青酸連続殺人~認知症犯罪者とどう向き合っていくか

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11/8(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④

刑法摘発人数の約20%が65歳以上という現実
7:18~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)

青酸 事件

【被告の判決】京都地裁前には判決の報道のため大勢の報道陣も駆けつけた=2017年11月7日午前、京都市中京区の京都地裁 写真提供:産経新聞社

認知症と診断された高齢者による殺人事件 最高裁は死刑判決

青酸化合物を使った男性3人に対する殺人と1人に対する強盗殺人未遂の罪に問われた筧千佐子被告(70)に対する裁判員裁判で、京都地裁は昨日、求刑通り死刑を言い渡しました。各事件とも直接的証拠に乏しく、被告は公判前の精神鑑定で軽度の認知症とも診断されていました。

森田解説委員)昨日の判決で裁判長は「健康食品と偽って青酸化合物を服用させる手口は巧妙で卑劣だ」と批判しました。一方弁護側は筧千佐子被告の認知症の進行を挙げて「訴訟能力が無い」と無罪を主張していたのですが、昨日の判決では「公判前の精神鑑定で認知症と診断されたが、最後の事件の2013年12月時点では認知症に罹っていない」として、事件当時は完全責任能力があったと認定しました。また「今の認知症も軽度に留まっていて、裁判で自らを守る訴訟能力はあると判断した」と、こういう判決になっておりました。

昨日も筧被告は起立を促された際に「耳が遠い。もっと大きな声で言って下さい」と述べて、補聴用のヘッドフォンを付けていました。

裁判員の1人は「認知症で迷ったことは無かった」としながらも「認知症に関しては複数の専門家に意見を訊く方が判断するときの助けになると思う」とこのように述べていす。

法務省によりますと2015年の刑法犯の摘発人数のおよそ20%が65歳以上の高齢者になっています。

京都地裁

【被告の判決】傍聴整理券を求め並ぶ人たち=2017年11月7日午前、京都市中京区の京都地裁 写真提供:産経新聞社

10~15年後には認知症予備軍が1,000万人に 高齢化社会の中で認知症犯罪者とどう向き合っていくか

高嶋)直木賞作家の黒川博行さん、このスタジオで私も2度ほどインタビューをしたことがあるのですけど、直木賞の話を聞くよりも「後妻業」という本がありまして、それが出てからこの事件が起きたのですね。映画にもなりまして大竹しのぶさんが主演で、まあすごい演技だったのですけど。
これって今の高齢社会の時代を映すような事件で、今の高齢者ってお金を持っているじゃないですか。これをターゲットにして青酸化合物で殺すみたいな、鬼のような所業ではあるのですけども。非常に象徴的な事件だなと私は思ったのですが。
鈴木さんは社会部の経験が非常に長いですが、どんなことを思いますか?

鈴木)私が今回のこの裁判で思うのはやはり認知症というところですよね。いろんな計算がありますけども、ゆくゆくあと10~15年経ったら1,000万人の認知症予備軍が出るなんて言われていて、そういう中で例えば認知症の人が何か罪を犯して被告になった場合に、そもそも裁判での受け答えが果たしてどこまでできるのか、信憑性があるのか無いのか。

高嶋)今回の筧被告の場合は犯行をしたときは認知症では無いという風に言われているのですね。これからのことですよね。

鈴木)そうですね。裁判で果たして、例えば今自分で証言したことを忘れるとか、認知症って10人いたら10通りの症状がある、そして急に進行する。そういう高齢化社会の中での認知症の被告の場合というのは非常に難しいと思いますよね。

高嶋)そういう問題を投げ掛けているということですね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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