2016年公開映画、漢字一文字で例えると…。【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第128回】

By -  公開:  更新:

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今年最後の更新となる今回は、八雲ふみねが選ぶ2016年ベストムービーを掘り起こします。

2016総括01

毎年、この季節になると「八雲さんのベストムービーを選んで下さい」というご依頼を多く受けます。
その年に公開された膨大な数の映画たちを振り返るのは、大変ながらも楽しい作業。
個々のパンフレットを見返していると、ついついじっくり読み返してしまい手が止まることも多々あります。
さて、『シン・ゴジラ』『君の名は。』の社会現象的大ヒットに話題が集中した、2016年映画興行。
年々、ターゲット層が低年齢化している…という話もありますが、今年は大人の興味も惹くエンターテインメント作品や良質なアート系作品も多かったように思います。
また邦画に関して言うならば、オリジナル脚本の意欲作が目立った年でもありました。
映画はそれぞれ唯一無二の存在ですから、個人的には「ベスト○○」といった感じでランキングをつけるのはあまり好きではありません。
そこで、今年印象に残っている映画を漢字一文字で例えるならば…。

「驚」。

日々、様々なジャンルの映画を観る中で、かつてないほどの驚きや喜びに溢れた作品に出会えると、やはり嬉しいもの。
そんな“驚き”を持って楽しめた作品をピックアップしてみました。

“俺ちゃん”の面白さは世界規模!『デッドプール』

DEADPOOL

©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

お茶目で無責任な毒舌家。
自分のことを“俺ちゃん”と呼ぶ図々しいスーパーヒーロー(?!)、デッドプール。
アメコミヒーローものは数あれど、キャラクターの奇抜さでは他を寄せつけないインパクトを与えた本作。
いわゆる“ヒーロー”の定義を逆手に取ったストーリーテリングは驚きを通り越して、痛快そのものでした!
監督の降板などで紆余曲折あった続編製作も、どうやら2017年6月にクランクインすることで落ち着いた様子。
デップー旋風はまだまだ続きそうですね。

映画の“ステキ”がすべて詰まってる『PK ピーケイ』

PK ピーケイ

©RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED

突然歌う!とにかく踊る!!そして、上映時間が長い!!!
…と、観るたびに新鮮な驚きを持って楽しめるインド映画。
本作も例に漏れず、宗教というデリケートなテーマを扱いながら、娯楽映画としても社会派映画としても見応えたっぷりでした。
10月末に公開された映画ですが、全国でアンコール上映を行う映画館が続出。
年末年始、都内の劇場でもまだまだ元気に上映中です!

“しゃべり”をエンターテインメントに昇華させた『セトウツミ』

セトウツミ

©此元和津也(別冊少年チャンピオン)2013 ©2016 映画「セトウツミ」製作委員会

ご覧になった方なら分かると思いますが、本当に瀬戸くんと内海くんが河原に座って喋ってるだけの映画なんですよね。
この原作コミックの実写化を企画した人にも驚愕ですが、それを実現してしまった大森立嗣監督・キャストにも拍手。
映像表現における“シンプル・イズ・ベスト”を追求した快心の一作です。
ダブル主演を務めたのは今年大躍進を遂げた池松壮亮さんと菅田将暉さん。
彼らの来年の活躍にも、期待が高まります。

次回作でも驚かせてください!『クズとブスとゲス』

クズとブスとゲス

©2015 映画蛮族

奥田庸介監督は、4年前、24歳にして『東京プレイボーイクラブ』というオリジナル作品で商業映画デビューした鬼才。
当時「スゴイ才能の持ち主だなぁ~」と驚き、それから奥田監督の次回作をずっと心待ちにしていました。
しかし『東京プレイボーイクラブ』以降、映画を撮りたくても撮れない環境の中で体調を崩したり、精神が不安定な状態が続いたりしたこともあった奥田監督。
満を持して発表した本作は、奥田庸介の人生そのものとも呼べる衝撃作。
非情なまでの暴力描写に心をヒリヒリさせながら、再び奥田監督作品に出会えた喜びに酔いしれました。
次回作『ろくでなし』も完成し、2017年春に公開が決定しています。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』

リップヴァンウィンクルの花嫁

©RVWフィルムパートナーズ

観終わった後のおとぎの国から抜け出たような感覚と、後になればなるほど「あれはどういう意味だったんだろう…」と時間差で沸き上がってくる余韻に浸るのが何よりも楽しい映画。
2016年上半期に公開された作品なのに、まだまだ記憶に新しいことにオドロキです。
岩井俊二監督と言えば、あの傑作ドラマ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」がアニメ映画化されることが先日発表され、2017年8月18日から全国ロードショーとなります。
どんな作品が完成するのか、こちらも楽しみですね。

今年5月からスタートした「しゃベルシネマ by 八雲ふみね」。
来年もさらにパワーアップした内容でお届けしていきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
それでは皆様、良いお年を!!!

デッドプール
監督:ティム・ミラー
出演:ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、エド・スクライン、T.J.ミラー、ジーナ・カラーノ ほか
©2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
公式サイト http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/

PK ピーケイ
監督:ラージクマール・ヒラニ
出演:アーミル・カーン、アヌシュカ・シャルマ、スシャント・シン・ラージプート、サンジャイ・ダット ほか
©RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE PRITE LIMITED
公式サイト http://pk-movie.jp/

セトウツミ
監督:大森立嗣
原作:此元和津也 (秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
出演:池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ、宇野祥平 ほか
©此元和津也(別冊少年チャンピオン)2013  ©2016映画「セトウツミ」製作委員会
公式サイト http://www.setoutsumi.com/

クズとブスとゲス
監督・脚本:奥田庸介
出演:板橋俊谷、岩田恵里、奥田庸介、大西能彰、カトウシンスケ、芦川誠 ほか
©2015 映画蛮族
公式サイト http://kuzutobusutoges.com/

リップヴァンウィンクルの花嫁
監督・原作・脚本:岩井俊二
出演:黒木 華、綾野 剛、Cocco、原日出子、地曵 豪、毬谷友子、和田聰宏、夏目ナナ、金田明夫、りりィ ほか
原作:岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』(文藝春秋刊)(http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163903774)
©RVWフィルムパートナース
公式サイト http://rvw-bride.com/

八雲ふみね,しゃベルシネマ

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top