大和田駅

大和田駅

かつて炭鉱で賑わった大和田駅まで来ると、雪が本降りになってきました。
まだ10月下旬、本州ではまず考えられませんが、さすが北緯43度の留萌です。

ちなみに、北海道の無人駅に多いのが「ダルマ駅」。
昔の貨物列車に連結されていた「車掌車」を改造した駅舎のある駅のことです。
私の田舎の身延線でも、昭和50年代までEF15形電気機関車牽引の貨物列車が走っていました。
小さい頃、最後尾の車掌車って「1度乗ってみたい!」という憧れがあったんですよね。

ウロコダンゴ

ウロコダンゴ

そんな留萌本線の旅のお供としてお薦めなのが、始発の深川駅で販売されている「ウロコダンゴ」(585円)です。
製造元の「高橋商事」は、元々深川駅の駅弁屋さんで、大正2(1913)年から100年以上「ウロコダンゴ」を作り続けています。
残念ながら、駅弁や駅そばは止められてしまったのですが「ウロコダンゴ」は健在!
現在、「ウロコダンゴ」は、駅構内の「深川物産館」などで販売されています。
「生」と「真空パック」の2タイプがあって、今回は「生」(9個入)をいただいてみました。

ウロコダンゴ

ウロコダンゴ

実はこの「ウロコダンゴ」、明治43(1910)年の「留萌本線」開通を記念して生まれた団子です。
元々、高橋商事の初代の方の出身地・新潟で作られていた「椿餅」をヒントに「椿団子」として売り出そうとしました。
ところが、当時の深川駅長が「椿さん」という方。
『つばきだんご~つばきだんご~』と大声で呼ばれるのはチョット・・・となって代わりの名前を考えることに。
当時の留萌はニシンの大豊漁で、深川に到着する貨物列車にもいっぱいニシンのウロコが付いていました。
それをヒントに椿駅長が「団子の形もウロコ形だから、いっそウロコダンゴにしたら?」と提案。
かくして深川名物「ウロコダンゴ」が誕生したわけです。

参考:ウロコダンゴ同封のしおり、深川市ホームページほか)

ウロコダンゴ

ウロコダンゴ

三角のういろうのような団子は、100年経た今もインパクトのあるビジュアルです。
米粉、小麦粉、砂糖などの原料を水で練り合わせ、独特の高圧蒸気で蒸かして製造。
あんこ、白あん、抹茶の3種類の味がもちもちとした食感と共に楽しめます。
「ほのかな甘さ」がクセになって、思わず「もう1個!」と手が伸びてしまいそう。

故郷・越後を思い浮かべながら、新しい土地で作り上げた「ウロコダンゴ」。
「高橋商事」初代ご主人の望郷の念に心を寄せて、ニシンで潤った留萌本線の車窓を眺めながらいただくと、きっと一層美味しく感じられることでしょう。

留萌駅のキハ54

留萌駅のキハ54

深川からおよそ1時間、4925D普通列車増毛行は、留萌に到着。
峠越えの間にキハ54はすっかり雪化粧してしまいました。
列車はココで13分の小休止。

次回、いよいよあと1カ月で廃止される「留萌~増毛間」へまいります!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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