トランプ大統領が韓国にTHAAD配備を求めるのは各国にも売るため!?高嶋ひでたけのあさラジ!

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FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

米韓首脳が初会談へ 対北朝鮮政策は?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家、元外務省主任分析官)

トランプ大統領が韓国にTHAAD配備を求めるのは各国にも売るため!?高嶋ひでたけのあさラジ!

SOUTH KOREA USA DIPLOMACY 2017年6月21日 写真提供:時事通信社


韓国はTHAAD撤去を求めている アメリカは増設を求めている

韓国の文在寅大統領は、明日30日、ワシントンで、アメリカのトランプ大統領と双方の政権交代後、初めて会談します。両国の立場が異なるアメリカ軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備と、北朝鮮の核ミサイル問題が最大の焦点です。米韓両首脳の会談は、日本時間の明日深夜に行われる予定となっています。

アメリカ軍の最新鋭迎撃システム、THAADを巡っては、文在寅政権は「本格運用の前に1年以上の時間をかけて、環境影響評価を行う」という方針です。アメリカ軍はすでにTHAADの発射台2基を配備して、初期的な運用を始めていますが、追加搬入した4基の配備の時期は目処が立っていません。
これに対しトランプ大統領は、THAADの配備が遅れていることについて激怒した、と伝えられています。ただ、文在寅大統領としては、THAADの撤去を求めている中国を睨み、本格運用の開始を遅らせたい考えです。なので、今回の米韓首脳会談でも、直ちにその隔たりが埋まる、という見通しは立っていません。
また、文在寅大統領は北朝鮮に対しても、「核ミサイルの廃棄の前に、「凍結」が実現すれば、幅広い対話が可能だ」としていますが、アメリカとしては、「それでは北朝鮮包囲網に穴があいてしまう」と懸念しています。

アメリカのティラーソン国務長官は27日、「北朝鮮が国外で国民を強制労働させ、核ミサイル開発の資金源にしている」として、関係国に北朝鮮労働者を本国に送還するように求めました。ティラーソン国務長官によると、「国外に派遣されている北朝鮮の強制労働者は、推定5万~8万人にのぼり、1日に20時間も働かされ、賃金は北朝鮮政府に徴収されている」とのことです。
国連の報告書などによると、派遣先は中国やロシアにとどまらず、東南アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカにまで広がっており、年間で1,350億~2,580億円の外貨を荒稼ぎしている、とのことです。

こうしたなか、マレーシアでは、「金正男氏が殺害された」ということで、経済制裁として、北朝鮮人労働者に、労働許可証を発給しない方針を決定しました。


過去のパターンから見て、ミサイル防衛は実現しない? 

高嶋)THAADがメインということですが、トランプさんと文在寅さんはどんな雰囲気での話し合いになるのでしょうか?

佐藤)様子見になると思います。なぜかというと、2人とも身動きがとれないのですよ。というのも、文在寅さんは100%国内の世論しか見ていない。「THAADを配備するか否かでのマイナス」、あるいは、「北朝鮮に強く出るか融和するのかのマイナスはどうか?」、だから「凍結」という中途半端な話になる。
THAADも、これは暴論かもしれませんが、ミサイル防衛自体は私は実現しないと思います。これは、レーガンのときのSDIがありましたよね? あれもミサイル防衛でした。経済的に勝てないソ連を防衛競争に入れて、潰すのが目的でした。次にミサイル防衛構想があった。これもいつの間にか立ち消えになって、今度はTHAADが出ている。結局は実現できないし、仮にそれを作ったとしても、「多弾頭弾」というのがある。ようするに、弾が1発ではなく、落ちる前に蓋が開いて、3発くらいの原爆が降ってくるのです。

高嶋)原爆が3つ!

佐藤)そう。そうなると、どっちに飛んでいくか分からないから、落とせなくなる。

高嶋)ちょっと待ってください。そんなものが開発されていて、もう実用出来るのですか?

佐藤)ロシアの技術でもうできています。だから、これを止めないといけない。けっきょく、THAADに多弾頭弾で対応する、ということになると、アメリカも多弾頭弾を作ることになるから、また軍拡競争が始まってしまう。

高嶋)本当ですね。


トランプがTHAADの配備を要求するのは戦争ビジネスのため

佐藤)では、いままでTHAADで何をやろうとしているのかというと、できないのになぜ挑戦しているのかというと、理由は経済政策だと思います。
ようするに、極端なことをいうと、アメリカは戦争が公共事業の国でしょう?THAADを作れば、最終的な消費者は、各国に買わせればいい。それで、技術費というのは、全部積算次第でしょう?つまり、売値で売れる。こんな経済政策ほどいいものはない。

高嶋)我々が素朴に思っているような、北朝鮮に対して鉄槌を加えるような、そんな大まじめな話にはならないわけですか?

