菜の花が咲き乱れるJR内房線・和田浦駅に入ってきたのは、4両編成の209系電車。
和田浦駅は、千葉県の花・菜の花の中を走り、ホームからは青い太平洋も望めます。
その意味では、209系電車のカラーリング同様、千葉の中でも最も「千葉らしい」駅。
日中、1時間に1回、この駅で行われる列車のすれ違い以外は、のんびりした時間が流れます。
東京から最速2時間半もあれば、こんな景色に出逢えるんですね!
館山方面行のホームから望めるのは、大きな骨格!
実はコレ、地球上最大の動物と云われる「シロナガスクジラ」の骨格のレプリカです。
「道の駅和田浦WA・O!」の入口に展示されています。
和田浦は、古くからクジラ漁が行われてきた町。
これに因んだ駅弁が、内房線の館山駅で販売されているんです。
それが館山駅前の喫茶店「マリン」で販売されている「くじら弁当」(1,000円)。
館山駅は時刻表に「弁」マークは出ていないのですが、駅の階段を下りた所にあるマリンが長年、事実上の駅弁を調製していて、予約にも対応しています。
くじらが描かれた掛け紙が、経木の折詰にかかっていて、実に駅弁らしい弁当。
以前、ご主人に伺った話では、お住まいは和田浦で、地元を盛り上げるべく駅弁の販売を企画。
ただ、採算の観点から、駅弁の競合の無い駅ということで、館山にお店を構えたといいます。
ご飯の水分をしっかり吸って、反り上がった経木のふたを外すと、現れたのは、くじらの大和煮と鯨肉そぼろの二本立て!
ややこげ茶のほうが「大和煮」で、赤茶けた感じなのが「そぼろ」です。
実はコレ、大和煮が醤油、そぼろは味噌と味付けと変えています。
発売当初は、両方醤油の味付けだったそうですが、食べ飽きるということで、お客さんの動向を見ながら、そぼろを味噌味にシフトしていったといいます。
全国でも希少なモノとなっている「くじら」駅弁。
見事、くじら独特の匂いは気にならないくらいに加工されています。
もちろん列車の中で開封しても、まず気になりません。
日本の沿岸部で昔から培われてきた「くじら」の食文化。
ご主人の弁当への愛情を感じながら、南房総ならではの文化を舌で感じたいものです。
東京から南房総へは、JRの「南房総フリー乗車券」というきっぷが出ています。
コチラは内房線・木更津以南、外房線・茂原以南が乗り放題となり、2日間有効。
特急「わかしお」などに乗車する場合は、特急券が別に必要となります。
また、白浜方面のJRバスや館山~鴨川間の日東バスなども乗車できます。
ただ、乗車日の「前日」までの販売となりますので、購入の際はご注意を・・・。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/