農家が抱える問題を逆手にとった素晴らしい成功例

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4月12日放送  ゲスト:「現代農業」編集長 石川啓道 第4回

石川啓道氏が編集長を務める月刊「現代農業」は、農業や農村の今を伝える総合実用誌。発行部数約20万部。コンセプトは「農家がつくる雑誌」。


人口4人の限界集落に年間3,000人が訪れる

黒木)黒木瞳です。毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺っていくあさナビ、今週のゲストは農業の専門雑誌「現代農業」編集長の石川啓道さんです。
現代の農業事情。地域の高齢化や過疎化。最近は農業ガールとか、若い世代の参入も増えてきているように見えますが、全体を通して日本の農業はどういう状況になってきていますか?

石川)やはり農家の数が減っているのは事実ですね。昭和1桁生まれの元気なお爺さんお婆さんがたくさんいたのですが、だんだん年をとればできなくなる。そういうなかで、農家の数が減ってきています。
農家の数が減ってきたり、高齢化、過疎化も一般的に叫ばれていますが、そう叫ばれればこそというか、それで注目されている地域もあります。京都の綾部市に古屋という集落があるのですが、平均年齢90歳です。お婆ちゃん3人と、60代男性が1人。3軒で4人だけ住む山奥の、まさに限界集落。そこに、年間3,000人がやってくる。

黒木)え、何をしに?

石川)もともと、とちの実を使った「とち餅加工」というのはみなさん知っていました。それで「最後の挑戦だ!」と「とち餅とか、そういう加工品を作ろう。村を潰すのはイヤだ、頑張ろう」と売り始めたら、それが話題になり、「スゴいお婆ちゃんたちがいる! 放っておけない!」という人たちもいて、ボランティア組織ができたり、山の整備とか、土地の修復とかで、トータル3,000人くらい押し寄せてきています。お婆ちゃんたちは逆に忙しくなってしまった(笑)

黒木)大丈夫ですか?

石川)バイクで94歳のお婆ちゃんが加工場に通って毎日休む暇がないと、生き生きと、生涯現役でやっています。

牛の草食を利用した草刈り

あと、もう1つ問題点をいうと、日本は中山間地域、山が多いですから。そこの段々畑や小さい田圃をどうやって維持するか、人手不足で非常に大きな問題なのです。そのなかでいちばん大変なのは草刈りなのです。放っておけばすぐに藪になって、森になってしまう。それをどう守っていくかというとき、牛を山の田に放してしまう取り組みが広まっています。

黒木)牛は食べますものね!

石川)牛は草をキレイに食べてくれる。その周囲に電牧(囲い)を張り、牛を放す。それでキレイに、人間が刈れない部分も刈ってくれます。牛は餌だからお腹いっぱいになるし、子供を産みます。そうすると、ちょうど日本全国が子牛不足で、子牛の値段が非常に高い。それを高価格で買ってくれるから、そこの地域は若い人がいないけど、若い人の稼ぎにしようと、新規就労者を雇って、みんなで牛を飼って、田を守りながら、若い人も育てられる……というのが西日本で広がり始めています。


どんなピンチでも解決してくれる人はいる

黒木)一石三鳥みたいな話ですね。過疎化も補える。草木も食べてくれる。子牛も増える。

石川)何か息詰まっていくところがありますが、そのなかで何か解決策を、問題点を乗り越えていくような人が、必ずどこかから現れるのです。

黒木)もう「現代農業」は農家の方のノウハウ本というか、バイブルになるのではないですか?

石川)そう言っていただけるとうれしいです。

石川啓道/月刊「現代農業」編集長
1976年・東京生まれ。四国学院大卒。
1998年、一般社団法人農山漁村文化協会(農文協)に入会。
地域普及部を経て2003年、文化部に所属。
2005年に「現代農業」編集部へ移動し、2017年4月に編集長に就任。

(2018年4月12日放送分より)

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