内閣支持率回復傾向~森友問題で安倍総理の関与はなかったと国民が判断?

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4月2日 FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!①

共同通信の世論調査で、内閣支持率42.4%、前回より3.7ポイント増加
7:10~お早う!ニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

安倍 晋三 首相 茂木 敏充 経済 再生 担当相 世耕 弘成 経産相

未来投資会議に臨む(右から)茂木敏充経済再生担当相、安倍晋三首相、世耕弘成経産相ら=2018年3月30日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

世論調査で注目するポイント~1つ目は自民党と内閣の支持率を比較した政党支持率

財務省の佐川前国税長官の証人喚問後、初の週末。共同通信が世論調査を実施し、内閣支持率は42.4%と回復したものの、相変わらず不支持の方が上回っている。

一方、証人喚問を受けた佐川宣寿氏の証言に関しては「納得できない」との回答が72.6%にのぼった。この世論調査の読み解き方を、ジャーナリスト・須田慎一郎と深めていく。

飯田)共同の世論調査では、「内閣支持率は少し上がった」と。一方、同じタイミングで調査した読売では、「内閣支持率続落48%から6ポイント低下の42%」となっています。まずはこの数字をご覧になって、須田さんいかがですか?

須田)この見方というのは、内閣支持率だけを見ていてもあまり意味がないのです。見方には2つのポイントがあります。
1つは政党支持率。つまり自民党の支持率と内閣支持率を比較してみる。すると、共同通信の場合、内閣支持率の方が3ポイント多いのですよ。これを私の言い方を使わせていただくと、この3ポイント差を「安倍プレミアム」、つまり「安倍さんが総理であることのメリット」が3ポイント分あるということです。ですから場合によっては、内閣支持率が政党支持率を下回ってくると、自民党内で安倍降ろしが起きる可能性が高くなってくるという見方です。

飯田)なるほど。政党支持率はある意味で基礎表みたいなもので、上に乗っかっている総理の人気みたいなものが無くなってしまったら、意味がないと。

須田)そうですね。すると何が起こるかというと、9月の総裁選に向け、安倍さんに変わり野田さん、あるいは石破さんが、「いよいよ俺の出番か!」という動きが起きてくるというのが、この内閣支持率と政党支持率のバランスということになってくると思います。

相応しい次期総理アンケート~1位・石破茂、2位・小泉進次郎、3位・安倍晋三

飯田)「次の総理は誰が相応しいか?」というような質問もありますが、共同の調査で1位に躍り出たのは石破茂さん(24.1%)。安倍晋三さん(23.1%)で、小泉進次郎さん(23.5%)。この3人が競っている感じです。

須田)ただ、「次の総理は誰が相応しいか?」というアンケート自体が、あまり意味をなさないのです。何故かというと、自民党の総裁選は一般の総選挙や参議院選挙とまったく違い、自民党内で自民党員と、自民党籍を持っている国会議員だけで争われるわけですから。ほとんど世の中の人気調査は影響を及ぼさないでしょうね。

飯田)これを切り分け、「自民党支持者の中でどうか?」みたいな数字まで出さないと、意味がない?

須田)そうですね。加えて、そうは言っても総裁選というのは、一般の自民党員は地方票という形でまとめられるでしょう? これはあまり影響を持たないのですよ。だから自民党籍を持った国会議員は「誰が総理だったら自分が当選しやすくなるか?」があるので、それが行動パターンになってきます。そうすると、その中で「ちょっと石破さんは……」という風に考えるような人たちもないわけではない、とういうことです。

飯田)2012年総裁選のときは、地方票でトップに立った石破さんが、最後に国会議員票で逆転されたことがありました。今回もその流れになるかもしれないし、どうなるか。

須田)「さほど、地方票が取れるのかな?」というのも、含めて私は見ています。

飯田)石破さんは地方創生担当大臣をやって、その後はけっこう地方を回っているという話もありましたが、なかなかこれも難しいと?

須田)ええ。その後も、5年3ヶ月の安倍政権になって、予算付けをして、地方に活性化をもたらした点では、実績を持っている人と、まったく実績のない人の争いになるわけですから。その辺でも、前々回の総裁選とは様相が違うのではないかと思います。

内閣支持率回復傾向~森友問題で安倍総理の関与はなかったと国民が判断?

世論調査で注目するポイント~2つ目は野党第1党と内閣支持率との比較

須田)内閣支持率の見方のもう1つのポイントは、野党第1党です。このケースで言うと立憲民主党。「立憲民主党の政権支持率と比べてみて、どうなんだろう?」という部分で見ていくと、各紙世論調査を見ても3分の1前後ですよね。

飯田)共同だと、自民党が31.9に対し、立憲民主党が14.2。前回調査の11.5より少し上がったとはいえ、まだ差がある。

須田)それについて1つは、「安倍政権は厳しい状況かもしれないけど、立憲民主党、あるいは野党に任せるような政治環境じゃない」というのが有権者の率直な見方ではないかと思います。いま衆議院選挙は小選挙区制で、2大政党制が前提でしょう。そういう意味では自民党一強なのです。その点で言うと、野党の動向というのが、今後大きく政局にも影響を及ぼすでしょうし。つまり、野党がいまの体たらくな状況では、安倍政権が無くなることはないと思います。

飯田)前から言われていた、「他に選択肢がない消極的支持」みたいなものが、選挙になると出てくる?

