大沼公園駅「元祖 大沼だんご」(420円)~100年の時を鉄道と共に歩んできた大沼名物!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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キハ183系・特急「北斗」、函館本線・仁山~大沼間

キハ183系・特急「北斗」、函館本線・仁山~大沼間

函館~札幌間を結ぶ特急「北斗・スーパー北斗」。
JR以降の新型気動車が充当される列車には、「スーパー北斗」の愛称。
国鉄からのキハ183系気動車が使われる列車には、「北斗」の愛称が付いています。
北海道でも、製造から30年以上経った国鉄形気動車の置き換えは、徐々に進行中。
函館本線の小沼の畔を走るキハ183系の姿も、段々と少なくなっていくんでしょうね。

大沼公園駅

大沼公園駅

さて、国定公園に指定されている大沼周辺の玄関口となるのが、函館本線・大沼公園駅。
1920年代に建てられたとされるハイカラな駅舎が、改築を受けながら今も健在です。
大沼公園駅には、日中を中心に、特急「北斗・スーパー北斗」も停車します。
新幹線の停まる新函館北斗からは、特急なら10分、追加の自由席特急券は310円。
新幹線特急券と同時購入し、乗継割引を使えば、さらにお得な150円となります。

元祖 大沼だんご

元祖 大沼だんご

そんな大沼公園駅の名物として知られているのが、「元祖 大沼だんご」(小折・390円)。
大沼公園駅前にある、明治時代創業の「沼の家」が製造、販売しています。
明治36(1903)年、函館本線が開通し、2年後に大沼と駒ヶ岳一帯が道立公園に指定されました。
これに合わせて、「沼の家」初代の方が、道南を初めて走る“陸蒸気”に乗って大沼へやってきた人への土産として、この「大沼だんご」を、明治38(1905)年5月から、作り始めたといいます。

元祖 大沼だんご

元祖 大沼だんご

「大沼だんご」の掛け紙は、京都の俳人・花本聴秋(上田聴秋)が、大正の初め、美しい大沼の紅葉を眺めて詠んだ句が書かれた由緒あるモノ。
早速外すと、餡と醤油の2種類の団子が現れましたが・・・、団子と名乗っているのに串がない!
それもそのはず、実はコレ、折詰自体が大沼と小沼に見立てられていて、新粉で作られた団子は湖面に浮かぶ100以上の島々に例えられているのです。

車窓の大沼

車窓の大沼

ホラ、大沼公園駅を出て、駒ヶ岳方面に進むと、程なく函館本線の進行右手の車窓からも、「大沼だんご」のように、沼に浮かぶ島々が望めますよね。
1つの折詰に入った団子としては、日本トップクラスの「個数」を誇ると思われる「大沼だんご」。
1粒1粒は小さめですが、プルンとした食感の団子が甘すぎないあんこと、風味のいい醤油によく馴染んでいて、あと1個、あと1個と思っているうちに、気が付けば完食してしまうことでしょう。
一度食べ始めると、まるで“特急列車”のように止まらない「大沼だんご」なのです。

キハ183系「北斗」とキハ281系「スーパー北斗」

キハ183系「北斗」とキハ281系「スーパー北斗」

大沼公園駅前にある「沼の家」の店舗で販売されている「大沼だんご」。
大沼公園駅に停まる札幌行特急「北斗、スーパー北斗」の中には、「車内販売」として「大沼だんご」(車内販売価格420円)を取り扱う列車があり、大沼公園駅から積み込みが行われます。
販売は10時台の「スーパー北斗7号」から、15時台の「スーパー北斗15号」までの下り特急。
函館エリアから大沼公園以遠へ特急で移動する際は、車窓に広がった大沼の島々の景色を思い浮かべながら、100年以上にわたって愛されている団子をいただいてみてはいかがでしょうか。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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