佐藤)大まじめな話し合いではない、ということは2人とも分かっているはずです。だから、「THAADが置けなくて怒った」というのは、私は本当のことだと思います。「商売をどうしてくれる!売ることになっている物が置けないなら、売れないじゃないか!」と。「錆びた地帯(ラスト・ベルト)を治すと言っているのだけど、軍産複合体というのは商売になる!しかも、型が古くなったら、どんどん更新して新型を買わせればいい!こんなウマい話はない!」……トランプ氏は、こういった、金儲けの観点から考えていますよね。


北朝鮮強制労働者はアフリカや中東で地下基地を作っている

高嶋)では、マレーシアが「北朝鮮労働者が~」と言って拒否したりするのは、一応、「顔に泥を塗られたから、報復でやらなきゃな」、みたいな。

佐藤)「顔中に泥を塗られたから、こっちは頬くらいに泥を塗ってやる」という、非対称な泥塗りですね。それで、もう1つ注意しなければいけないのが、「アフリカや中東で何をしに行っているか?」という点です。土木なのですよ。地下壕や、地下基地造り。独裁者は地上にいると衛星に見つかってしまいますから、いつも地下にいるのですよ。それがいまの流行。それから、地下で悪いことをする工場。大量破壊兵器や、サリンとか。そういう物を作る工場は地下にある。悪事は地下で行われるのです。この悪事を行う場所を作り出しているのですよ。だから、こんなものは厳しく、止めさせた方が良いです。

高嶋)「悪事を作る」……その仕事をしているのは、北朝鮮労働者ですか?

佐藤)北朝鮮には穴掘りに優れた労働者がたくさんいて。この業界だと北朝鮮の土木関係者が来たら「また穴掘りか」と。

高嶋)銅像を造っているだけではないのですね。

佐藤)そうではないのです。むしろ、穴を掘る技術がスゴいのです。それが、独裁国の魅力なのです。変な国には変な人がたくさんいますからね。「変な人が変なことをしている」ということを、よく見ておかないといけない。


フェイクニュースは本当にフェイクだった!

高嶋)最近のニュースで気になったのだけど、トランプさんが「選挙中からロシアとつるんでいろいろやっていた」という。それで、ロシアの方もいろいろ細工をして、「トランプが勝てるように何かをしたのでは?」という疑惑……

佐藤)それは絶対やっているでしょうね。

高嶋)それで、今日の東京新聞で、「CNNがトランプ大統領の関係者と、ロシアとの繋がりに関する電子版記事を撤回して、調査報道担当の記者3人を退職させた」とか。つまり、私たちはこういう関係のニュースを見ると、トランプが「フェイクニュースだ!」と騒いで、「おまえの方がフェイクだろ」とみんなが思っていたわけですが、CNNがこういう態度に出たということは、「フェイクはあったんだな」と。

佐藤)あった、ということですね。ただ、これはロシアの諺で「匙1杯のタールで、樽1杯のはちみつがだめになる」という諺があります。少しタールが入ったら、蜂蜜は全部使えなくなる。だから、そういうタールがあることが分かったから、CNNは残りの大多数の報道を守るために取り去った。仮に1,000の報道があるとしたら、1個間違いがあっただけでも「フェイクはあるか否か」だと「ある」ということになってしまう。だから、その部分を除去して、しかもその記者に「退職する」という最大の処分をすることによって、「あったが、すでに除去している。残りはフェイクではない」と。こういう戦い方をしようとしている。

高嶋)その証明のために、3人の記者を切った、と。

佐藤)これは、「謝ることができる」、「処分をすることができる」という、CNNの強さです。ダメージコントロールを上手くやっている。「謝れるところは、謝ってしまおう。事実とおかしいところがあった」と。これはCNNの強さで、本来のアメリカ文化ですね、こういうのが。


日本側から強気に動かないと、トランプ氏は日本の拉致問題は興味を持たない

高嶋)それともう1つ。今日の産経新聞ですが、アメリカで、北朝鮮拉致の疑いのあるアメリカ人を調査してくれと共和党議員が大統領に書簡を送ったとか。この間ワームビアさんが、ひどい目にあって、帰国後死んでしまいました。こういうときに、トランプさんがあの性格でカッとしてくれると、北朝鮮の日本人拉致問題にも風穴が空くのかな、と勝手に想像をしますが、どうですか?

佐藤)そこは、直接繋がらないと思います。つまり、アメリカ人の問題ですので。オバマさんだったら、日本の拉致問題とも繋がったと思います。「アメリカ人だから」、ではなく、「普遍的な価値に照らして、こういう人権侵害が行われていること自体が問題だ」と議論になる。トランプさんの場合、アメリカ・ファーストなので、「アメリカ人をよくもやりやがったな」、それで、他の国に関しては言われてから「ああ、そういう問題もあったのか、少し考えてみよう」くらいの感じですよ。ただ、日本ももっと強く言わないとダメですよ。「この機会にアメリカと一緒にやろう!」くらいのことは言わないと。

高嶋)「YesかNo」で答えて欲しいのですが、安倍さんは被害者の前で「絶対解決する」と言っていましたが、何かやっていますか?

佐藤)やってはいると思います。Yesです。ただ、効果が上がっていないですね……

高嶋)期待したいですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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