超高齢化社会・日本が抱える介護の理想と現実とは…『ケアニン〜あなたでよかった〜』【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第242回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は全国順次公開中、7月22日から東京でも公開となる『ケアニン〜あなたでよかった〜』を掘り起こします。

すべてが現実にあったオリジナルストーリー!介護の現場で働く人々を描くヒューマンドラマ


21歳の新人介護士、大森圭。
高校卒業後、特にやりたいこともなく、漠然とした理由で介護専門学校に入学した圭が、卒業後に働くことになったのは郊外にある小規模多機能施設だった。

高齢者たちと上手くコミュニケーションが取れず悩む日々が続くなか、圭は認知症が発症した79歳の星川敬子の担当を任されることに。

試行錯誤しながらも徐々に敬子との関係性を深めていく中で、圭は何気なく始めた介護の仕事と本気で向き合うようになるが…。


『ケアニン』とは、介護、看護、医療、リハビリなど、人の“ケア”に関わり、自らの仕事に誇りと愛情、情熱を持って働いているすべての人を総称した“ケアする人間”を意味する造語。
日本の高齢化に伴う介護職員不足や離職率の高さが社会問題となっている一方で、「これほどやり甲斐のある仕事はない」と胸を張る介護従事者が多いのも事実。

本作では新人介護士の成長を通して、働くことの意味、人と地域のつながりの尊さを描いています。


主人公の大森圭を演じるのは、次世代のカメレオン俳優として注目を集める戸塚純貴。
戸塚演じる圭の“相手役”となるのが、東宝特撮シリーズをはじめ数多くの話題作に出演してきたベテラン女優、水野久美。
痴呆症のおばあちゃまと孫ほども年の離れた新人介護士君とのやり取りは、時にユーモラスで時にスイート。
不器用ながらも距離を縮めていく姿に、思わず釘付けになってしまうことでしょう。

共演には藤原令子、山崎一、松本若菜、菜葉菜、小市慢太郎といった顔ぶれ。
映画の題材となっている介護施設は“そこで普通に生活しているようにケアする”ということがコンセプトとなっている施設。
俳優たちもその施設の世界観にしっかりと根を下ろし“そこに生きる人”を体現。ストーリーにより説得力が増しています。


本作は30カ所もの介護福祉施設や専門学校、関連団体に取材し、シナリオを一つずつ積み上げたオリジナルストーリー。
劇中のセリフひとつひとつは実際の介護の現場で語られた“生きた言葉”で、決してキレイ事ではない、実在の“ケアニン”たちの理想と現実が集約されています。

しかし映画を観るうちに気付くことは、これは私たちひとりひとりのストーリーだということ。
親が子を想う気持ち、子が親を想う気持ち、そして人が人を想う気持ち。
誰もが経験する“想い”が、この映画には詰まっています。


ケアニン〜あなたでよかった〜
全国順次公開中
監督:鈴木浩介
出演:戸塚純貴、松本若菜、山崎 一、水野久美、藤原令子、菜 葉 菜、小市慢太郎 ほか
©2017「ケアニン」製作委員会
公式サイト www.care-movie.com

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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