東島)今回私と高嶋さんが取材に出掛けたのは、和歌山県の北側・和歌山市。和歌山城にも程近いところにある「三菱電機・冷熱システム製作所」です。ここは、主に、ビルやスーパー、病院などの人を対象にした冷暖房から、工場や低温倉庫といった目的に合わせたシステムまで、幅広く業務用の冷熱関連製品を生産している製作所です。
高嶋)三菱電機というと、家庭用のエアコンというイメージもあるんですが、業務用のエアコン・空調機なども作っているんですよね。工場には、ビルの屋上にあるような大きな室外機もありました。
東島)今回、「冷熱システム製作所」に行って、最初にうかがったのは、とっても素朴な疑問。どうやって空気を冷やしたり暖めたりしているのか?単純ですけど…意外と答えられないですよね。早速、営業部次長の西隈さんに教えていただきました。
西隈「スプレー缶を思い浮かべてください。缶の中には圧縮された気体が入っていますよね。それをシューっと使っていると缶が冷たくなります。これは気体が膨張することで温度が下がるためです。逆に気体を圧縮すると温度が上がります。そうして気体を圧縮したり、膨張させたりして作られた温度を熱交換器と呼ばれる空調機の細かいパイプに送ります。そのパイプの周りを空気が通過することで、冷たい風や暖かい風になります」
東島)膨張や圧縮によって変化した気体の温度を、室外機の細かいパイプに通すことで、冷たい風や暖かい風を作り出しているということなんですね。今回取材した「冷熱システム製作所」は、そんな気体を圧縮するコンプレッサーや熱交換器など、全てを作っている工場ということです。
高嶋)ニッポン放送もビルですから、各部屋の天井にエアコンの吹き出し口があってそれを辿っていくと、屋上などに四角い機械があります。それがまさしく「冷熱システム製作所」で生産している、業務用空調機の心臓部である「室外機」というわけなんですね。
東島)そんな冷熱システムに欠かすことのできない「室外機」。室外機というくらいですから、部屋の外、屋外に置かれるモノですが…そこで ちょっと疑問に思ったのが、外の温度がものすごく低くても、室外機はちゃんと動いてくれるのか?…ということです。北国だとマイナス10度の気温なんてこともありますからね。
そこで今回、私たちが、営業部・空調営業課の近藤さんに案内されたのが、ショールームに設置された「マイナス25度の部屋」。この部屋には実際に室外機が置かれていて、マイナス25度の環境でも室外機に影響はないのか、実体験できるようになっていました。
高嶋)私と東島クン、近藤さんの案内で、その「マイナス25度の部屋」を体感してきました。さてさて、どうなったのか…!?
高嶋「凄い寒いわ!体の洋服の隙間からグワッと冷気が入り込んできますね。」
近藤「こちらに今、室外機が置かれているのですけど、このマイナス25度の部屋でも、しっかりとこのように動いております。」
高嶋「これで凍り付いたり、動かなくなっちゃったり、そういうことにはならないですか?」
東島「これで、外の部屋では暖かい風が出ているというのが、ちょっと信じられないのですが」
近藤「では、それを外に出て体感していただきます。」
高嶋「・・・むちゃくちゃ寒いよ、これ、」
東島「ここは暖かいですね。ホッとしますね。」
近藤「コチラが温風の体感ゾーンとなっています。」
東島「高嶋さん、メガネが曇っていますよ。」
高嶋「これは、しばらく取れないね。」
近藤「お客様の中には正直、半信半疑の方もいらっしゃいますので、いつでも体験いただけるようにこういったゾーンを作りました。」
高嶋)いやいや、何とも言えない初体験でしたね。最初にいた部屋は屋外を想定したマイナス25度の環境。そこにいると凍える寒さなんですが、横の部屋に移動すると、ちゃんと温風が出ているんですね。マイナス25度の環境に室外機が置いてあっても、まったく影響なく、隣の部屋では難なく暖房ができている…、これには驚きましたね。
東島)そうですね。今回はマイナス25度の環境でしたが、逆に 外が暑くても、隣の部屋は難なく冷房ができるということでした。今の季節は、まさにコチラのパターンですよね。
東島)そして、製品によっては 室外機1台で冷房も暖房も、両方同時に行うこともできるというお話でした。例えば、冬場のレストランだと、お客さんの席ではもちろん暖房ですが、厨房は調理にたくさん熱を使うので冷房が入っています。いまは1台の室外機で、この使い分けが同時にできるそうです。
高嶋)飲み屋さんやレストランにいった時、そういうことは気にしてなかったけど、言われてみれば、冷房も暖房も必要ですからね。賢い機械が増えました。
東島)今回の取材、冷熱システムについて いろいろ教えてもらったんですが、もう1つ、気になったことがあって、この「冷熱システム製作所」では、製品を組み立てるときに、一人ひとりが大きな台車を押しながら、移動して組み立てていたんですよね。
高嶋)確かに。ベルトコンベアで 流れ作業で製品を組み立てるイメージもあったけど、思っていたのとは違ったよね。
東島)その辺り、製造管理部・ユニット工作課係長の嶋田さんに聴いてみました。
嶋田「当社の業務用エアコンは室外機だけでも数十種類もあり、まさに多品種少量生産なので、コンベア式では対応が難しくなっていました。室外機の大きく四角い形状を考慮し、改善を重ねた結果、製品の前後左右からアプローチできる台車を採用することにより、効率よく製品を組み上げることができるようになりました。また、室外機を組み上げる行程はすべて1人の作業員が受け持ち、作業手順をナビゲーションする専用のモニターを設置しています。多品種の生産でも誰でも高品質で信頼性の高い作業ができるようになっています」
高嶋)これは新鮮でしたね。1人の作り手が、台車の上で室外機をどんどん組み上げていくんですが、その作業場にモニターが付いていて、「次はどの部品、次はどのサイズのネジとドライバーを使ってください」ということを教えてくれるんですね。そして、ネジがちゃんと締まっていなかったりすると、次の工程に進まないようになっているので、閉め忘れのような単純なミスも圧倒的に少なくなるということでした。
東島)冷熱システム製作所では、この台車で組立て、作業指示をする仕組みを「台車Navi」と呼んでいて、作業効率も良くなったと話されていましたね。
高嶋)これからの季節、エアコンを利用する機会が多くなります。ビルに入ったら、天井の吹き出し口が ちょっと気になるかもしれません。今朝は、和歌山市にある三菱電機・冷熱システム製作所を、東島クンとともに取材した模様をお伝えしました。
7月20日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より