モロッコは猫の楽園!フォトジェニックな猫たちとの出会いにワクワク
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【ペットと一緒に vol.50】
筆者の旅の楽しみのひとつは、旅先での猫や犬との出会い。今回は、異国情緒あふれる街並みににぎわいを添える、モロッコの猫たちの様子をご紹介します。
モロッコで大切にされる猫たち
モロッコを訪れた筆者が最初に抱いた印象は、「なんて猫が多いところなんだろう!」でした。
モロッコはイスラム教徒が大半を占める国のひとつ。イスラム教の開祖であるムハンマドが猫を愛したことから、猫は神聖な動物としてムスリムには大切にされているそうです。
そのため、マラケシュでは猫もすっかり市民権を得ている様子でした。
革製品店のオフィスにいる子猫について、尋ねたときのこと。
「この猫の額にはムハンマドのイニシャルである“M”の文字があるだろう? Mの模様が入っている猫はとくに大切にされるんだ」と、店主は教えてくれました。
なにをしても許される猫たち
宗教上の理由からも大切に扱われている猫たちは、モロッコではかなりの我が物顔で生活しています。
テイクアウト専用の料理店では、鳥の焼き上がりに合わせて人間よりも先に猫たちがやってくる姿を見て、思わず笑ってしまいました。
人間が来ても、まったく避ける様子もなく、そのままじーっと料理人に熱い視線を送り続ける猫たち。観光客の私には興味深い光景ですが、この街では日常の光景なのでしょう。
半分オープンエアのレストランに入っても、ふと気づけば足元で「ニャ~ン」という甘い声に誘われることも多々。
店員に聞けば、「野良猫でも飼い猫でもないよ。ここのレストランに居着いている猫っていう感じかなぁ」とのこと。
日本で言うところの地域猫のような存在で、多くの猫たちには名前もあるようです。ちなみに、首輪をしている猫をマラケシュで見ることはほとんどありません。
あ、こんなところにも猫が……
マラケシュのメディナ(旧市街)にあるスークは、世界最大級の広さを誇ると言われます。
モロッコ絨毯、日本でも人気のバブーシュと呼ばれるスリッパをはじめとする革製品、銀細工、照明器具、フェルトバッグの店といった雑貨店から、スパイスや果物などの食料品、工具や裁縫用品など、なんでも揃う市場です。
その路地は、とにかく細くて入り組んでいるので、自分がどの方向に向かって歩いているのか、すぐにわからなくなってしまいます。筆者も迷子気分で少し不安になっているとき、心をほっと和ませてくれるのが、スークにいる猫たちでした。
まるで迷路のように入り組んだ狭いスークの路地には、バイクも、荷台を引くロバも通ります。
「はい、荷物が通るぞー。どいてどいて」と、アラビア語だかベルベル語だかわかりませんが、たぶんそのような言葉で避けるように促されて壁にへばりついたとき、筆者はズボンの裾にじゃれつく猫の存在に気づいたことも。
足元を見れば、壁の穴のようなところに子猫がいました。かわいい!
スークの外に出ても、猫たちが次から次へと姿を現します。
被毛が長めの猫は、きっとヨーロッパなど寒冷な地域から持ち込まれた猫の血も入っているのでしょう。
いずれにしても、みんな地域の人々からたっぷりとゴハンをもらい、飢えることもなく、日々の自由な生活を謳歌している様子。
そんな気ままなで人懐っこいモロッコの猫たちの姿に、すっかり心癒された筆者でした。
また行くからね~! そのときも、また筆者と戯れてもらえたらうれしいニャー。
猫好きのみなさんには、フォトジェニックな猫風景に出会えるモロッコはぜひおすすめしたいデスティネーションのひとつです!
連載情報
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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。