近畿日本鉄道・青の交響曲「季節のオリジナルケーキセット」(1,100円)~3,000円以内でプチ「VIP」気分!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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青の交響曲・近鉄16200系

青の交響曲・近鉄16200系

近鉄吉野線・吉野駅に、濃紺の3両編成の列車が入ってきました。
この列車こそ、今、話題の観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」!
今年(2016年)9月のデビュー以来、発売・即完売の列車も多い大人気の列車なのです。
私も有楽町の近畿日本ツーリストのお店に足しげく通って、ようやく吉野発の列車を確保。
実際に乗車して、その人気の秘密を探ってみることに致しました。

青の交響曲

青の交響曲

「青の交響曲」は、大阪阿部野橋~吉野間を、ほぼ毎日1日2往復運行。
大阪阿部野橋発は「10:10、14:10」、吉野発は「12:34、16:04」。
日本一高いビル「あべのハルカス」と日本一の桜の名所「吉野」を乗り換えなしで結びます。
乗車には乗車券のほか、特急券(510円)+特別車両料金(210円)が必要。
それでも阿部野橋~吉野間・合計「1,690円」で、日本の鉄道の中でも有数の上質なサービスを受けられるのは、他にない大きな魅力です。

吉野駅

吉野駅

今回は、吉野12:34発の大阪阿部野橋行・第2便に乗車。
近鉄吉野駅は今も”パタパタ”こと、フラップ式の時刻案内が健在でした。
“ベストテン”を観て育った世代には、このパタパタがたまらないものです。
交通系ICカードが使えるので改札は常時入れますが、乗車は発車10分前から。
早速13:51着の大阪阿部野橋まで、1時間17分の旅を楽しむことに致しましょう。

青の交響曲

青の交響曲

「青の交響曲」のコンセプトは「上質な大人旅」。
列車が明日香村・吉野といった歴史ある地域を通ることから、外装は濃紺にゴールドのラインが入って落ち着いた雰囲気となっています。
それらの魅力的な地域との”調和””響き合い”をイメージして「青の交響曲(シンフォニー)」と命名されました。

ちなみに「青の交響曲」の16200系は、元々「6200系」という一般車両。
一般車両が特急車両にバージョンアップするにあたって、一体どんな改造を受けたのか・・・乗り込んでいきますよ!

青の交響曲・座席スペース、画像提供:近畿日本鉄道

青の交響曲・座席スペース、画像提供:近畿日本鉄道

なんと素晴らしい! 普通列車時代の面影は殆どありません。
座席スペースに一歩足を踏み入れれば、フワッと沈み込むくらい上質感あふれるカーペットで、自分の席にたどり着くまでにもうワクワク。
しかもシートは、通路を挟んで全て幅の広い「2人掛けー1人掛け」で優しく体を包み込んでくれます。
勿論、壁側や前の座席の下には、PC・スマホ用の電源コンセント付。
シートによっては、テーブルの付いた3~4人用の「サロン席」、2人用の「ツイン席」もあってグループ利用も考慮。
このシートが、首都圏のJR普通列車グリーン車の平日最安料金「770円(50km以内、事前料金)」より安いのです!!
首都圏と関西圏の人口規模の違いもあるので単純比較はできませんが、関西の方はこの車両にほぼ毎日乗れるチャンスがあるのは羨ましい限り!

青の交響曲・ラウンジスペース、画像提供:近畿日本鉄道

青の交響曲・ラウンジスペース、画像提供:近畿日本鉄道

ただ、この素晴らしいシートに身を委ねる前に、絶対に足を運びたいのが2号車の「ラウンジ車両」。
手前のソファーはフリースペースで、奥にはホテルをイメージしたバーカウンターがあります。
乗り込んだお客さんは皆、わき目もふらず「バー」に直行。
乗車した日も、吉野発車前から長い行列が出来ていました。
ちなみにバーカウンターの奥のデッキには、小さなライブラリーも設置されています。

季節のオリジナルケーキセット、画像提供:近畿日本鉄道

季節のオリジナルケーキセット、画像提供:近畿日本鉄道

お客さんが挙って買い求めていったのは「季節のオリジナルケーキセット」(1,100円)。
実はこのケーキ、今年(2016年)に行われた主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」でデザートを担当した赤崎哲朗さんの車内限定オリジナルケーキ。
乗車した日は、秋の味覚・洋梨とミルクチョコレートのマリヤ―ジュ「エクセラン」でした。
メニューは季節ごとに変わる予定で、この冬はヘーゼルナッツと柚子のハーモニーに豊かなキャラメルの薫りが加わった「ボヌール」とのこと。
これにコーヒー、または紅茶がセットで付いてきて、1,000円ちょっとで首脳気分が味わえます。

「青の交響曲」スイーツ、画像提供:近畿日本鉄道

「青の交響曲」スイーツ、画像提供:近畿日本鉄道

・季節のオリジナルケーキセット(大阪マリオット都ホテル)
・西吉野の柿スイーツセット(柿の専門いしい)
・マカロンセット(La peche ラ・ペッシュ)
・ジェラート各種

カウンターで購入した「スイーツ」はラウンジスペースでいただいてもよし、自分の席でいただくことも可能です。
ただ、セルフサービスですので、食器は自分でカウンター脇に返却します。

このバーカウンターで忘れずに手にしておきたいのが、吉野杉を使った「記念乗車証」。
本の栞代わりに使いたいくらいで、挟んでおけば木の香りに癒されること間違いなし!
また乗車証があると、吉野エリアでは様々な「割引」が受けられるのも有難いところです。(2017.3/25までの予定)

シンフォニーハイボール、画像提供:近畿日本鉄道

シンフォニーハイボール、画像提供:近畿日本鉄道

「上質な大人旅」ということで、アルコールが充実しているのも特徴。
中でも魅かれるのは「シンフォニーハイボール」(500円、吉野梨、下北山村育ちのジャバラ)。
つまみには、吉野葛入りの「ごま豆腐」(400円)、軽食に「柿の葉寿司」(ゐざさ中谷本舗、450円)など、沿線の食材もいっぱいです。
吉野の山を歩いた後に、軽くアルコールを楽しみながら大阪に帰ることが出来るのは嬉しいものですね。
橿原神宮前~吉野間は単線のため、駅でのポイント通過などが多いので、特に吉野発の列車は飲み物などの持ち運びに要注意。
バーカウンターの営業は、終点の15分ほど前で終了しますので、オリジナルグッズなどは早めに押さえておいた良さそうです。
なお、バーカウンターでは現金精算となります。

青の交響曲、画像提供:近畿日本鉄道

青の交響曲、画像提供:近畿日本鉄道

「青の交響曲」の魅力は、何と言っても落ち着いた車内の雰囲気とお値打ち感!
満席でも、3両編成の列車に60名そこそこなのでゆったりとしているんですよね。
加えて、乗車時間が1時間そこそこで「もう着いちゃうの?」というイイ意味の”腹八分目感”も「もう一度乗りたい!」という気持ちにさせてくれます。

吉野といえばその昔、後醍醐天皇が流された地ですが、「青の交響曲」に乗れるなら、私は毎日でも吉野に流されたいくらいです。(吉野の“きずし”を頂いた時にも思いましたが・・・)
きっぷ+ケーキセットでも3,000円でお釣りがくる「VIP気分」、これは一度味わうべきでしょう!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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