高齢者とこれからのクルマの在り方
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今月9日に前橋で85歳の高齢者ドライバーが女子高生2人をはねる事故を起こし、高齢者のドライバーによる事故が社会問題となっている。「高齢者とこれからのクルマのあり方」について自動車ジャーナリストの国沢光宏(くにさわ・みつひろ)が解説した。
高嶋)ご専門の立場から、いくつぐらいから運転は怪しくなってくるものなんですか?
国沢)これは個人差があるので、一律に何歳から(運転が)難しいとは言えません。
高嶋)私も去年、75歳で免許を更新したんですよ。驚いたのは、来ているお年寄りの方で年々、「運転に自信がある」とアンケートに答えた人の割合が結構多かったりね。一方で、反射神経や視野の広さのテストの数値が明らかに落ちているのに、自信だけは増えているというね。こういうのは、どうなんでしょうね。
国沢)いくつか問題があって。老化と認知症は分けないといけません。世界的に見ても、単純な老化、年齢で免許を返上させようとする国はないんです。一番難しいのは、少しずつ認知症の症状が出始めている方。ぶつけた事に鈍感になってくるんです。ドアミラが落ちているのに、気づいていないとか。車をぶつけて帰ってきているのに聞いても、よく分からないとかですね。
高嶋)そりゃ、結構重症ですね。
国沢)いや、そういった症状が頻繁に出てくるんです。
高嶋)去年3月から義務付けられた75歳以上のドライバーを対象にした認知症検査。あれでバツが出ると、お医者さんに診てもらわないといけないんですよね。
国沢)認知症の判定というのは、そう簡単にできるものではないそうなんです。認知症になると、免許証を持っている事すら、忘れてしまうんです。だから、免許証を持っていないのに、6年間運転して、事故を起こす高齢者とかも出ていますよね。本当に認知症が進むと、赤信号を直進したりするんです。
高嶋)困ったもんですね。抜本的な対策はできませんか?
国沢)3つあると思います。1つは、「家族から免許証返納をすすめる事」。
もう1つは、「家族が鍵を隠す」。鍵を隠すと怒るので、エンジンのプラグコードを抜いておくのも手です。プラグコートを抜いておけば、セルが回っても、エンジンがかからないので、故障と勘違いするので、ディーラーに来てもらって、高齢者を説得する。
3つ目はですね。例えば、エンジンをかける時に4桁の数字をプッシュボタンで入力させるようなシステムを作る。こうすれば、認知症の方は運転はできません。
高嶋)これは車メーカーなども考えているんですかね?
国沢)車メーカーは考えています。あとは国などが指示を出すだけ。あと、最近は自動ブレーキなどの技術が進みましたから、ある程度の年齢が来たら、『自動ブレーキがついているクルマしか運転できません』とすればいいんです。今の免許に記載されている『眼鏡等』のところに『自動ブレーキを持つクルマ』や『赤信号の自動検知システムを持つクルマ』など、そういう条件を設ければいい。歳によってだんだん危険性が出てきたら、車の運転する条件を設ければいいんです。
高嶋)アクセルやブレーキの踏み間違いやギアの入れ間違いが高齢者には多い印象ですが?
国沢)アクセル踏み間違いの飛び出し事故に関しては、高齢者だけでなく、若い方にも多いです。最近の車には、踏み間違い防止装置が付いているものが出ていますので、そういった車に乗るといいと思います。
高嶋)自動車ジャーナリストの国沢光宏さんにお話を伺いました。
1月19日(金)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
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