静岡~甲府間を身延線経由で結ぶ特急「ふじかわ」。
平成7(1995)年デビューの373系電車が、3両編成で7往復しています。
富士山麓を走る身延線ならではの景色は、富士宮市内の「西富士宮~沼久保(ぬまくぼ)」間で味わえます。
甲府行の列車の場合、富士山の大沢崩れを源流とする潤井川(うるいがわ)の鉄橋を渡って左カーブを描き始めたあたりからがビューポイント。
「ワイドビュー」の冠が付く特急「ふじかわ」の窓いっぱいに富士山と裾野に広がる富士宮の街が広がります。
身延線・西富士宮~沼久保間は、時刻表の表紙を飾ることもある絶景区間。
今回は、西富士宮駅から富士急静岡バスの宮62系統「上柚野(かみゆの)」行でビューポイントを目指しました。
“グリーンベルト”と呼ばれる富士急バス独特のカラーリングが見られると、富士山に来たなぁという感じがしますね。
バスの本数は多くありませんが、西富士宮駅8:36発の便は毎日運行、東京発の初電から乗り継ぐことも出来ます。
5分ほど乗って「青見(おおみ)入口」バス停で降りますと・・・?
お~っ!これはスゴイ!!
目の前に3776mの剣ヶ峰がセンターに来た「富士山」がドーンと現れました!!
富士宮は私の地元ですが、この場所をちゃんと訪れたのは初めてです。
手前に富士フィルムの富士宮工場が広がり、ココで「写真を撮りなさい」と言わんばかりの場所です。
富士急静岡バス「青見入口」バス停は、日本一美しい富士山の見えるバス停かも。
近くの線路沿いにやってくると、甲府からの3624G・普通列車富士行が通過。
この後やって来る「ふじかわ1号」に備え、練習を兼ねて後追いで1枚押さえたお陰で、冒頭の1枚を撮ることが出来ました。
通りかかった地元の方も「今日は(富士山が)よく見えていいねぇ」と一言。
やはり、この場所には、鉄道写真を撮る方が時々訪れているようです。
なお、辺りは普通の住宅地ですので、民家や畑などに入ってはいけません。
この撮影ポイントのスグそばにも養鱒場があります。
実は富士宮市は、日本有数の「ニジマス」の街。
豊富な富士山の湧き水が、養殖を支えているんですね。
勿論、そんな地元ゆかりの食材を使った駅弁もあります。
東海道新幹線・新富士駅の「鱒ずし」(540円)です。
新富士駅弁・富陽軒の「鱒ずし」は、笹ずし風の軽食駅弁。
掛け紙を外すと笹にくるまれた3個の鱒ずしが現れました。
丁寧に笹のはずし方の注意書きも添えられ、サッパリとおにぎり感覚で食べられます。
東京~新富士間は、各停の「こだま」でも1時間10分程度。
新富士から身延線へ向かう際、あるいは東京まで、小腹が空いた時に重宝しそうな駅弁です。
その足で富士山の湧水が流れる「富士山本宮浅間大社」脇の神田川へ。
先ほどまでの青空も、日が高くなるにつれて雲が出てきました。
お陰で「頭を雲の上に出し」た「富士山」が見られました。
これから空気の澄んでくる冬こそ「富士山」のビューシーズン。
晴れた日は「富士山」を観に、身延線の旅を楽しんでみては!?
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/