【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第322回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、12月8日から公開となる『オリエント急行殺人事件』を掘り起こします。
名探偵ポアロが豪華寝台列車で謎解きに挑む!
トルコのイスタンブールを出発し、フランス北端の町カレーへと走る豪華寝台列車、オリエント急行。乗り合わせているのは、教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人…と、身分も国籍もさまざまで、目的地以外は共通点のない人たち。その中には、名探偵エルキュール・ポアロの姿もあった。優雅な旅のはずだったが、列車は大雪のために橋の上で立ち往生。しかも、その停まったままの列車内で深夜、アメリカ人の富豪ラチェットが殺害される。容疑者は、ラチェット以外の乗客全員。列車内という“動く密室”で起こった事件の解決にポアロが挑む…。
“ミステリーの女王”として知られ、ギネスブックで“世界でいちばん売れた作家”に認定されたアガサ・クリスティー。
日本でもスペシャルドラマ化されるなど近年、ブームが再燃している彼女の代表作で、ミステリー小説の歴史を変えたとさえ言われている『オリエント急行殺人事件』が、新たに完全映画化されました。
手がけたのは、ディズニーアニメーションの実写版『シンデレラ』を大ヒットに導いたケネス・ブラナー。製作・監督を務め、さらには彼自身が世界的に人気の主人公エルキュール・ポアロを演じています。アガサ・クリスティーが小説で描写した「威厳があり、巨大な髭」を彷彿させる大きな口髭が特徴的で、切れ味鋭く難事件に挑むと同時に、ポアロの人情味あふれる一面も垣間見せています。
そして本作のいちばんの魅力は、乗客を演じる名優たちの見事なアンサンブル。事件の被害者ラチェット役をジョニー・デップ、未亡人役をミシェル・ファイファーが演じるほか、教授役にウィレム・デフォー、家庭教師役にデイジー・リドリー、公爵夫人役にジュディ・デンチ、宣教師役にペネロペ・クルスとまさにオールスターキャスト。
彼らがきめ細やかに演じる事件の裏に潜む人間ドラマは、見応えたっぷりですよ。
原作や前作を知らない人が楽しめることは言わずもがなですが、これまでに何度も映画・ドラマ化されている作品だけに、新鮮味が…なんて懸念する人もいらっしゃるかもしれません。ところがどっこい、ポアロが謎を解いた瞬間は実にエモーショナル。
結末を知っている私でさえも、思わず息を呑んでしまうほどでした。名作を正攻法で描き出した新たなエンターテイメント作品、その魅力をとくとご堪能あれ。
オリエント急行殺人事件
2017年12月8日から全国ロードショー
監督:ケネス・ブラナー
出演:ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス ほか
©2017Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/