ドッグランの快適利用術

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【ペットと一緒に vol.49】

ドッグラン

ようやく涼しくなってきて、愛犬を思う存分に外で遊ばせてあげたいと思う飼い主さんも多いのでは? 今回は、自由運動をさせるのは最適な、ドッグランの利用術をお伝えします。


ドッグランの発祥地ニューヨークからの学び

ドッグランとは、犬専用の遊び場。日本では、犬にリードをつけないノーリードは条例などで禁止されていますが、ドッグランならばノーリードで思う存分に愛犬を走らせてあげられるのがいいところ。

約30年前、高層ビルが建ち並ぶニューヨークで誕生して以来、愛犬のストレス解消にぴったりな場所として世界に広まりました。

実はそんなドッグランでのトラブルが度々生じたことから、今ではニューヨーカーは、ドッグランでは様々なポイントに注意しながら快適に利用しています。

筆者がニューヨークを訪れた際にひとつ感じたのが、おやつをドッグランで出す人がほとんどいないということ。

おもちゃやおやつの取り合いから犬同士のケンカに発展することもあります。アメリカはすぐに損害賠償を請求される訴訟大国であるという背景もあるかもしれませんが、とにかく、ニューヨーカーは犬同士の事故がないように細心の注意を払っているようです。

ドッグラン

ニューヨークのドッグランでのワンシーン

筆者は以前、ある飼い主さんが愛犬と遊んでいたボールを、ほかの飼い主さんの愛犬が飲み込んで開腹手術をしたケースを知っています。

ケンカをしたわけではありませんが、このような事故を起こさないように、筆者も愛犬とボール遊びをするためにドッグランを利用するときは、ほかに犬がいないときを選ぶようになりました。

ほかの犬がドッグランにいるときは、犬トモ同士で犬談義に花を咲かせている間に、愛犬がほかの犬を追い回してしまったり、逆に苦手な犬に追いかけられてしまったり、気づかぬうちに排泄をしているという事態に陥らないよう、愛犬から目を離さないようにも気をつけています。

ドッグラン

ドッグランでほかの犬と追いかけっこをする愛犬


知っておきたいドッグランのマナー

排泄のマナーの良さに関しては、日本人の右に出る国民はいないと筆者は思います。

これまで筆者は、土がない人工芝のドッグランで、愛犬が排尿したところをペットシーツで拭き取り、さらにペットに無害な消毒・消臭剤をスプレーしている飼い主さんを何名も見かけました。

ウッドチップや土や芝生のドッグランでは、排尿後は水で流すというマナーは日本が他国以上に徹底されているように思います。

最近では、ドッグランで排泄行為をさせないようにしつけを徹底したり、ドッグランに入る前に排泄をさせたりする飼い主さんも増えています。

マーキング癖のあるオスのコは、その名もズバリの「マナーベルト」を装着するのがおすすめです。これならば「あのコがマーキングしたのでは?」という濡れ衣を着せられる恐れもないので、安心してドッグランを利用できるはず。

マナーベルト

心配なオス犬にはマナーベルトを

「ごめんなさい」と、愛犬と退場するのが良いかもしれないのは、ほかの犬にマウンティングを続けてしまったり、吠えが止まらないケース。

マウンティングや吠えなど、愛犬が興奮し始めたら、リードをつけて飼い主さんの足元でしばらくクールダウンをさせて、落ち着いたら再び自由にしてあげるという方法も試す価値はあります。それでも興奮が収まらない場合は、ドッグランに滞在し続けることがかえって愛犬のストレスになってしまうと思ったほうがよいでしょう。


愛犬の気持ちを考えて

愛犬はドッグランで楽しそうにしていますか?

筆者の愛犬は、1歳半位から、ほかの犬とはあまり触れ合わないようになりました。飼い主である筆者と、1対1でボール遊びなどをするのが一番うれしそうなのです。

そこで、ドッグランは、ほかの人や犬がいない時間を見計らって出かけるようになりました。

もし愛犬がほかの犬が苦手なタイプだと感じるならば、無理してドッグランに連れて行かなくても良いと思います。人間でも、社交的なタイプとインドア派がいるように、犬種などにもよりますが、ドッグランを楽しめないタイプの犬もいるでしょう。

ほかの犬に慣れさせる社会化のためにと思って愛犬を連れて行く場合、まずは、ドッグランの外から見学をさせるようにすれば安全です。しばらく場内を眺めさせても尻尾が下がったままである、体が震えている、オドオドとした不安げな表情を見せているといった様子が見られたら、おやつなどを食べさせながら少し遠くから見学させてください。

慣れてきて、入りたそうにしたら、ドッグランデビューのタイミング。まずは、リードを離さず、愛犬の行動をよく観察しながら、愛犬の思いを尊重しながらドッグランに滞在させるようにしましょう。

ドッグラン

ほかの犬とあいさつが上手にできているかなど、尻尾などを見ながら愛犬をよく観察しよう!

本来、リードをピンと張っている状態は犬の心も緊張する状態になるため、犬同士がリラックスしてコミュニケーションを取りにくいもの。そのため、ドイツなどでは犬の緊張や恐怖からくる攻撃行動を減らすためにノーリードにできるチャンスも多いとか。

ドッグランでも、愛犬が慣れたらリードの持ち手から飼い主さんも手を離して、犬の自由な行動を見守ってあげましょう。

ドッグランを快適に利用するには、呼び戻しや、興奮した愛犬の動きと気持ちを落ち着けてあげられるような「マテ」といったトレーニングも、ぜひマスターしておきたいものです。

白状すると、いまや筆者はドッグランにはほとんど行かず、人のほとんどいない公園でロングリードをつけた愛犬とボール遊びやトレーニングをして過ごしていますが、以前にドッグランで出会った犬トモとは引越ししてからも仲良くしていて、ドッグランでの思い出や財産もたくさん。

みなさんも、気候の良い時期に、ぜひ快適にドッグランを利用して愛犬との充実したひとときを過ごしてみてください!

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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