岡山~高知方面を結ぶJR土讃線(どさんせん)の特急「南風(なんぷう)」。
最長距離を走る岡山14:05発の「南風13号」は所要時間4時間59分で、終点・宿毛(すくも)には19:04着。
「南風」は、今や在来線トップクラスの長距離昼行特急となりました。
高知以遠へ直通する列車は、高知で10分程の停車時間があるのも嬉しいところ。
日中の列車は、丸亀~琴平間で車内販売も行われています。
「南風」に充当されるのは、JR四国の2000系気動車。
車体を傾けることでカーブも高速で走れる、世界初の「制御付自然振子式特急気動車」として平成元(1989)年3月にデビューしました。
「南風」の車窓は、主に「瀬戸大橋、四国山地越え、大歩危・小歩危、太平洋」の4つがポイント。
特に「大歩危・小歩危」では、車窓の右に左に風光明媚な峡谷が続きます。
私のお薦めは、琴平~阿波池田間の峠越えで見せるパワフルな走り。
「高速道路なんかに負けない!」と言いたげなエンジンの唸りが、鉄道旅好きを唸らせます。
四国の鉄道旅を楽しむなら「誕生月」がお薦めです。
それというのも、JR四国には「バースデイきっぷ」というおトクなきっぷがあるんです。
なんとコレ、JR四国全線の「グリーン車」が3日間乗り放題で「10,280円」!
私は12月生まれなので、四国へ行くのも圧倒的に「12月」!
かつてはグリーン車三昧で、愛媛の道後温泉と高知の松葉川温泉をはしごして楽しんだこともあります。
四国の旅の拠点となるのは、やっぱり「高松(たかまつ)」。
かつて高松駅は宇高連絡船を受けて、四国の玄関口としてにぎわいました。
現在は高松港と一体になった「サンポート高松」として再開発され、高い吹き抜けのある今風の駅舎になっています。
四代目となるこの駅舎の完成時に出来たのが「サンポート高松幕の内弁当」(1,000円)。
現在は岡山の三好野本店が調製を行い、高松駅弁のブランドでステーションクリエイト東四国が販売しています。
【お品書き】
ご飯三種(ゆかり・黒米入ご飯、味飯〉
鮭の西京焼
メンチカツ
野菜かき揚げ
鶏の山賊焼
肉団子
玉子焼
小松菜のおひたし
牛肉と野菜のうま煮
焼豚
キャベツのコンソメ煮
笹巻きもち
幕の内というと、焼魚・蒲鉾・玉子焼が「三種の神器」。
でも、この駅弁は蒲鉾が無いイレギュラーな幕の内です。
高松に蒲鉾文化が無いわけではなさそうですので、ガッツリ食べてほしい人向けの駅弁ということかも。
四国の行政的な機能が集まる高松だけに、ビジネス需要も満たせる駅弁も必要なのかもしれません。
土讃線・多度津~大歩危間では、来年4月から新たな観光列車「四国まんなか千年ものがたり」が走り始めます。
既に発表されている内容を見る限り、「大人の旅」を意識した食事も楽しめる列車。
寝台特急「サンライズ瀬戸」や東京6:00発「のぞみ1号」からも乗り継げるダイヤになりそう。
しかもこの列車「全車グリーン車指定席」の特急列車なので「バースデイきっぷ」でも利用できそうです。
誕生月は「四国」で、鉄道の旅を楽しんでみては!
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/