ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの世界普及における日本の役割 第68代世界医師会会長横倉義武

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ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの世界普及における日本の役割 第68代世界医師会会長横倉義武

4月8日(日)放送のラジオ番組『すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト』では、日本医師会会長で、第68代世界医師会会長横倉義武が出演し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの世界普及における日本の役割について語った。

自見)去年の12月、日本国政府の主催で「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・フォーラム東京2017」が開催されました。改めてユニバーサル・ヘルス・カバレッジについて、ご説明お聞かせください。

横倉)これは「すべての人が、適切な健康増進、 予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味し、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医療サービスを享受することを目指しています。日本では1961年に国民皆保険の体制が出来、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジのモデルと言われています。

淵澤)それは何故、なんですか?

横倉)1961年は、まだ日本が経済大国どころか、戦後の混乱期からやっと抜け出した、発展途上国でした。その時、政府や財界、労働組合等のみなさんが知恵を出し合って国民が安心して医療を受けれる体制を作ろうと努力をして頂いたわけです。その後、日本は急速な経済復興をいたします。やはり経済復興や社会の安定には、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジが、非常に重要な役割をするということです。

自見)現在、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを必要としている国どのような国がありますか?

横倉)びっくりされると思いますが、アメリカは国民皆保険がないんです。

淵澤)聞いたことはありましたが、本当に、ないんですか?

横倉)ないので通常は民間の保険に入ります。いわゆる健康保険を持っていない国民が以前は4、5千万人いました。オバマケアというのが始まっても、まだ2千万にくらい、いらっしゃる。最近はオバマケアの行方も分からない状態です。他にも、いまから国民皆保険を作って国民に安心を与えようとしている発展途上国がたくさんあります。そこに日本が経験したことをお伝えして、後押しを出来ればと思っております。

淵澤)日本がモデルになるというのは、うれしいですね!

自見)横倉会長は「2030年までに世界でユニバーサル・ヘルス・カバレッジをしたい!」と宣言されています。目標を実現するために日本がすべきことは何ですか?

横倉)これには単にお金だけの問題ではなくて、国民が協力しようという気持ちが重要です。

淵澤)国民自体に?

横倉)相互扶助するということが国民皆保険の原理原則になっています。また医療を提供する側も自分たちは技術があるから、もっとお金がほしいということばかり主張すると国民皆保険は破綻します。だから、お互いが出来る範囲の中で国民皆保険を作ろう! という意思を明確にしていくことが重要だと思います。

自見)バランス感覚が求められますね。

すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト
FM93AM1242ニッポン放送 毎週日曜 6:04~6:13

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この番組は、子育てで日々奮闘しているママやパパ、そしておじいちゃん、おばあちゃん、ご近所さんなど、子育てに関わる皆様に、役立つ情報を提供してゆく子育て応援プログラムです。
ナビゲーター:尾木直樹 アシスタント:淵澤由樹(フリーアナウンサー)

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