電話恐怖症の世代とビジネス電話の変化~企業の“電話の取り方”教育の実際とは?

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まもなく多くの企業で「内定式」(今年は10月2日予定)が行われますが・・・2018年春に卒業する大学生たちは、浪人や留年などの寄り道なしの卒業予定であれば、1995年から96年生まれ。つまり生まれたときからの携帯電話世代で、彼らの通信手段は「LINE」「ツイッター」など文字だけのコミュニケ―ションに慣れた世代で、電話をかけたりもらったりという、“電話”に極端な拒否反応があります

まず、「就職活動の段階で、会社の人事が電話をしても電話に出ない」。学生は「『電話する』とメールしてから電話ください!」と会社側に怒るのです。またこうした若い世代は、採用したとしても、「会社で電話を使う場面で、必要以上に緊張する」「挙句の果て、電話が苦痛で会社を辞める原因になったりする」。

こんな“電話嫌いの世代”を裏付ける数字も出ています。就職サイトの『マイナビ』が18年卒の就活生を対象に実施した調査では、友人とのコミュニケーションに使うツールはなんと9割がLINE。一方、電話はたったの1.3%とごくわずかです。

LINE

コミュニケーションアプリ LINE(ライン) 文字でのコミュニケーション(LINEサイトより)

電話対応が苦手になった理由は、「文字だけのコミュニケーションに慣れていること」以外にもあります。家の電話=イエデンという固定電話に出た経験が少ないからです。

家族にかかってくる見知らぬ相手からの電話に出て、「誰が」「誰に」かけてきた電話なのか?を会話で知る。「どちら様でしょうか?」などと言った話し方を学ぶ。そんな機会が失われています。親の方も、犯罪防止から家庭で子どもに電話を取らせなくなりました。固定電話がある家庭であっても電話は取ったことがない子どもが増えているのです。

一方で、ビジネスにおいて、電話はどんな役割になっているのか?!若者たちと同じように、文字のコミュニケーションに頼るようになって、電話は減りつつあるのか?!答えは「ノー」です。

確かに、電子メールの普及で、いきなり電話ということが少なくなりました。ビジネスの場面では、最初の依頼や問い合わせなどをメールで行い、相手に時間のある時に読んでもらい、負担にならないようにする。そして、案件を煮詰める時や重要で複雑な内容、クレームなどはやはり「電話」。

つまり、最初から何でもかんでも電話だった時代は過ぎ去り、大事なことだけ「電話する」。よって、『電話の地位が向上した』と言えるのです。

こうした『若い世代の電話苦手意識』と『電話の地位向上によるビジネス電話の重要性』から、いま企業では、より一層「電話教育」に力を入れるようになっています。企業が電話の応対をキチンとしないとどうなるか?それこそ「炎上」ということになって、取り返しがつかないことになるとも限らない。

アナタも、問い合わせの電話をしたとき、「この通話は、製品やサービス向上のため、録音させていただきます」というアナウンスを聞いたことがあるでしょう。クレーマー対策で、“録音されているなら、あまり強く言わないでおこう”とこちらを委縮させる目的では?と思っていた方も多いかもしれません。しかし、社内でモニタリングして、電話対策に役に立てる、ということが日常的に本当に行われているのです。

では具体的にどうやって「電話教育」を行っているのか?その一つが、「電話応対技能検定」、通称『もしもし検定』を受けることで、電話の応対を勉強するという方法です。

「もしもし検定」は、公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会によって2009年から始まりましたが、初年度の受験者は1,000人。現在45,000人と45倍にもなっています

受けているのは、名だたる企業ばかり。詳しく言いませんが、あの証券会社、あの生保、あの宅配会社、あの銀行、あの飲食会社、あの化粧品会社、あのハム会社・・・誰もが知っている会社です。もちろん、会社だけではなくて、看護師や葬儀屋さん、外国人も受験。

レベルは、新入社員レベルの4級から、会社内で電話応対の指導ができる最高レベルの1級まで。4級こそ筆記のみですが、3級から1級は電話の実技試験があります。どの級も7割以上の正解で合格、となります。(※4級1000円、3級5000円、2級6000円、1級7000円)

内容は、電話の応対もさることながら、「正しい日本語の使い方」や「ビジネスにおける電話以外のコミュニケーション」も含まれています。というのも、電話だけを切り離して考えるのではなくて、取引先や客、上司との関係では、相手の立場に立って考えることが出来ることが必須となるからです。

せっかくですから、どんな電話応対が正しいのか、ちょっと紹介していきましょう。

「相手からの電話は3回以内に必ず出る。3回以上の時は『お待たせしました』5回以上の時は『大変お待たせしました』と言う」

「かけた場合は、“今お時間よろしいですか?”と必ず聞く」

「途中で電話が切れたら、かけた方がかけ直す」

「必ず、メモを取る」

「相手が『3時に伺います』と言ったら、『15時にいらっしゃるのですね』など言い換えると、好印象を与える」

「電話の基本ルールは、かけたほうから切る」

携帯電話のマナーについての問題もあります。

Q. 携帯電話の利用において、使用場所によって「電源オフ」「マナーモード」「機内モード」「通常モード」と設定を使い分ける必要があります。映画館の劇場内での設定で適切なものはどれですか。

答えは、完全な「電源オフ」が正解です。

Q. 携帯電話からパソコン向けメールアドレスにメールを送る時、受取る側のパソコンで必ず正しく表示される文字は、「絵文字」「半角のカタカナ」「㈱㍉?などの環境依存文字」「半角の記号」のうちどれか?

答えは「半角の記号」のみ。

さらに場面を限定して、たとえば、こんな問題がでます。

Q. お客様から取引の件で、即答できない問い合わせがありました。どの言い方が一番相応しいですか。

「分り次第すぐにお電話します。しばらくお待ちください」「早速調べて、折り返しお電話をいたします。」などという選択肢がありますが、これらは間違いです。“しばらく”という言葉は曖昧でダメ。“分かり次第” “折り返し電話します”も時間のめどを与えていないのでダメ。

正解は「早速調べて、取りあえず10分後にお電話いたします」。「10分後」と具体的な待ち時間を提示し、そのとき結果が報告できなくても中間報告をして相手を安心・納得させることができるからです。

またこんな問題はどうでしょうか。

Q. 相手からの注文や問い合わせに答える時、お客様から名前を聞き出す方法とは?

さあ、どう聞きますか?「お名前を頂戴出来ますか」「お客様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか」これら、イイがちですよね?でも、この両方とも“ハイ”“いいえ”の承諾を求める質問となるので、電話応対ではダメな表現。

正解は「はじめにお客様のお名前からお聞かせくださいますか」と聞くのが○です。

もしもし検定では、4級以外は実技もあります。状況が設定されて、ロールプレイの試験となります。たとえば・・・

「あなたの働く旅館に、予約客から行き方をたずねる電話がありますので、答えてください」というシチュエーション。この場面設定については、問題用紙が手渡されています。

しかし、試験官からどんな言葉で尋ねるかはもちろん明らかにされていません。受験者が電話を取るといきなり、『おたくは、何回かけても話し中だね』という言葉で電話が始まる、などといった、厳し~い実技試験です。

電話嫌いの世代だけでなく、電話応対というものは奥が深くてなかなか難しい。その分、訓練次第でいくらでも上達する、という認識が広がって、今や社員教育で力を入れている会社がどんどん増えています。

電話の声ひとつで、その会社の評価が分かれるのは、今も昔も変わらない事実だと言えるのではないでしょうか。

9月26日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00


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