7/28(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
アメリカの議会には党議拘束がない
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:宮家邦彦(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
日本とは全く違うアメリカの議会
オバマケアの改廃法案を巡って迷走するアメリカ政府。意外と知られてない日本とアメリカの議会のスタイルの違いについて、宮家邦彦氏に詳しく訊きます。
高嶋)オバマケアについてですが、いろいろな記事が交錯していて、アメリカの議会というのも分かりづらいですね。
宮家)簡単に言うと、日本のように「政府がほとんどの法案を提出して、与党がそれを支持して、野党が喧嘩を売る」というやり方ではないのです。
高嶋)まったく違うのですか。
宮家)違います。議員というのは、英語では“lawmaker”と言われていて。つまり「法律を作る人」、立法者です。ひとりひとりが議案や法案を提出できるわけですから、彼らが自分たちでやるわけです。
いちばんスゴいと思うのは、アメリカの議会に行くと、とにかくスタッフが、1人につき、10~20人ズラッといるわけ。日本は政策秘書1人でしょう?だけど彼らは、たとえば全体で人件費を1億円くらい貰っているとするでしょう。仮にスタッフが年間300万くらいだとすると、2、30人雇える。だけど、それでは烏合の衆。そうではなく、リーダーシップ、経験があって、法案が作れて、いろいろな人と交渉できる。そんなおじさんを呼んでくるわけです。すると、1人につき、やはり2,000~3,000万はかかるわけです。どんぶり勘定ですが、全体でスタッフの数を自分で決められて、どのような人を選ぶか。それから、どのような分野の人を中心に選ぶか。それも含めて、議員が自分たちで決められる。そして、そのスタッフたちをうまく使って、自分で法案を作り、同調者を確保し、法案に署名をして、いわゆる多数派工作をやるわけです。議員がね。高嶋)いろいろな意味合いで違いますね。
宮家)まるで違います。
高嶋)ジャパンバッシングのときに、自分の選挙区事情から、「日本車なんて許せない!」と言って、車を叩き壊したりいろいろありましたが、ああいうパフォーマンスも、みんな平気でやるのですか?
宮家)平気でやります。
高嶋)だからといって、「大変な事態になるんだ」と思っていたら、結局何も影響がなかったり。
宮家)そこ以外では何も影響が起きていないときもあります。
アメリカでは党議拘束が基本的に存在しない高嶋)それと、必ず造反が出るじゃないですか。今度のオバマケアでも「トランプさんの意向には従わない」と、共和党から反対の人が出てくる。日本の議員というのは、ロボットみたいに、必ず党議拘束がかかりますよね。
宮家)党議拘束はないのです。かけるときもありますが、基本的には党議拘束はかからないのです。あそこの国は。
だから、大変な騒ぎなのです。毎回、党議拘束なしでやっているわけですから。日本とはまるで違う立法過程ですね。高嶋)非常に自意識も強いし、ひとりひとりが、やはりトップの意識が強いですね。
宮家)多数派を持っているから、必ず共和党が勝つとは限らないわけです。やはりそこで、議会のリーダーの資質が問われる、ということだと思います。
「右へ倣え」スタイルの日本は、見習うべきである高嶋)今日の新聞には、「アメリカ、オバマケアの改廃が審議入り決定」と。そこに、大統領候補にもなった、マケイン上院議員が、身体の調子も悪いのにわざわざ出てきて。1票差だとか。
宮家)アメリカの法案づくりというのは、まず審議をするかしないかを決めて、審議をしたら、有象無象の、無茶苦茶な法案が出てくるわけですよね?それをどれから順番にやるか、そういうことを決めていくので、そこでマケインさんが出てきて、かろうじて審議に入ることを賛成した。これは賢明だと思うのですが、問題はこのあと。彼はトランプさんに非常に厳しい人ですから。
高嶋)「法案には不賛成」と演説したとか。
宮家)そうです。法案にもいろいろありますが、彼は良識派ですから。僕は一回、彼と昼食を一緒にしたことがあったのですが、素晴らしい人ですよ。だけども、こういうときは一徹です。やはり良い切れ味をしている。
高嶋)お話を伺っていると、日本の議員の「右へ倣え体質」みたいな。あれはやはり違うのだろうな、と判断せざるを得ませんね。
宮家)とくに2回生ね。何とかしてくださいよ……もっとね、アメリカの方はダイナミックですから。頑張って欲しいですよね、日本の議員さんも。
高嶋)さすがアメリカ、と言わざるを得ませんね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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