ボージョレ・ヌーヴォーを世界に売った男、ジョルジュ・デュブッフ

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11月の第3木曜日に解禁されるワイン「ボージョレ・ヌーヴォー」。今年は11月16日(木)が解禁日となります。ボージョレ・ヌーヴォーは、フランスのボージョレ地方で作られた新酒のワイン。特にバブルの時代には大騒ぎで、解禁パーティーもあちこちで行われていました。

最近は当時と比べて人気がなくなったと言われがちですが、現在の輸入量はバブル期とそれほど変わらないですから、どちらかというと「人気が落ち着いた」という感じですね。日本に定着したワインと言えるでしょう。

そんなボージョレ・ヌーヴォーを世界的に有名にしたのは、フランスの醸造家、ジョルジュ・デュブッフという人物。

ジョルジュ・デュブッフ

BEAUJOLAIS NEWS | Les Vins Georges Duboeufサイトより

もともとボージョレ・ヌーヴォーは、その年のブドウの出来栄えを確かめるために作られていた「試飲用のワイン」。3ヶ月ほどで風味が損なわれるので、完成後、すぐに飲むというのがお決まりで、昔は、それに目を付けた周辺の酒飲みが、ブドウの収穫期になるとヌーヴォーをがぶ飲みしていたそうです。

しかし、当初はブドウの収穫に合わせてワインが作られていたのに、いつの頃からか、ワインとはいえない未完成のワインを我先にと出荷する業者が続出しました。いかに早く売るか…という競争になったんですね。そこで、「これではいけない」とフランス政府が乗り出し、紆余曲折を経て、1985年から「11月の第3木曜日を解禁日にする」と決まりました。

ジョルジュ・デュブッフ

Les Vins Georges Duboeufサイトより

その「解禁日」と「風味がなくなる前に早く飲まないといけない」ということに目を付けたのが、地元の醸造家であったジョルジュさんでした。

彼はこの解禁日の存在を、「解禁日まで出荷できない」というマイナスに捉えず、逆転の発想で、「解禁と同時にワインが飲める特別な日」として宣伝。また「風味がなくなると価値が下がる」ということも、「おいしく飲める期間が決まっている」「期間限定」という売り文句にしました。頭がいいですね…。

この逆転の発想で、ジョルジュさんはパリやリヨンの高級レストランに売り込み。高級ワインとしての拍を付け、徐々に価値を高めていきます。さらにフランスで実績を積んだ後は、日本やアメリカを中心に世界進出。もともとボージョレ・ヌーヴォーは70年代から日本に輸入されていましたが、世界で一番早く飲める!というフレーズが、バブル期の日本にピタリとハマり、日本を最大の輸出国とすることに成功します。

ボジョレー

Les Vins Georges Duboeufサイトより

このあたり、ジョルジュさんは、マーケティング戦略に長けていたんでしょうね。実際、日本ではバブル期の航空会社や大手商社が「世界で一番早い解禁」という言葉に飛びつき、一気にワインブームに突入していくことになります。

またジョルジュさんは、人気になると生産が追い付かなくなる可能性があるとも考えていて、ボージョレ地区の400軒ものブドウ農家を組織化し、短期間で大量生産が可能になる体制を整えていました。先見の明もあったんですね…。

ジョルジュ・デュブッフ

Les Vins Georges Duboeufサイトより

ジョルジュ・デュブッフ氏。彼は今、「ボージョレの帝王」と呼ばれています。彼は一流の醸造家でありながら、ものすごく優秀なビジネスマンだったわけです。

解禁日が迫る「ボージョレ・ヌーヴォー」。日本のワインの入口は、バブル期のボージョレ・ヌーヴォーとの声もあります。新酒ならではの味わい方を教えてくれたのもボージョレ・ヌーヴォーです。値段も値ごろなものが多いですから、バブルの時代に飲んだという人も、久しぶりに味わってみてはいかがでしょうか。

ボジョレー

Les Vins Georges Duboeufサイトより

11月9日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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