須田慎一郎 失業率3.0以下でも実質賃金が上がらないのはなぜか?

By -  公開:  更新:

8/28(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

まだまだ道半ばのアベノミクス
7:02~ ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター 須田慎一郎(ジャーナリスト)

須田慎一郎 失業率3.0以下でも実質賃金が上がらないのはなぜか?
世論調査では74%が現在の生活に満足

国民生活に関する世論調査で、現在の生活に満足している割合が74%と出ました。これはかなり高い水準ですが、景気回復の実感は得られていません。どうしてなのでしょうか。経済ジャーナリストの須田慎一郎に詳しく伺いたいと思います。

高嶋)内閣府の調査結果が出ましたが、国民生活に関する世論調査で自分の現在の生活に「満足」と「まあ満足」と答えた人が合わせて74%となりました。

須田)ずいぶん高いですね。高嶋さんは満足されています?僕はあんまり満足していません。

高嶋)私は一応満足していますけど。欲深いですね(笑)。

須田)74%はかなり高い水準ですが、景気回復の実感という点ではどうでしょうか。多くの人たちが景気回復の実感を得られてはいないかなと。これは感覚的に話しているのではなく、実質賃金が上がってきていません。収入が増えていない状況の中で景気回復の実感は得られていないと思います。

高嶋)アベノミクスを公平に判断すると、須田さんはどう見ていますか?

須田)まだまだ道半ばだなと思います。ただ5年弱経って道半ばということはちょっと危ういのではないかと。確かに株価は上がった、企業収益は増えている、有効求人倍率は上がってきている、失業率は下がっている。良い部分だけに光を当ててみるといくつも出てきますが、アベノミクスはそれを目的にしていたわけではありません。やはり景気回復の実感を得る、デフレ脱却をするという点でいうと消費がなかなか伸びていきません。個人消費が伸びていくためには何が必要かというと、実質賃金の上昇増加が必要です。実質賃金を見てみますと、想定した通りには上がっていません。


企業も個人も先行きに明るい希望が描けない状況

高嶋)トリクルダウンといって、大企業の社員は増えたけど、だんだん下に滴り落ちてきて下々の給料が上がることがいずれ来ると言っていましたが、全然来ない。えらく頭でっかちで有力企業は金を貯め込んでいる。いくらぐらいありますか?

須田)700兆円くらいです。

高嶋)そんなにありますか!なぜ出さない。

須田)やはり先行きの見通しが明るくない。これからどんどん景気が明るくなる、人々がお金を使って商品を買う、サービスを受けるという状況を企業はイメージできないのでしょう。先行きがちょっと厳しいのではないか、苦しいのではないかとイメージしているからため込んでいると私は思います。

高嶋)新規産業や世の中の動きは世界中で激しいですから。ターゲットが定まらないという感じがあります。

須田)そうですね。日本経済を牽引している産業が3つあります。自動車・電気(エレクトロニクスや家電)・機械(建設機械や光学機械)の3業種です。役割を終えつつある産業もありますが、20年後30年後日本経済が何で飯を食っていくの?と。確かに将来有望な産業はちらほら出てきています。例えば航空宇宙とか、バイオとか医薬品、あるいはロボット。だからといってその中の産業のどれかひとつが自動車産業にとって代わるところが確実に出てきているかというと全く見通しがつかないですよね。

高嶋)日本を代表する儲け頭の次を受け継ぐ産業がないと。お金を投じたいけど、まだ持っている段階と。

須田)日本経済のパラドックスとも言われていますが、安倍さんや黒田日銀総裁にしても想定外だったと思います。どうしてかというと、失業率が3.0を割り込んで先進国最低水準で、有効求人倍率も東京や名古屋は2.00を超えています。2人求人しても1人しか応募がないにも関わらず、実質賃金が上がっていかないのが想定外だと思います。

高嶋)誰が悪い?

須田)誰が悪いのでしょうね。消費者マインドが温まってきていない。企業だけではなく個人も先行きが不透明で明るい希望を描いていないのかなと思いますけどね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top