ドナルド・トランプ新大統領が誕生!どうなる?世界経済・日本経済【ひでたけのやじうま好奇心】

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アメリカ大統領選。世界が驚いたドナルド・トランプ氏の勝利!
大胆な税制改革やTPPの離脱、トランプ氏が掲げる経済政策は、
米国経済、日本経済、そして世界全体にどんな影響を与えるのか?
第一生命経済研究所・経済調査部・永濱利廣首席エコノミストに直撃!

ドナルド・トランプ

支持者を前に大統領選勝利宣言をするドナルド・トランプ(アメリカ・ニューヨーク) 写真提供:AFP=時事通信

トランプ新大統領の誕生、金融市場への影響は?

永濱)きのう(日本時間9日)の東京市場はトランプショックで大幅な株安・円高が進みました。
マーケットでは想定外のことが起こり、不確実性が高まると様子見をするもの。
日本の市場関係者の多くはクリントン勝利を予想していたので、想定外のトランプ優勢が伝えられたことで一時混乱したのでしょう。

でも、一時は1,000円を超える乱高下となりましたが、終値は919円。少し戻しましたよね?

永濱)そうですね。取引が終わりに近づくと株価もあがり円安へ戻り始めました。
これはトランプの経済政策は不透明なものが多いけれど、よく見てみると、意外とポジティブに捉えられる政策もあると市場関係者が感じたからです。
一夜明けたNY株式市場が値を戻したのも、それが要因だと思います。

トランプ氏の経済政策についてはどのように見ていますか?

永濱)ポジティブなものとしては「大規模な減税と公共投資」。
やり過ぎて財政赤字が広がるようなことがあれば、国債の格下げにつながり、ドル安になるなど、ネガティブな方向に進む可能性もありますが、積極的にうまく進められればポジティブな要素になると思います。

ネガティブな要素としては何があるでしょうか?

永濱)ネガティブととらえられる経済政策としては、世界経済の足を引っ張る可能性のある「保護貿易主義」と、米国企業が安い人件費で人が使えなくなる「移民抑制」が挙げられます。

トランプ新大統領誕生による日本経済への影響は?

永濱)今後の展開次第です。アメリカが財政赤字を増やさずに財政政策をうまく進められれば、日本にもプラスになる可能性が考えられますが、逆に保護貿易、移民抑制などが足を引っ張ってしまうとネガティブになってしまうでしょう。希望的としてはポジティブに動いてほしいですね。

TPPに関してはいかがでしょうか?

永濱)米国の保護貿易が進むと、アベノミクスの成長戦略の柱である「TPP」は難しくなり、それに伴う日本国内での構造改革も進みにくくなります。短期的にマイナスになるわけではありませんが、TPPが白紙になれば、中長期にジワジワと日本経済に影響が出てくる可能性はあると思います。

米軍駐留費、もし日本政府が全額を負担するようなことになったら引いては日本国民の負担になってしまいますよね?

永濱)そうですね。財政赤字がある中で、さらに増税などの国民負担となれば、私たちの財布にも影響が出てくる可能性はない…とは言えません。もちろん、このままポジティブな面が大きく出て円安株高が進めば国民負担なども相殺できると思いますが、今のところは不透明です。トランプが具体的に何をしてくるのか見極めないといけません。またトランプの経済政策は、共和党の主流派とは反対の政策なので、今後トランプが公約を実行できるのか、注視する必要があります。

大統領選挙も終わったばかりで、まだトランプ氏の経済政策の実力は未知数です。来年1月にトランプ氏が大統領に就任したあと、どんな手を打ってくるのか、我々日本もよく見極めて、的確に対応していくことが求められます。

永濱利廣(ながはまとしひろ)第一生命経済研究所 経済調査部・首席エコノミスト
1995年3月 早稲田大学理工学部工業経営学科卒。東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
1995年4月 第一生命保険入社。1998年4月より日本経済研究センター出向。
2000年4月より第一生命経済研究所経済調査部、2016年4月より現職。
経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事兼事務局長、一橋大学大学院商学研究科非常勤講師、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、㈱あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使。

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11月10日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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