金融緩和から5年~2%物価目標が達成できないのはなぜか?

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4月4日 FM93AM1242 ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!④

今回のキーワードは「金融緩和」
7:27~ 教えて!ニュースキーワード:コメンテーター飯田泰之(経済学者・明治大学准教授)

 

 

株・為替だけではなく、雇用にもつながっている

日銀が黒田総裁のもとで大規模な金融緩和策を導入してから今日4日で5年。当初2年程度で達成するとした2パーセントの物価目標は依然達成できておらず、来週次の任期に入る黒田総裁は難しい舵取りを迫られることになる。

飯田)朝日や東京新聞では、物価目標達成できてないじゃないかという、どちらかというと批判含みとなっています。この5年間ご覧になってきていかがですか。

飯田泰)まず株価と為替を見れば、黒田緩和で経済の潮目が変わったということは明確です。そして株・為替だけではなく、雇用を見ても、人手不足の話がこんなに紙面に踊る日が来るとは5年前に誰が想像していたでしょうか。

飯田)そうですよね5年前だって団塊の世代は引退迎えている時期でしたから、人手不足になっていてもおかしくなかったわけですよね。

飯田泰)すでに若者の人数は毎年減り続けてきていた。いま43歳から45歳くらいの団塊ジュニア世代を境に、若者の数は毎年どんどん減っている。でも人手不足にはなってなかった。

飯田)そうですよね。

設備投資も立ち上がってきているが、なぜ2%インフレが達成できないのか?

飯田泰)金融緩和のメカニズムから説明していきましょう。金利を低く抑えると例えば投資をするとか、家買うとか、そういったお金を使うことが有利になる。一方でお金貯めていてもあまり利子が付かない。だから「需要が増えて経済が良くなる」これがいつもの金融緩和。
黒田総裁の金融緩和、いわゆる非伝統的金融政策の肝は短期的な低金利が長い期間続くこと――それを民間に信じてもらうことにあります。金利が低い状態が長い期間続くということは、10年ローンとか30年ローンとかについても金利が下がるわけです。
「金利が低い状態が長く続く」というのを信じてもらう方法として、いろいろなことが考えられている。その1つが国債を大量に買うことであったり、日本の場合はやっていませんが、海外資産を買ったり。

飯田)国債とか。

飯田泰)そうですね。「ここまでやっているのだから、金利がずっと低いままなのを信じてくださいよ」というわけです。それを民間が確信したら効く。実際、なかなか振るわないと言われた設備投資も、徐々に立ち上がってきています。または、正社員を雇うということは「人間に投資する」ということですが、そういった活動も進んできている。
では、なぜ2パーセントインフレが達成できないのかというと、これが労働市場・雇用の改善が関係しています。大体2012年以前リーマンショックとか東日本大震災とか特殊な時期を除くと、2012年までは日本の雇用者数、雇われて働いている人は5500万人でした。この5500万人が150万から200万増えたら、いい加減人手不足も足りなさすぎて給料がどんどん上がるだろうと。

予見していた人手不足による賃上げ来ず、未だ道半ば

飯田)給料が上がらないと、人を集められないと思うだろうと。

飯田泰)給料が上がるというのは消費には1番効きます。なので消費が増えて、それによって物価が引き上げられると思ってたらですね、蓋を開けたら思いのほか雇用が伸びても、その伸びが止まらない。現在大体5850ですから350万人増えている。2015年からは、正社員の数の方がむしろ非正規よりも増えている。にもかかわらずまだ雇用が伸びるので本格的な人手不足というのがなかなか来なかった。
これ、誤算なのですが、その一方で、そのくらい日本国内には働く意思と能力のある人がいたということです。日本経済の潜在的な力はもっと高かった。ですから金融緩和を今後もしっかり続けて、賃上げに結びつくように持っていかないといけないわけですよね。

飯田)まだ道半ばということですね。

 

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