安房鴨川駅「うにとさざえめし」(950円)~千葉の海を眺めてのんびり駅弁!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

By -  公開:  更新:

きょうは、簡単な「なぞなぞ」から・・・。
日本一「低い」駅は、ドコでしょうか?

内房線209系

内房線209系

答えは、千葉県の「安房鴨川(あわ・かもがわ)」駅。
なぜなら、発車する列車が、全て「上り」だから・・・。
安房鴨川は、JR内房線・外房線の終着駅。
このため、発車していく列車の列車番号は、上りであることを示す「偶数」となっています。
そんな安房鴨川駅を発車していくのは、JR内房線の209系上り普通列車・館山行です。

内房線の車窓

内房線の車窓

房総半島の南端部・内房線の館山~安房鴨川間は、ほぼ毎時1本、普通列車のみの運行。
4~6両編成の列車でも、比較的空いていて、最高のローカル線気分を味わえる区間です。
中でも、江見~太海間の「山生(やもめ)橋梁」を渡る所は、海がキレイ!
天気がいい日は、真っ青な太平洋と水平線を眺めながら、ゆったり時間を過ごせます。
209系電車の運転台のある車両は、ボックスシートもあるのが嬉しいですね。

南総軒

南総軒

こんな海を眺めて食べたい駅弁が、安房鴨川駅にあります。
駅弁を手がけるのは、今の外房線が安房鴨川まで開業した昭和4(1929)年創業の「南総軒」。
元々は勝浦で創業し、昭和47(1972)年の特急「わかしお」運行開始に合わせて鴨川に進出、翌年2月から、この地に工場を構えて駅弁を販売しています。
お店は安房鴨川駅の出口と反対側の山側、駅から歩いて数分の国道128号沿いにあります。
なお、安房鴨川駅の駅舎では、改札外のNEWDAYSレジ脇にて駅弁が販売されています。

うにとさざえめし

うにとさざえめし

房総の海にピッタリ合う、南総軒の駅弁といえば、「うにとさざえめし」(950円)!
鴨川ですと、仁右衛門島辺りの磯にいそうなウニとサザエの絵が描かれ、その向こうには灯台。
先に突き出した岬は、房総半島最南端・野島埼灯台を想起させます。
やっぱり中が見えずに、中味を「想像させる」駅弁ってイイですね!

うにとさざえめし

うにとさざえめし

包装を外して、ふたを開けると、パァ~っと磯の香り。
蒸しウニと錦糸玉子の黄色が、イチバンに目に飛び込んできます。
味付けサザエはもちろん、ひじきがしっかり脇を固めます。
思いのほかいいアクセントなのが、セロリの佃煮。
ほとんど磯になりかけた口の中を、強めの個性でバランスよく保ってくれるんです。

うにとさざえめし

うにとさざえめし

ただ、この駅弁がよく食が進むのは、何と言っても「ご飯」のチカラ。
実はご飯が、ひじきの炊き込みご飯なんです。
しかも、ただ炊き込んだだけでなく、まずしょうゆベースで炊いて、熱いうちにひじきを煮汁と共に合わせるという手間をかけたご飯!
しっかり手間がかかっているのに、価格が1,000円以内なんて有難い限りです!

最近は、千葉の鉄道利用者が減っているために、この駅弁も原則、前日までの予約制となっているそうですが、ぜひ予約してゲットしたいもの!
特に内房線・館山~安房鴨川間の空いている時なら、景色も「おかず」になります。
波の音まで聞こえてきそうな風景が、美味しい駅弁を一層美味しくしてくれますよ!
(「うにとさざえめし」の購入は、原則前日までの要予約、04-7092-4651、8:00~17:00)

E257系特急「わかしお」

E257系特急「わかしお」

もちろん、安房鴨川駅の駅弁は、鴨川始発の特急「わかしお」でいただくのもアリ。
時間帯によっては、E257系を2編成繋げた10両編成の列車もあってゆったりしています。
ちなみに、リアルな「標高」の最も低い駅は、なんと「東京駅」で、特に「わかしお」が発着する京葉線ホームは、海面下およそ29メートルなんだそう。
駅弁片手に、日本一“低い”駅を発車する「上り」列車に乗って、リアルに「日本一低い駅」へ向かってみるのもちょっと面白いことでしょう!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top