FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
日本の官僚制度の現状と今後とは?
6:29~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キャノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)
大臣クラスの政治家の問題が相次いで取り上げられる今日。答弁を役人に頼りきりの政治家が取り戻すべきことなど、先週ワシントン出張から帰国された宮家邦彦氏が日本の官僚制度について一言物申す。
政治家がしているのは政治責任のみ高嶋)先週に続いてワシントン出張の話から。いわゆるトランプ政権の現状、局長クラス以下の人たちは決まっていない?
宮家)まだ決まっていないので、議会承認も無いし、全部リストが出て来ているわけでもないです。そうするとどうなるかというと、局長がいないのですよ。今いる官僚、もしくは残っている人たちを代行で使うわけです。今の日本と同じように、次官以下は皆官僚であると。
だけど(ワシントンから)帰って来たら、前川さんという次官が吠えていたじゃないですか。直接知っている人ではないからあまり悪口を言いたくは無いのですが、彼の遠吠えを聞いていると「ああ、もう日本の役人も、官僚制度も終わりだなあ」という感じはするのですよ。高嶋)どの辺に一番お感じになるのですか?
宮家)昔は「このご質問は大変重要ですから、事務方から答弁させます」と言う大臣がいました。何も分かっていないから結局役人に頼る。役人はよく知っているから。
高嶋)「それについて私は素人ですので、これから勉強して……」なんて方がいましたね。
宮家)アメリカではそんなことあり得ないのだけども、そうなると何が起こるかと言うと、本来政治家がやらなければいけない政治判断、もしくは政治決断、そして政治責任、この3つで政治家はやっているわけでしょう。ところがその内の政治判断と政治決断の方は下手したら役人がやってしまうのですよ、よく知っているから。そうすると役人からすれば最高ですよ。だって政治責任は政治家に取らせれば良いのだから。“最強の独立王国”ですよ。これがずっと続いていた。そして議員を黙らせる。それから族議員を作って毒を以て毒を制す。
そういうことをやっていたのだけど、最終的に一番大事なのは良い人をリクルートすることですよね。リクルートするにはどうすれば良いかというと、それはもう徹夜ばかりでひどい目に遭うのだけども、次官にもなれないかもしれない、局長にしないかもしれない。だけど「辞めたらちゃんと面倒を見ますよ。最終的には生涯年収の全国平均のちょっと上には行きますよ」と。そうしなかったらまともな人が来ないですよ。
政治家は「政治判断」と「政治決断」を役人から取り戻さなければいけない高嶋)この頃何だか、東大法学部の優秀な人が民間に行ってしまうのですってね。
宮家)そりゃそうでしょう。だってあんな我々が天下りできると思っていた社会契約が無くなってしまったのですからね。それでまた皆、次官なんて屁みたいなものじゃないですか。だって内閣人事局ができちゃったら官房長官のところで全部局長の人事が決まるのでしょう? そうしたら次官なんて関係無いじゃないですか。
高嶋)だから「政治主導、政治主導」ってお題目みたいにずっと前から言っていましたよね。要するに官僚主導ではなく、政治家が前面に出て国民の意思を呈して「政策を君はやっていかなきゃいけないんだ。政治主導だ」と。それが何だか今度は強力に効きすぎてしまって、官邸とか官房長官の方が偉くなりすぎて、それもちょっとなあ、みたいな。
このままでは優秀な人材が役人にならなくなる宮家)先程も申し上げた政治判断と政治決断、これは政治家が取り戻さなければいけないのですよ。取り戻しているのだけど、今度はこんな仕打ちをすれば良い人が役人にならなくなるのだから、ということは官僚組織の能力が全体的に下がるということです。
高嶋)国会のお役人のあの答弁の仕方を見ていても、知らぬ存ぜぬ、忘れた――あなたそんな優秀な頭で忘れることは無いだろうと。資料を出せと言われればのり弁を出して来る、それがエリート官長、いわゆるトップに君臨するような人たちなのかと、ちょっと皆嘆きの声が聞こえて来ますよ、最近は。
宮家)まあねえ。しかしこういう時代になったということだと思いますよ。