専門家に聞く今年の言葉“死後離婚”とは?! その背景と実際

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専門家に聞く今年の言葉“死後離婚”とは?! その背景と実際

新語流行語の季節ですが、今年、夫婦問題を象徴するキーワードとしてよく挙がった言葉があります。『死後離婚』です。

死後に離婚するとは、いったい、どういう意味なのか? どういった人たちがそうしているのか? こうした、いまさら聞けない基本的なことから、その奥に隠れた問題点まで、大阪で離婚の相談に乗っていて、ご自身も”死後離婚“経験者という、夫婦問題カウンセラー・高原彩規子(たかはらさきこ)さんにお話を伺いました。

高嶋)今年よく聞いた言葉「死後離婚」ですが・・・実は“造語”なんだそうですね。いったい、どういう意味なのでしょうか?

高原)夫と死別した後、その両親や兄弟姉妹などとの法的な関係を断ち切ろうとする女性が、役所に「姻族関係終了届」を提出。すると、自らの意思で夫側と縁を切ることになるので「死後離婚」

高嶋)2016年度に提出された姻族関係終了届は4,032件。前年度と比べて4割強、10年前と比べると約2倍に増えています。提出者の大半は女性ということですが、その理由は何でしょうか?

高原)夫と同じお墓に入りたくないという理由が出発点。また、夫から生前に暴力を振るわれたが離婚できなかった、義母からいじめられたりして恨みを抱いていた、ゆえに残った夫の家族の面倒を見たくないといった理由もあります。

専門家に聞く今年の言葉“死後離婚”とは?! その背景と実際

高嶋)夫が提出しない理由は何かあるのでしょうか?

高原)家制度の問題。夫側は「嫁にもらった」との考え方が当たり前だが、「自分の人生は何だったのか?」と思う女性もいます。妻に先立たれた夫が、妻の家族から「面倒を見てくれ」と頼まれたりすることはあまりないではないでしょうか。

高嶋)届を出すと、遺産相続はどうなるのでしょうか? 手放すことになるのですか?

高原)夫が亡くなり妻が“姻族関係終了届”を提出した場合、戸籍上にその事実が記載されるだけで除籍されるわけではない。つまり、夫との関係は死別なので、遺産や遺族年金は変わらず受け取れます

高嶋)“姻族関係終了届”はどんな形をしているのですか? どこに置いてある?

高原)役所の戸籍係に行けばもらえます。A4で、証人が必要ないので、自分で書くだけ。

専門家に聞く今年の言葉“死後離婚”とは?! その背景と実際

高嶋)死後離婚のデメリットがあるとしたら、どういったことでしょうか?

高原)子供は血族として残るので、夫の家族との関係は断ち切れない。祖父母から“跡とりに”というアプローチもある。お母さんは縁を切っても子供たちはそうではないので、子供たちとの話し合いはすべき。

高嶋)死後離婚体験者として、主要な新聞やテレビなどいろんな取材を受けているようですが、何かおっしゃりたいことはありますでしょうか?

高原)時々、「妻が喜ぶ死後離婚」という内容で報じているところがありますが、とんでもない。離婚が大変なように、死後離婚もとても大変。あとで夫の親族にどれだけなじられることか。それも納得の上で届けを出せるかどうかを自ら問うべき。要は自分に必要であるかどうか、だと思います。

専門家に聞く今年の言葉“死後離婚”とは?! その背景と実際

12月11日(月)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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