衆議院選出馬へ向け、小池知事が待つ安倍総理の一言とは?
公開: 更新:
10/5(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
小池知事が反応するのは安倍総理の発言だけ
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(元外務省主任分析官・作家)
希望の党~公約の最数調整に
東京都の小池知事が代表を務める、「希望の党」の選挙公約の素案が明らかになりました。公約には、安全保障関連法を容認する内容を盛り込む方向になっている他、憲法改正については、自衛隊の存在や知る権利、地方自治を上げて、「時代にあった憲法のやり方を議論する」としています。
また、「消費税の増税を凍結する」という方向になっています。小池さんは近く、この選挙公約を正式発表する方向です。昨日、記者団に対しては、自民党との違いを次のように述べています。
小池知事)私たちはあくまでもチャレンジャーであります。そして、いまの安倍政治ではできないことを、この間にしっかりと、国民のみなさまにお訴えをしていく、ということでございます。その1点に尽きます。第2どころか、第1を目指したいと思っています。それは、「新しい保守政治」という観点です。
前原氏~小池代表に衆議院選挙への立候補を要請か
小池さんは、その上で、安倍総理以外が自民党のトップになった場合、選挙後の自民党との連携について、「それはやってみないと。どなたがなるのかも、選挙の結果次第」と述べ、自民党との連携についても、含みを残しています。
また、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は、昨日のテレビ番組で、自民・公明の両党が、過半数を割るなどして敗北した場合、希望の党や日本維新の会と連携する可能性について、「安定した政権を続けるために、いろいろな話し合いは当然おきてくる」と述べています。
こうした中、民進党の前原代表と、希望の党の小池代表が、今日の昼に、東京都内のホテルで会談します。前原さんは、昨日、小池さんが衆議院選挙の出馬を重ねて否定している点について、「総理候補がいない政権選択の選挙はない」と指摘しており、今日の会談で小池さんに対し、「衆議院選挙への立候補を要請する」という見方が出ています。
一方、枝野元官房長官が代表を務める新党「立憲民主党」の、長妻昭元厚生労働大臣は、昨日、記者会見をし、衆議院選挙で、「全国50人を超える候補者を擁立する」という見通しを示しました。代表代行に就任した長妻さんは、希望の党が、立憲民主党の候補に対抗馬を擁立したことについて、次のように述べています。
長妻代表代行)対立候補が立てられていることに対する感想、というのは、やはり本来は「合流」ということだったわけで、「対立候補」というのはおかしい。それで、当時の話と相当違ってきているのではないか、と考えています。
排除されてしまったこの立憲民主党、共産党、社民党、の3党は、「憲法9条の改正に反対」ということで共闘する構えになっています。
民進党・希望の党合流~それでも前原戦略の枠内で進んでいる
高嶋)まず聞きたいのは、私は前原さんが、アテが外れたというか、「こうしたいな」と思っていたのを、小池さんにいいようにやられて、民進党を分裂させられて、と見えます。最近、前原さんが精彩無く見えて仕方がなかったのですが、佐藤さんは違うようですね。
佐藤)私は基本的には大枠では前原戦略の枠内で動いていると思うのです。どういうことかというと、このまま民進党が突入していったら、前原さんは今日、ある新聞で「せいぜい40~50議席」と言ったのですが、私はもっと厳しく、30以下になる線が十分にあったと思うのです。
高嶋)何もしなかったら?
佐藤)はい。それで、「希望の党に行く」と言った場合、全員が移るのは不可能だとは分かっている。これは、別に民進党から出馬しても全員当選することはないのと一緒です。だから、「希望の党へ合流するということで、こちらは最大限主張する。あとは交渉次第」ということは、言わずもがなですよね。
高嶋)普通の政治家なら、その手のことは分かっていて、当たり前のはずだ、と。
佐藤)当たり前の話です。それで、何よりも重要なのが、たとえばそこで外れて敵対するかもしれない人にも、選挙用の政治資金を配ってしまっている。最初500万円で、その後に1千万円。これは、今までに無かったことで、実質のフリーハンドは、そこでもう保証しているわけです。「選挙に出られない」というのは物質的にない。資金不足がいちばん障害になりますからね。
「安倍政権を辞めさせる」は必ずしも「政権交代」を意味するものではない
佐藤)前原さんは「安倍政権を辞めさせる」と言っているでしょう? 「政権交代する」とは言っていないのです。
高嶋)意味は同じでは?
佐藤)必ずしも一緒ではありません。自民党から別の人が立ってくる、あるいは「自公」ですから、公の側から首班指名が行われる、ということの場合、安倍政権は終わりますよね。だから、「安倍政権を終わらせる」ということは、彼の言っていることは、必ずしも「政権交代」ではなかった。そう私は見ているのです。
高嶋)私は非常に表面だけを見てしまいましたが、その辺、気配りの発言をしているということですね?
