3/2(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
ロシアの国防費はアメリカの9分の1
7:17~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹)
プーチン大統領は年次報告演説にて、アメリカに対して異例の強硬姿勢
ロシアのプーチン大統領は1日、モスクワで年次報告演説を行い、「大陸間弾道ミサイルなど、複数の最新核兵器開発に成功した」と表明し、アメリカとNATO(北大西洋条約機構)のミサイル防衛は、この最新兵器を迎撃できないと主張した。
また、プーチン大統領は、アメリカと軍事的に対抗する、異例の強硬姿勢を示した。ロシア大統領が連邦議会に対して行う「年次報告演説」は、これまでは12月に毎年行われていたのですが、今回は今月18日に大統領選挙があるということで、そこに遅らせて行われたと言われています。
およそ2時間の演説だったのですが、内30分が、最新兵器の紹介に割り当てられました。スクリーンで映像を示し、プーチン大統領が紹介した最新兵器の中には、ミサイル防衛による迎撃が難しい、飛行距離の長い重量型ICBMや、原子力エネルギーで飛行する巡航ミサイル。それから、核弾頭搭載可能な無人潜水艇。あるいは超音速飛行するミサイル等を紹介しました。
ロシアが新兵器を開発する目的というのは、「アメリカやNATOのミサイル防衛の網を突破する攻撃能力を維持するためだ」と説明しました。その上で、アメリカ等によるロシア封じ込めは失敗したとして、「アメリカと軍事的対抗をする」と、異例の強硬姿勢も示しています。
ロシアの国防費はアメリカの9分の1程度に過ぎないと言われており、通常戦力ではアメリカにかなわないのですが、それだけにロシアとしては核戦力を無力化する、アメリカのMD(ミサイル防衛)には激しく反発しています。
プーチン大統領は「再選確実」と言われており、次の6年間の任期で、アメリカとロシアの間に緊張関係が続くのでは、というようなことも言われています。
アメリカの国防戦略で警戒するのはロシアではなく中国
高嶋)2014年のクリミア併合以来、ロシアはずっと目の敵にされているわけです。まず当選は確実と思うのですが、軍事的に言うと、現在の米露関係はどうなっているのですか?
宮家)ソ連崩壊後、本当に地に落ちましたよね。「ロシア軍」といっても、錆び付いていた時代があった。そこで、どんどん追いつめられたことに対する反発が、プーチンさんの政策を作っているわけで。その意味では、この演説内容はまさに、人々に伝えたいメッセージでしょう。
実際に限られた予算内でやっていますが、アメリカの技術開発のレベルや規模を考えたら、とてもじゃないけどね……ミサイル防衛は完璧では無いから、常にいたちごっこなのかもしれないけれど、アメリカも必ずそれに対抗する物を作ってくるはずだから、そこはまあ、痛み分けですね。
ロシアのこれを見ていると、こう言っては何だけど「可哀想だな」と。中国を見てください。あの国はAIで国内弾圧しながら、しかも10数億人いるわけだから、ビッグデータも作れる。それで、おそらく世界的に、国際標準を作ろうとしているわけですから。中国の方が遙かに戦略的な動きをしている。それを見ていると、「プーチンさん、かわいいな」という感じです。高嶋)ロシアは中国に完全に抜かれているような感じですかね?
宮家)アメリカにとっても中国の方が、脅威は大きいと思います。だからといって、無視して良いわけではありません。
高嶋)パワーバランスが変わってきているということですか?
宮家)そう思いますね。アメリカ最新の国防戦略もしくは国家安全保障戦略を見ても、中国が第1ですよ。ロシアも第2ですが、遙かに離れている。中国の方が懸念が大きいと思います。
高嶋)その辺を見据えて日本もいろいろ戦略を立てているのでしょうね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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