脅威の12連覇なるか? ニッポンが無類の強さをみせる「イグ・ノーベル賞」

By -  公開:  更新:

股のぞき効果 イグ・ノーベル賞 立命館大学 東山 篤規 教授

「股のぞき効果」でイグ・ノーベル賞を受賞した立命館大学の東山篤規教授=2016年9月29日午前、京都市北区の立命館大学衣笠キャンパス 写真提供:産経新聞社

がんばれニッポン! 現在、ニッポンが、脅威の11連覇中!  まさに、わがニッポンの“お家芸”。他の国を圧する、無類の強さを見せつけているモノ…といえばなんでしょうか。オリンピック競技じゃありません。実はコレ…知る人ぞ知る、ノーベル賞のパロディ版、「イグ・ノーベル賞」のことなんです。

本家の「ノーベル賞」のほうは、残念ながら、日本人の3年連続受賞は、かないませんでした。(ノーベル文学賞を受賞した「カズオ・イシグロ」さんは、日系イギリス人です。)ところが…嬉しいじゃありませんか。イグ・ノーベル賞のほうは、去年まで、実に11年連続で、日本人が受賞し続けているんです!

まず、「イグ・ノーベル賞とは、なんぞや?」というところからいきましょう。「イグ・ノーベル」という、コチラのネーミング。これは、「恥ずかしい」という意味がある英語の形容詞「イグノーブル」と、「ノーベル賞」を引っかけた、ダジャレです。で、受賞の条件は、ズバリ、「いかに人々を笑わせ、さらに、考えさせてくれたか」というもの。要するに、一見、フザけているようでいて、意外と使えたり、ちょっぴり考えさせてくれたり…というような、ユーモアあふれる研究や業績に与えられる賞なんです。

ノーベル賞のパロディとはいえ、歴史もあります。去年までに、すでに27回も、授賞式が開催されています。で、授賞式の会場は、“アメリカの最高学府”、天下の「ハーバード大学」! 運営母体は、『風変わりな研究の年報』という名前の、れっきとした科学雑誌でして、ハーバード大学コンピュータ協会など、アメリカが誇る頭脳集団がスポンサーを務めています。

もちろん、栄えある受賞者には、賞金もでます。本家「ノーベル賞」の受賞者には、約1億2,500万円が贈呈されますが…こちら、「イグ・ノーベル賞」も、負けてはいません。なんと… 受賞者には、賞金「10兆 ジンバブエドル」が贈られるんです! …え? いくらくらいの価値か、ですって? ジンバブエドルは、超ハイパーインフレの末、3年前に廃止されているのですが…試みに「10兆ジンバブエドル」を現在の日本円に換算してみますと、だいたい、500円から800円くらいの間なのだそうです。

受賞者には、交通費も出ません。「アゴ」「アシ」「マクラ」、すべて自腹です。それでも、毎年、ニッポンを始め、世界中から、栄えある受賞者たちが、ニヤニヤしながら(?)集まってくるんです! ユーモアを解する、憎めない人たちですよね。

ドクター中松 イグ・ノーベル賞

ドクター中松が「イグ・ノーベル賞」受賞 「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」で科学への関心を高めた功績に贈られる「イグ・ノーベル賞」の栄養学賞を受賞し、会見する発明家のドクター中松こと中松義郎さん 2005年10月17日 写真提供:産経新聞社

さぁ、それではいったい、ニッポンの、どんな面白い研究や業績が受賞してきたのでしょうか?

まず、オモチャ王国ニッポンの、ユニークなオモチャは、実に強い! 大ヒットした携帯ゲーム「たまごっち」。イヌの言葉の翻訳機「バウリンガル」も受賞を決めています。シャレが利いてて斬新だけどクスッと笑える…そんなところが受賞理由でしょうか。

かのニッポンの発明王、ドクター・中松さんも受賞しています。中松さんが受賞した研究は、「34年間に渡り自分の食事を詳細に記録する研究」なるもの。凡人にはマネできっこない“偉業”ですよね。

2012年、第22回大会では、日本人の研究家が発明した「おしゃべりな人を黙らせる装置」、その名も「スピーチ・ジャマー」が受賞しました。コレは、おしゃべりな人が話した声を、コンマ何秒遅れでもって、直接本人に聞かせる機械。自分の声を聴かされると、即座におしゃべりが止まるそうです。シャレが利いてて、なかなか面白いじゃありませんか。

股のぞき効果 イグ・ノーベル賞 立命館大学 東山 篤規 教授

「股のぞき効果」でイグ・ノーベル賞を受賞し、ゼミの学生らと股のぞきをする立命館大学の東山篤規教授(右から2人目)=2016年9月29日午前、京都市北区の立命館大学衣笠キャンパス 写真提供:産経新聞社

一昨年、第26回大会では、立命館大学の東山教授らによる前代未聞のユニークな研究、その名もズバリ!「股のぞき効果の実験」なる研究が、受賞しました。

日本三景のひとつ「天橋立」を、「股のぞき」の姿勢で眺めると、海と空が逆になり、まるで「天に架かる橋」のように見えます。では…いったいなぜ、かくもドラスティックに、海が空となり、空が海のごとく見えるのでしょうか?

東山教授らは、大勢のボランティアに協力を仰ぎまして、実験に実験を重ねました。そして…「股のぞき」の姿勢をとると、見える風景の距離感が掴みにくくなり、結果的に見事な「逆風景」ともいうべき錯覚を起こしてしまうことを、世界で初めて証明したんです!

そんなこんなで、日本人の発明や研究が、11年に渡って連続受賞してきました。そんな中、去年の授賞式で、もっとも注目を浴びたのは、「イグ・ノーベル物理学賞」でした。受賞したのは、残念ながら(?)フランスの、ファルダンという名前の研究者でした。これが実に、バカバカしいってんで… たいへんな大評判をとったんです。

脅威の12連覇なるか? ニッポンが無類の強さをみせる「イグ・ノーベル賞」

テーマはなんと… 「ネコ =(イコール)液体説」という、摩訶不思議なもの。いったいどんな研究なのか、カンタンに説明しましょう!

液体とは、ざっくりいうと、「容器に合わせて形を変えるもの」ですよね。じゃあ、ネコはどうか? ネコは、箱や袋など、いろいろなものに入りたがります。そして、自分よりも小さそうな器にも、体を丸めて、きれいに隙間なく挟まることができます。

…お分かりですか? 容器に合わせてかたちを変えるものというのが液体の定義とするならば、ネコもはズバリ、液体だ! というワケなんです。授賞式のスピーチで、ファルダンさんは、さまざまな容器にすっぽり納まる猫の写真を見せながら、大見得をきってみせました。

「いかがですか、皆さん? 写真を見るかぎり、ネコは液体の定義に完全に一致しています」

会場は、爆笑と、万来の拍手につつまれたそうですよ。前人未到、12回めとなるニッポン人の受賞連続記録がかかる、今年のイグ・ノーベル賞。「選考理由がよくわからない本家よりも、ある意味、こっちのほうが面白い!」なんて声さえあがっているとか、いないとか…ガンバレ、ニッポン!

脅威の12連覇なるか? ニッポンが無類の強さをみせる「イグ・ノーベル賞」

1月26日(木)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

Page top