ビットコインや仮想通貨の出現によって「経済は作れる」ようになった
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3月14日放送 ゲスト:株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤航陽 第3回
20万部突破の話題の本『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の著者。
変わろうとしている経済のかたち・あり方、そして新しい経済をどう歩くか・どう生きるか。
“お金”について考える!
「ビットコインを掘る」ということは「資源を掘る」ことに近い
黒木)毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺っていく「あさナビ」。ゲストは話題の本『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の著者で、株式会社メタップス代表取締役社長の佐藤航陽さんです。
ビットコインのお話を伺っていますが、ビットコインを買うには?
佐藤)もしくは自分で掘る。誰かから受け取るのも可能ですね。
黒木)掘って、自分でビットコインをもらう。でも、掘るには1番に計算しなきゃいけないのでしょう? 世界中で、時間の区切りはどこが1番なのですか?
佐藤)10分単位で、その記録がつながっていきます。10分、10分、10分……と。
黒木)ということは、10分後に1番の人が手に入る?
佐藤)はい。それにはコンピュータの計算能力が必要ですし、後は結局、確率なので、大量に掘るためには工場を借り切ったり、何百、何千の大量のマシンが必要になってきますね。
黒木)難しい作業ですか?
佐藤)いや、マシンを稼働させればいいだけです。暗号なので、式があって。誰でも時間をかければ解けます。それをコンピュータがずっと計算して当たりを見つけるというイメージですかね。
黒木)いま、一歩踏み出した感じ(笑)。
佐藤)ビットコインを掘っている人たちというのは、オンライン時代の資源を掘っている人たちに近いと思います。
黒木)ビットコインは埋蔵量というか、量は決まっているのですか?
佐藤)そうですね。「○○年に掘り尽くされる」というのは決まっていて。無限に発行されているわけではありません。最初に始まった瞬間から、「これくらいで終わり」と決まっています。
黒木)終わったらどうなるのですか?
佐藤)そのまま次は掘れなくなります。
ビットコインはそのまま使っても、円に両替してもいい~「金」に近い
黒木)お金で、たとえば100万円で買った人はどうなるのですか?
佐藤)通貨としてそのまま使えます。円に両替したければ、それもできます。そのまま持っておく人もいるし、買う人もいる。それはもう自由ですね。
黒木)全然違うものですね、お金と。
佐藤)そうですね。既存の通貨とは違うものです。「仮想通貨」はやはり「通貨」と付くので、みなさん理解するのに時間がかかる気がしますね。「デジタル資源」ですね。ホントに。
黒木)デジタル資源?
佐藤)「金」に近いと言われます。金も埋蔵量が決まっているし、掘る人たちもいる。加工する人たちもいる。金も昔、通貨として使われていましたね。あれに近い。あれを「デジタル上で、ゼロから作ろう!」という仕組みだったんじゃないかな?
黒木)でも、結局はそれがお金に変わって、お金の役割をこれから果たしていくだろう、ということですよね。
佐藤)その可能性が高いと思います。
個人がテクノロジーを使って経済を作れるようになった
黒木)これはいまできあがったばかりで、10年くらい? 変わっていくには何十年かかかりますよね。
佐藤)私は、意外に早いだろうと思っています。たとえば、たまに海外のエンジニアとかで、「自分の仕事の報酬を全部仮想通貨で欲しい」という人たちはいますね。「国の通貨よりもビットコインとか仮想通貨の方が信用できるから、欲しいんだ」と。何故かというと、日本やアメリカにいると分かりませんが、新興国の通貨って不安定なのですよ。私たちは先進国なので分からないのですが、新興国には「自分の国の通貨よりビットコインの方が信用できる」という人もいます。
黒木)仮想通貨や仮想資産だったり、ビットコインだったり、いろいろなものがデジタル内に生まれてきている状況、ということでしょうか?
佐藤)そうですね。経済というのが、いままでは住むところだったのが、自分で作る物に変わってきているのが、大きな変化ですね。「経済を作る」って、ちょっと「おや?」となるじゃないですか。それに近いので、今回のパラダイムシフト(大きな変化)は、そこですかね……選べなかった物が、選べるようになってきている。
黒木)経済を作る? いままでは作られたところで学んだり、生きてきたのを、これからは自分の手で作っていくということですか?
佐藤)そうですね。それがいままで国家とか、すごく大きな人たちしか作れないし、コントロールできなかったのが、個々人がインターネットとかのテクノロジーを使って作れるようになってきている、というのが1番大きな革命ですかね。
黒木)そもそも、経済って何ですか?
佐藤)私はすごく「自然」に近いものだと思いましたね。誰かコントローラーがいるわけじゃないけれど、上手く自分の利益のために動くと、それが全体の利益に伝わる、という仕組みなので。いままでの経済学・経営学は、経済を「作る対象」として認識していなかったから、「経済って何か?」を外から見ていました。
今回の本は自分で経済を作ることを前提として書いたものなので、「面白い!」という方がいるのは、なんとなく分かる気がします。会社を作っている人とか、製品を作っている人とか。
黒木)理解は少ししかできないけれど、面白かった。ただ、世の中の価値観が変わっていくんだな、というのはひしひしと感じました。
(2018年3月14日放送分より)
佐藤航陽/株式会社メタップス代表取締役社長
1986年福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立して代表取締役に就任。
2011年にアプリ収益化事業を開始、世界8拠点に事業を拡大。
2013年よりオンライン決済事業の開始。
2015年に東証マザーズに上場。累計100億円以上の資金調達を実施し、年商100億円以上のグローバル企業に成長させる。
現在は時間取引所「タイムバンク」の立ち上げ、フォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、30歳未満のアジアを代表する30人「Under 30 Asia」などに選出。
2017年に宇宙産業への投資を目的とした株式会社スペースデータを設立。代表を兼任。
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