須田)そうですね。それに、立憲民主党はウィングが狭い。厳密にはいまも民進党はありますが、かつての旧民進党。ようするに総選挙前の民進党ならば、国民政党として、右から左までウィングが広かった。なので、自民党に対しての批判について、受け皿になることができたのですが、いまは真ん中から少し左寄りのところに狭まっています。だから、受け皿としての役割が果たせそうにないかな、と思います。

自民党と立憲民主党の違いは、意思決定のプロセスの差である

飯田)そこへ行くと、野党再編ということで先週末くらいに、「民進党と希望の党が一緒になって、『新しい民主党』となる」そうですが、立憲民主党は、そことは一線を画するというか、「俺たちは一緒にやらない」みたいなことをずっと言っていますよね。

須田)そこがいちばん悩ましいところです。何故前回の、去年10月22日の総選挙で立憲民主党がかなりの支持率を集めたのか。そこがブレなかったからなのです。
つまり、「数の論理を優先するために何もかも受け入れる」ではなく、「この路線を堅持する人だけで集まった」というところが一定の支持を集めた。なので、ここで数の論理を全面に出すと、そういう人たちの支持を失ってしまう可能性が高いのです。

飯田)これは難しいな。昔からありましたよね。「ウィングを広げた後に純化路線に行く」みたいなのは。それこそ小沢一郎さんも昔やりました。
やはり2大政党というのは、なかなか日本では根付かないんですかね?

須田)でも、自民党は一定程度、かなりの成功を収めているわけですからね。必ずしもそうではないと思います。
私が思うに、やはり意志決定のプロセスです。立憲民主党にしても、民進党にしても、何かあると両院議員総会を開きガヤガヤやって、結果的に多数決で決めたとしても、それに不満を持つ人たちがいるから、結果的に足を引っ張ってしまうのです。それに対して自民党は「1度組織で決めたことは、みんな守ろう!」という点で、やはり意志決定のプロセスの違いだと思います。

内閣支持率回復傾向~森友問題で安倍総理の関与はなかったと国民が判断?

支持率回復の理由は、文書改ざん問題・森友問題の疑惑が晴れつつあるから?

飯田)視聴者からのメールで「調査の数値が回復し始めたのは、下がり方が底を打ったのかな、と思うのは私だけでしょうか? 弾は敵からばかり飛んでくるわけではないでしょうけれど」というのがあります。自民党内のことも揶揄しているようですが、支持率は底を打ったのか、もう1段下がることはあるのか? 難しいですね。

須田)「何故下がったのか?」というのは言うまでもなく、財務省の内部文書改ざん問題、森友学園問題であることは間違いないけれど、いろいろと事実・真実が出てきたことにより、むしろ「安倍さんや昭恵夫人の関与はなかったのでは?」と。まあ、ハッキリ申し上げてしまえば関与していないんですけどね。その辺が明らかになってきた。これまでは曖昧模糊な状態だったから、「もしかして」みたいに思っていた人たちも、「やっぱり無かった」というのがハッキリしてきたのが、大きな原因の1つだと思います。

森友問題~本丸の“土地取引”が“文書改ざん”によって焦点がブレてしまった

飯田)結局、これは文書改ざんの話と、本丸の土地取引の話がごちゃごちゃになってしまい、それで「総理の首を取りに行くぞ!」みたいなことになり、かえって焦点がブレて、「野党は何をやってるんだろう」みたいになってしまった。

須田)そうですね。本来だったら、本丸としては「9億6,000万円の土地の値段が何故8億3,000万も値引きされたのか?」が最大のポイントのはずなのに、改ざんの方ばかり行ってしまったのもあります。
ところが、その改ざん問題も、先週末になって驚くニュースが飛んできた。「4年前から改ざんしていた」と。「4年前」ということは、総理が「事実なら、私は総理大臣も国会議員も辞職する」と言うはるか前から改ざんがあった。なので、「それがきっかけで忖度が始まった」という前提も崩れてしまったわけです。そのことに気付いているリスナーもそれほど多くないと思いますけど、意図的にその辺は一部メディアは隠しているのですよ。
だから、そのあたりが明らかになってくるにつれ、「関与の度合いが低くなってきているのでは?」と考えられると思います。

飯田)野党がこの先、さらに前の理財局長である迫田さんや昭恵夫人に証人喚問を求めていますが、どうもこのモヤモヤがずっと続いていくだけなのかな、という気もしてしまいます。

須田)どうでしょうね。一方で、「世論が求めるから証人喚問をやっていいのか?」という問題です。実はこれについてまったく新聞・テレビは報道していないのですが、そもそも参議院の予算審議委員会で集中審議をやっている中で、佐川さんの証人喚問が求められていますよね。これについても、「人権に配慮しよう」という声が野党から上がっていたのですよ。

飯田)ああ、本当はそうだったんですね。

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