異業種参入!認知症予防ビジネス
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さて、きょうのやじうま好奇心は続々と異業種が参入している認知症予防ビジネス。高齢者はお金を持っておりまして、全部あわせると、1兆円を超えるという数字があるようです。
インターネットのサイト「ビジネス+IT」でコラムを執筆されている経済ジャーナリスト 寺尾 淳(てらお・じゅん)さんによりますと、2020年の東京五輪・パラリンピックの40年後、21世紀後半の2060年になると、認知症患者になった高齢者が全国にあふれて、日本の人口の1割を超えるという予測があるそうです。
凄いですよね。認知症になったら、本人つまらないし、家族も大変。そんな事もあって、認知症予防ビジネスが花盛り。
そろばんメーカーの「トモエそろばん」は、全国のデイケアセンターで脳の活性化や、認知症予防のためのそろばん講座を開いているんです。なぜ、認知症予防にそろばんなのか?
トモエそろばんの担当者によりますと、そろばんで指を使って、そろばん玉をはじくと、脳の血流量が増える事が分かり、認知症の予防になるのではないか、という研究結果が出たそうです。
で、どういう事をやるのか?そこで、デイケアなどの施設から依頼があると、指定の場所へ教材を持っていて、有料で60分くらいの授業を実施しています。
使用するのは、普通のそろばんより玉が大きめで、黄色で、見易いそろばんです。通常のそろばんは23ケタまで玉がありますが、こちらは5ケタしかなく、幅も10cm程度とコンパクト。私はそろばんをあまりやった事がないのですが、これなら扱いやすいと思います。
認知症予防のビジネスに力を入れているのは、少子化に悩む教育業界が目立つようです。
「公文式」で知られる公文教育研究会は、2001年から「脳トレ」で知られる東北大学の川島隆太(かわしま・りゅうた)教授らと、共同研究を実施。認知症の方向けの学習プログラムが著しい効果が見られたため、2004年7月に「KUMON学習療法センター」を設立しました。「脳の健康教室」を各地で開いています。これが大反響で、2016年度は、およそ230自治体、460ほどの教室が開講されたという事です。
では、KUMONの「脳の健康教室」。どんな事をやっているのか?認知症予防事業として自治体が主催する形で教室を開講するケースがほとんど。週1回、地域の高齢者が教室に通ってくる形の教室。学習を支援する「教室サポーター」1名に対し、受講者2名で学習を行う。およそ30分間に、足し算や引き算などの簡単な計算、数字並べ、「浦島太郎」のような分かりやすい物語を朗読する。
週1回の授業だけでは、忘れてしまうので、毎日5分程度で出来る宿題も出される。つまり、家でも脳のトレーニングをする。
KUMONの担当者によりますと、認知症予防にはコミュニケーションを取る事も大切なので、脳の健康教室では、地域の仲間づくりの場としても活用されているという事です。
経済ジャーナリスト 寺尾 淳(てらお・じゅん)さんにお話をうかがったところ、トモエそろばんやKUMONの他にも学習塾に、生命保険、IT、スポーツクラブ、さらには健康麻雀など、さまざまな異業種が認知症予防ビジネスに参入しているそうです。旅行業界も認知症予防の分野に力を入れています。
語学の勉強も認知症予防に役立つと言われていまして、旅行業大手のJTBの子会社JTBガイアレックでは50歳以上対象の英語研修コース「大人の遊学」を企画・運営しています。
このコースは現地で英語を学ぶだけでなく、イギリスの個人のお宅にホームステイして、ガーデニングを体験するなど、シニア世代の方の好奇心を刺激する内容で、人気となっているようです。
また、客のおよそ65%が60歳以上の方で占められる旅行会社「クラブツーリズム」。こちらは、東北大学とタッグを組んで「旅行がもたらす認知症予防効果」を去年から来年までの3年計画で、研究しています。
統計の解析を行ったところ、「過去5年間の旅行回数が多いほど、人生に対する『失望感』が低い」という結果が出たそうです。つまり、旅行に出掛ける頻度が高い人ほど、人生を肯定的に捉えているという事なんですが・・・
旅が認知症予防に役立つ事を科学的に証明出来れば、「認知症予防ツアー」などを売り出す事が出来るので、来年まで徹底的に「旅行と認知症予防の関連性」を調べていくという事です。
10月2日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00