佐藤)その辺は最初から含みを持たせている。だから、安倍さんのやることがあまりにも、憲法や、これまでの手続きを無視している、と。すぐに国会を開かなかったり……
高嶋)けっこう、繋がってきますね。公明党の「もし希望の党が伸びて、自民党がへこんだりしたら、そっちの話に乗るのか?」という質問に「乗る」と言っています。
森田解説委員)そうですね。斉藤鉄夫さんが言っています。
佐藤)なので、ここが面白いのです。普通、そういう質問はくるわけです。来た場合には、「自公が過半数割れなんて、あってはならないことです」と、いちばん厳しい言葉を言います。「ありえないことです!」は自信があるとき。「あってはならないことです!」というのは、「もしかしたらあるかもしれない、嫌だな」というニュアンスが含まれます。「検討する」というのは、それも選択肢に入っている、ということですよね。大きい意味では、いまの安倍さんのやり方に関しては、あちこちの人が「これでいいの?」「これで民意を反映していると言えるの?」と、クエスチョンマークが出ていることの表れなのです。
高嶋)安倍さんが強引に打った選挙ですが、「責任の範囲内」というのは、どれくらいだったら出てきますか?
佐藤)私は50だと読んでいます。50議席減らすことになったら、総理総裁の責任論が出てくるので、それは「総裁選挙をやれ」ということ。もしくは、ガタガタして安倍政権が続くとしても、かなり近い、来年のそう遠くない内に、再び総選挙という状況になるかもしれません。
混乱の時代です。さらにその先で、もう1回ダブルになるかもしれないですからね。再来年です。小池知事は安倍総理の発言を狙い、出馬のタイミングをはかっている
高嶋)若狭さんが、小池さんの出馬について「次は狙わないかもしれないけど、次の次」と、普通なら言わないようなことを言ってしまって。「もしかしたらそんなことあるのかな?」と思ったりしますが。
佐藤)それは多分ないです。リセットされてしまった人間の言っていることですから。だって、小池さんは、若狭さんの目の前で「リセットだ」と言っている。これはトランプ大統領の「お前はクビだ」と一緒ですよね。
高嶋)あれは、普通は、若狭さんとか細野さんは怒らなければいけないよね。「リセットして、私が代表になります、希望の党です」、あんなことを言われて、立場がない。
それで、小池さんは、ある意味で、私は安倍総理の思惑が当たったのは、「体制が整う前に、選挙をやってしまおう」と。それで、小池さんはいろいろな手を考えてきた。発表の前に、総理の会見の前に党を立ち上げるとか、いろいろ考えてやりましたが、やはり総選挙には、希望の党の代表としては出られない、世論が許さない。8割の人が、「東京都知事をやっていれば良い」と言っている。これは、思惑が外れてしまったのでは?佐藤)小池さんは安倍さんを見ていると思います。安倍さんがもし、「小池さん。あなたがこういった形でやるのなら、都政か国政を選びなさい。政権選択選挙なのですよ」と言うのを待っていると思います。もし言ったら、「総理に仰られた以上、私はこのまま都政を続けて、安倍政治が続くなら、東京都も滅茶苦茶になる。東京都を救うためにも出る必要がある」と。だから、安倍総理の発言を待っていると思います。
見ていて、そう流れるのです。彼女は、やはり勝負師ですから。安倍さんの言うことにしか、反応しないのですよ。この種のことは。「誰の言うことに反応するか?」を決めているわけです。安倍さんが勝負を迫ってきた場合、「受けた」と言っても、国民は反発しますか?高嶋)小池さんは自分ありきのみで、後は有象無象なのですよね。だから、若狭さんがどれだけ代表のような顔をして言っていても、幹事長とか、副代表とかではないし……
佐藤)それは、「自分ありきで、後は有象無象」というのは、安倍さんもそうだし、あとはそれの見え方の問題ですよね。安倍さんだから、小池さんが出てくるので、やはり似たような人がぶつかってくるのですよ。
高嶋)やはり希望の党は小池さんが出てこないと、票が伸びないでしょうね。
佐藤)ポイントになるのは、普段は選挙にいかない、特に主婦層だと思います。「小池さんが出てくる」ということになったら、当日が大雨でも「私も選挙に行こう」という雰囲気になるでしょうね。ただ、希望の党は思ったより、票がとれますからね。
高嶋)いまのところ、そういう大した数でもないけどね。
佐藤)ただ、そこのところは逆に保守票の食い合いになりましたからね。ここが従来と違うところなのですよ。
高嶋)私は「改革保守」というのがよく分からない。
佐藤)私にも分かりません。「改革が好きな人」と「保守が好きな人」を両方集めるためにくっつけたスローガンですから。本質的には「野望の党」ですから。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00